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スティーブマリオット/スモールフェイセスのギターサウンド研究

スモールフェイセスの1stアルバムあたりまでの初期、具体的には1965~66年前半までのスティーブマリオットのギターサウンドについて語りたい。

スモール・フェイセスは60年代における最重要バンドの1つであるのは間違いないはずな割に、海外も含め意外と情報がないのだが、ビートルズやジミヘン、ツェッペリン等の超大物以外は案外そんなものだ。

民生品のレコーダーの普及が進んだのは68年頃からなのか、65~66年あたりのライブ音源はテレビやラジオ等を除き驚くほど少ないので、それも情報がないことに拍車をかけていると思われる。

それにしても、昨年に1966年1月の未発表ライブ音源がリリースされた事は私の中では歴史的な事象だと思っているが、Twitterでサーチしても少なくとも日本では驚くほど話題になっていないのが悲しい限りだ。

Live1966

前置きが長くなったが本題に入ると、この時期のスティーブマリオットはグレッチのテネシアンを100wのマーシャルアンプで大音量でドライブさせるという個性的なギターサウンドが特徴だ。

グレッチ&マーシャルを使用するマリオット

私が学生の頃までは「グレッチにマーシャルアンプは最悪な組み合わせでタブー」とされていたくらいだったが、ブランキージェットシティがそのスタイルで人気を博し風向きが変わったと思う。

マリオットが使用したこの時期のプレキシパネルが特徴のマーシャルはジミヘンやジミーペイジを始めユーザーの列挙に暇がないが、ザ・フーのピート・タウンゼントがジムマーシャルに制作を依頼して誕生した100wモデルは、1965年の誕生以降、およそ5年間で10種類中身が変わっているそうだ。

その中でも最もサウンドに影響があるのが、1966年後半から整流部が真空管からダイオードに変更されたことだろう。

整流部が真空管(以降、整流管)の場合、簡単に言うと真空管はダイオードに比べ電気を取り出すのが不得意なので音の立ち上がりが遅く、コンプがかった如何にもオールドなサウンドになる。

ダイオードの場合、音の立ち上がりが早くクリアで音量も上がるため、シャキッと歯切れが良いサウンドになるのが特徴だ

ジミヘンもストラト、マーシャルを使用しながら、初期は整流管、後期はダイオードのモデルなので、聴いてみるとわかりやすいかもしれない。

スモール・フェイセスの1stは1965~1966の2月までのレコーディングなので勿論整流管のモデルなのだが、当時物の大多数や再生産モデルはダイオードなので、仮に同じサウンドを目指すのであれば、再生産モデルであれば整流管仕様のJTM45という45wモデルの方が近いサウンドになると思う。これはアンプ部はクラプトンの使用でおなじみの人気モデル、ブルースブレイカーと同じなのだが、スピーカー4発のスタックアンプと2発のコンボアンプで驚くほどサウンドが異なる。ちなみに当時のオリジナルは初期の45wも100wもモデル名が同じJTM45だったのでややこしいのだが。

ジミヘン仕様の100wモデルだがモデル名はJTM45

ザ・フーの1stはフェンダーアンプだがマーシャルのスピーカーで鳴らしたため、ピート・タウンゼント曰く音量が倍になったとの事で、アンプビルダーとしても名高い秋間経夫氏によると、ギターで1番音に影響があるのはスピーカーであり、そこにこだわるべきだとの話であった

確かに良いオーディオで100均のイヤホンで聴くより、スマホで良いイヤホンで聴く方が良い音な気がする。まあ100均のイヤホンを使ったことはないのだけれど

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