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君といた春

山根あきらさんの企画に参加させて頂きます。

君と出会ったのは
ジャズ好きなマスターの「バードランド」
っていうジャズ喫茶

君はマスターの孫娘で
客のリクエストのレコード盤を
ターンテーブルに載せて
客に紛れてその旋律を目を閉じて
聞き入っていた

僕は目を閉じた君に
聖母みたいに荘厳な何かを感じたんだ


僕はその常連客で
僕はジャズを聴きに行くよりも
いつしか君に会いに通っていたのかもしれない

そんな僕の気持ちに気付いた君は
マスターからもらった
ブルーノートのチケットの1枚を
僕にくれた


それはオスカーピーターソントリオの
プラチナチケット

夢のような話だった



君と二人で見たステージは
手を伸ばせば届くような距離にあるのに
圧倒的な存在感で

その夜の出来事は
夢なのか現実なのかわからなかった


そして
それは夢ではなかったんだって
思うことになる


君の肌に初めて触れ
唇を重ねたんだ



でも


僕たちは
音楽に酔いしれていたのかもしれない
その後、間もなく僕たちは別れてしまった


僕の心には最後に君に会った時の
哀しげな横顔が未だに焼き付いて
離れない・・・・・・


桜を見るたびに
毎年、胸が痛むのは
君のことを
思い出すからなのだろう