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ひなちゃん

先日YouTuberの、ひなちゃん、ごしゃいちゃんこと五彩緋夏(ごさい ひな)さんがこの世を去られました。心よりご冥福をお祈りします。
死因は明らかにされていませんが、躁鬱を患われていたこともあり、自殺と考えられています。お友達のYouTuberさんの反応を見るに、間違い無いと私は思っています。

ひなちゃんは最初は、容姿に対する努力と圧倒的なメイクの技術でTwitterで有名になりました。
それをきっかけに開設されたYouTubeでは、メイクをする動画を中心にアップロードしていました。
私は中学生の時、メイク動画でひなちゃんを知りました。
私は昔、自分はどこの誰よりも不細工だと本気で思っていました。
しかし、ひなちゃんのメイクを真似して少しだけ、自分の地味な顔も化粧映えするから悪くないかもなと思いました。そのくらい、顔が変わります。


そのほかに、自分のマインドについて熱く語っていることがよくありました。ひなちゃんはよく、「こんな風に考え方を変えた」という内容のことを言っていました。その姿が印象的でした。
例えば「何かすごく嫌なことをされた時に全部自分のせいにして悲しんでいたけど、心の中で怒るようにしてすごく楽になった」とか、「人間を二極化で捉えることはやめた」とか。「“〜すべき、〜しなきゃいけない”が多すぎた」とか。「太っても太ってなくても生きてたらいいやん」とか。

自分をかえりみて、自分のこういうところが自分を苦しめているからこうしよう!と決める。でも、うまくいかない。
自分を客観観できるがゆえ、この繰り返しになるんだと思います。

勝手に同類にして申し訳ないですが、私も似た思考をしていると想像します。
私の場合ですが、頭の中でぐるぐると考えて、その時は合理的な結論を出すんです。これからはこうしようって思うんです。でも、結局元々の思考に飲み込まれています。今までの人生で積み上げてきた自動思考を、論理的な思考で捻じ曲げるってそう簡単じゃないんです。

この繰り返しで何が得られるのか、私にはわかりません。全体で見た時、自分の心に変化はあるのでしょうか。
この文章を書いていて思ったのは、自分がどういう思考のクセで苦しんでいたのか、分かると少しは楽になるのかもしれません。メンタルを病んだことがある人が心理学を学ぶのもこんな感覚なのでしょうか。

でも、このぐるぐるで根底にある自己否定感が消えることはないと思うんです。自分を好きになりましょう、ありのままを受け入れましょう。そんな理想的とされる自己肯定感は幼少期に注がれた愛情で形成されるもので、大きくなってから自分で構築するって無理に近いと思うんです。

ひなちゃんの言っていたことも私が今まで考えたことも、自分を苦しめてしまうような思考を含めて、全部間違ってはいません。言っていることがコロコロ変わっちゃったりもするけど、全部おかしくなくて、「そういう考え方もあるよね」と言える考え方ばっかりです。
でも思考のクセをねじ伏せた思考って、理想的だけど今の私からしたら不自然なわけで。

人間、頑張って意識していなくてもふと変われる瞬間って来ないのでしょうか。


ひなちゃんは躁鬱でした。精神疾患全般に言えることですが、特に躁鬱って本当に怖い病気なんだなと思いました。
ひなちゃんは本当は、めちゃくちゃ賢いんです。

でも、一視聴者の意見ですが、最近はだいぶ躁鬱にのまれている気がしました。特に法政大学を残り数単位で中退したあたりからです。
あの時ひなちゃんは、要約すると「毎日美容・YouTube関連でやりたいことがポンポン思い浮かぶのに、保険として大学を続けることを無駄だと感じるようになった」という内容のことを言っていました。
その時、顔つきがもう違いました。論理的な思考ができる賢いひなちゃんでも、病気には勝てないんです。


なんだかひなちゃんを否定するようなことばかり言ってしまいました。違うんです。

ひなちゃんは、自信が持てない女の子にとってカリスマ的存在でした。私たちも持ち合わせている“劣等感”を燃料にした努力で、俗にいうキラキラした世界に上り詰めた人でした。
でもこのことで、根本的に自分に自信がなかったら、どんなにキラキラした場所にいても見える世界は変わらないのかなと思いました。
努力して結果を出したとしても、自信に繋がるとは限らない。

例え躁鬱の症状の衝動で命を絶ってしまっていたとしても、根底にある自己否定感が関係ないわけがないと思うんです。

ひなちゃんがこれからも生きていたらこんなこと考えなかったんです。
劣等感を燃料にして自分を磨いていく彼女の姿が、「私の目指せるものはこれだ」と思わせてくれました。
でもそんな頑張り方疲れるよね。そうだよね。

自殺=負け ではありません。でも、生きづらい世の中をどうにか生き抜こうともがいている私たちにとって、今回のひなちゃんの自殺は絶望なんです。
マイノリティである私たちが目標としていた人が自ら死にました。

でも、同じような思考の人が行き着く先はひとつじゃないはずです。そう信じて後を追うなんてことはしませんが、私が知っている、どの自死した有名人よりも多くの人に影響が及びそうで心配です。
望月めるさんのこともあり、こういう類の人間は若いうちに死ぬのが華なのかな、なんて思ってしまいました。

これが、私の思っていることです。ひなちゃんに寄り添った文章ではなくて本当にごめんなさい。
心よりご冥福をお祈りいたします。

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