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多頭飼育崩壊とゴミ屋敷の問題。


最近注目されている(主に)犬猫の多頭飼育崩壊問題。

悪徳なブリーダーがこのような状況に陥っていることもありますが、そうではない一般の人がこのような状況を引き起こしているケースも最近少なくないようです。

事象としては、外犬、外猫を気の毒だからといってどんどん飼育を始める、避妊去勢を適切に行わない(故に繁殖が進む)というところから引き起こされ、最終的には、経済的体力的に飼育のキャパを超え、排泄や食事の世話がまともにできず、周辺住民を巻き込んだ問題に発展し、かつ犬猫の命や健康を損なうという流れになっているようです。

このような問題を起こす人の特徴については、以下の環境省の報告書が詳細に述べています。


先のような事象を見ても、問題を引き起こす人の特徴を見ても
多頭飼育崩壊問題とゴミ屋敷問題は、かなり似た側面があると感じます。

ゴミ屋敷問題も、どう考えても使わない所持品やゴミを片付けられないがためにどんどんと溜まっていき、そのうち片付ける経済的体力的なキャパを超え、周辺住民を巻き込んだ問題に発展していきます。

そして、多頭飼育崩壊問題もゴミ屋敷問題も、引き起こす人は、心理的精神的あるいは知的に他者とのコミュニケーションに難があるケースが多く、また、自分の考えに固執してしまうという問題があります。

そのため、それ故に問題が引き起こされようとしている段階で他者に相談することができず、自分ではどうすることもできないところまで問題が発展してしまうのです。

ゴミ屋敷問題は刑事罰の対象になることはほぼなく、また、あくまで問題が起こっているのはプライベートな空間なので、行政が強制的に介入するのがなかなか難しいものです。

一方、多頭飼育崩壊問題は、飼育放棄等の虐待が生じているのが常であり、その意味で刑事罰の対象にはなります。
しかし、刑罰を与えたところで問題が根本的に解決するかというとそういうわけではありません。
動物の所有権が飼主(=多頭飼育崩壊を引き起こした本人)にある以上、やはり行政や保護団体が強制的に介入して事態を解決することは、なかなか難しいという問題があります。

さらに、いったん解決したとしても、何かのきっかけで元の木阿弥になってしまうことも十分に考えられます。実際、ゴミ屋敷は、一度行政代執行などで片付けても一定期間経過後にまた同じ状態に戻っていることが報道されたりもしています。

理想的なのは、このような問題が生じる「予兆」を見逃さず、多頭飼育崩壊やゴミ屋敷になる以前に予防するような見守り対応をすることなのだと思います。

ただ、先に挙げた環境省の報告書を見てもわかる通り、このような問題を引き起こす人々は、元々様々な要因で社会から孤立している人であることが多いようです。
そのために見守り活動もうまくいかないことが多いのでしょう。

個人的には、地域の民生委員が周辺住民から情報を得て、福祉その他のしかるべき機関に提供する、行政の方も「縦割り」にならず、福祉や保健所が連携して「予兆」を見せている人に対峙する、多頭飼育の場合には、ケースによっては保護団体にも早い段階で入ってもらう…ということが必要ではないかなと思います。
ただ、これでうまくいくのであれば、このような問題がこんなに頻発?する世の中にはなっていないようにも思います…

暴論になるかもしれませんが、ゴミの問題で困るのはほぼ人間ですが、多頭飼育崩壊問題は、動物の健康や命に関わる問題です。
このような状況が生じることを防ぐことは、ゴミ屋敷問題以上に重要だと思います。

人間の孤立で苦しむ動物が一頭でも減るように、何か良いアイデアがないものかと考えてしまうのであります。

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