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Column-7 Lacquer Master

最近、中森明菜が次々とレコーディング風景をYouTubeに上げ、往年のファンが騒ついている。それに呼応するかのように、2013年に出たBest Collection が「Lacquer Master Edition 2024」として再リリースされている。

レコードを作る時、マスタリングされた音は、カッティングマシンに送られ、ラッカー盤に音楽信号を刻んでいく。マスターの音楽信号には生々しい情報が含まれており、これを全て刻み込むには、大変な職人技が必要となる。これがカッティングと呼ばれる工程だ。

刻み終わったラッカー盤が、レコード原盤となり、これからメタルマザーを作って、そのマザーの反対の型を作ると凸型の溝を持つスタンパーが完成する。レコードの原料の塩化ビニールに熱を加えスタンパーを押し付けるとレコードが出来る。大量生産すればスタンパーは劣化して微細な凹凸が無くなる。だからマニアは初版を狙う。音が一番原盤に近いからだ。

さて前置きが長くなったが、レコード会社に保管されているアナログまたはデジタルマスターから、再度ラッカー盤をカッティングして、それを最高峰のレコードプレーヤーとカートリッジで再生し、最高峰のADコンバータで、24bit/96KHzでサンプリングしてハイレゾ化する。するとCDには無い20~50KHzの倍音が乗ってくるのだ。

Best Collection Love Songs & Pop Songs

ハイレゾで聴くには、DACと良いヘッドホンが最低必要だけれど、投資価値は絶対にある。ヒット曲連続のVol.2「少女A」から聴いてみよう。50歳前後の方なら、中森明菜の声は知っているはず。しかし、あなたは、彼女がいかに曲ごとに声を使い分け、フレーズごとに細かいコントロールをしてるかに驚嘆するだろう。それが易々聴き取れるのがハイレゾ音源なのだ。さらに言えば、スタジオミュージシャンたちの演奏にも感謝するだろう。そこには日本の歌謡曲にしかないダイナミズムがある。

Vol.1 16曲目、音楽評論家スージー氏にして日本歌謡界の金字塔と言わしめた「水に插した花」。数々のスーパーアーティストと強力なプロデュース陣と強い事務所に支えられた松田聖子陣営に対して、18歳からセルフプロデュースで孤軍奮闘した「中森明菜」の到達点と言える楽曲。1991年、こんな楽曲がオリコン1位になっていたとは❗️

松田聖子/中森明菜比較論は、アラ還暦になった二人が現役を貫く今、さらに興味深いものとなっている。

Delivered as internal content on May 6, 2024

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