嫌だという気持ちを伝える

優しさって 棲まわせてしまうと相手は小バカにするようになる

IKKO「助けて! きわめびと」番組中の言葉

その道を「極めた」人が、相談者の悩みを解決する番組「助けて! きわめびと」。土曜の朝、ちょうど家にいる時間帯に放映されているので、気になるテーマの時は何かをしながらちらちら見る。色気がないと言われる、大人の色気がほしい、というテーマの回、何を言われても笑っていて、周りから何を言ってもいいと思われている、という相談者の話に、若い頃の自分を思い出して俄然見る気になった。

前半は、色気を磨く旅、という趣向で優雅であったが、後半、雰囲気が一転。IKKOさんがすっぴんで現れ、色気の前に笑顔が一番問題だ、無理に気を遣って笑うと、相手は小バカにし、粗末にするようになる、と真剣に指摘したのである。IKKOさんもそういう目に遭った経験があり、結局はお客さんを失った、という。私も身に覚えがある。いつの間にか、昔の私が聴いていた。

ではどうすればいいのか。嫌だ、と思った時、へらへら笑っていてはだめ、というのである。もちろん好きで笑っているのではない。自信がないのだ。もっと言えば、嫌だと言うことで相手が離れていくのがこわいのだ。しかし、嫌だと言わないことで相手が離れていく場合もあるとしたら。

笑ってがまんしなければいけない場面、というのはたしかにある。ある人に対しては一生そうしなければいけない、ということも。しかし、大切な人に限ってそうしてしまう、あるいは誰に対しても、というのは不幸である。嫌な思いをして、それを隠すのに気持ちを殺して、その結果ばかにされている誰かの姿を見たら、可哀想だ、何とかすればいいのに、と思うだろう。

そんなことを言われるのは嫌だ、などとは言えなくても、例えば笑う前に何秒か黙ることならできるのではないか。それで嫌だという気持ちの何パーセントかでも伝わるのなら。   (2017.2) 

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