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デジタル LEICA M型を躊躇する理由

普段、デジタルはCANON機、フィルムはLEICA MP 0.72をメインに使っています。LEICA MP 0.72に至っては、ほぼ毎日持ち歩いています。普遍的、官能的なLEICA M型に魅了されていると言って過言ではありません。そのため、デジタルにおいてもLEICA M型を導入したいと常々思っています。昨年、友人からLEICA M (Type240)を借り、さらにデジタル LEICA M型の素晴らしさを実感しました。街中をフォトウオークするとき、フィルム機とデジタル機が同じマウントなら運用がシンプルになります。それがLEICAならば、さぞ楽しいでしょう。

しかし、現実には色々と躊躇します。その理由を以下、挙げてみたいと思います。

価格

ここ数年、価格が高騰し簡単に買える商品ではなくなりました。もともと高価な商品ですが、さらにハードルが高くなっています。しかも、躊躇していると、さらに価格が上がっていきます。私が1年半前に購入したLEICA MP 0.72も、どんどん価格が上がっています。一方、価格が高騰しているが故に、カメラの資産価値が下がらないので、結果として安いという考え方もあります。ロレックスみたいなものですね。そのことから、家族に対しては”資産”という言い訳が成立します。また、ランニングコストに関しては、フィルムカメラよりもデジタルカメラの方が有利です。とくにここ数年のフィルムの価格高騰はダメージが大きいです。自家現像を始めて自己防衛しているため、ダメージは最小限に抑えていますが、それでもデジタルのランニングコストには敵いません。

価格は、デジタル LEICA M型の購入を躊躇する理由のひとつですが、考え方次第ですね。

保護シャッター

CANON EOS R6を使っていて、精神衛生上、とてもありがたいのはセンサーの保護シャッターの存在です。このおかげで、センサーが剥き出しにならず、安心してレンズが交換できます。残念ながらデジタル LEICA M型には、この機能が搭載されていません。割と頻繁にレンズを替えるタイプなので、保護シャッターが無いことに不安を感じています。ライカのセンサーゴミ事情はどんな感じでしょうか。M12では、保護シャッターを導入して欲しいです。

→これは私の誤解でした。電源オフの時はシャッター幕が閉じるようですね。センサー剥き出しだと勘違いしていました。

品質管理

実績と信頼の「ドイツクオリティ」という言葉があります。しかし、正直に言えば、ライカにこの言葉は当てはまらないと思います。実体験では、「LEICA MP 0.72のシャッターが切れない」事件があり、これで約2ヶ月弱、ドイツ本社で入院を余儀なくされました。これはたまたま運が悪かったというわけでもなく、ネットでは何人か同じ故障を経験している人がいます。M10とかM11など最新技術を盛り込んだ製品なら分かりますが、1954年から殆ど同じ設計にも関わらず、です。つまり、技術の伝承がちゃんとされていないのでしょう。品質においては、キャノンの方が圧倒的に高いと思います。現代的な製造ラインで作られたプロダクトの方が、品質的に安定しているのが現実です。職人が一つ一つ丁寧に作ったというナラティブなバックグランドは、官能的な価値を生みますが、決して品質を担保するものでは無いことを理解しておく必要があります。シリアルナンバーと合わせて、担当した職人のサインが書かれた紙が同梱されていますが、残念ながらマーケティング的な演出に思えてきます。勝手な想像ですが、一時エルメスの資本が入った時、ファッション的なブランドマーケティングが優先され、メカ大好きなドイツ人気質は淘汰されてしまったかもしれません。最近、時計に手を出しているのも、ファッション志向が強くなっている姿勢が垣間見られます。もちろん、機械式時計は大好きなのですが、、、

今のライカは、ドイツプロダクトというよりもイタリアンプロダクト的な存在と受け止め、新品で購入し直ぐ故障しても喜べる精神力が求められます。

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サービス体制

これが最も大きな問題です。ちょっとしたことで、直ぐにドイツ本社送りです。私の場合は、フィルムを巻き上げることができずシャッターが切れなくなったというメカニカルな問題でした。このようなメカニカルな修理ぐらいは、販売拠点の修理部門で修理できるべきです。繰り返しになりますが、LEICA MP 0.72は1954年からほぼ同じ設計です。これを販売拠点で治せないというのは、一体どういうことでしょうか。ちなみに20年前、当時中古で購入したM5をライカ・ニューヨークに修理に出しましたが、とても丁寧な仕事で戻ってきました。カメラと一緒に交換されたパーツも同封され、何が問題でどう修理したか細かにレポートしてくれました。これぞ、職人の仕事だと感心したものです。20年前と比べて、現在のライカのサービス体制は退化しているように思えます。結局、LEICA MP 0.72の初期不良の原因は分からずじまいです。またまたCANONとの比較ですが、CANONは米国の各主要都市にサービスセンターを設けて徹底したサービスを行なっています。EF 100mm F2.8L Macro IS USMをコンクリートの地面に落として壊した時も、ロサンゼルスのサービスセンターでしっかり修理してくれました。1週間から2週間くらいの入院です。日本送りなんてコトはありませんでした。LEICAは、サービス体制の充実が顧客満足度を高めるという、最も基本的な部分が欠落しているように感じます。

以上の理由で、デジタル LEICA M型を購入するのに躊躇しています。主に貧弱な品質管理とサービス体制が、高価なライカを買うに値するか悩ましくさせています。

ネガティブな内容になりましたが、ライカが持つ官能的な価値は日本のカメラメーカーに無い付加価値で、それに魅了されているのは間違いありません。カメラが売れない中、ライカは良い商売をしていると思うので、是非、本来持つドイツプロダクトとしての価値を再認識して改善してもらいたいです。



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