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LEICA MP 0.72 1年間使ったインプレッション

LEICA MP 0.72をドタバタと購入して1年が経過しました。ほぼ毎日持ち歩くほどのお気に入りです。コロナ前は、まさか新品のLEICAを購入するとは思ってもいませんでしたが、コロナ禍で悶々とする日々の精神安定剤と言わんばかりに買ってしまいました。ただ、その判断は間違っていなかったです。

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しかし、購入して直ぐにシャッターの故障があったのは唯一残念な出来事でした。そのため、2ヶ月間、ドイツのライカ本社で入院していました。だから1年使ったインプレッションではなく、正確に言えば10ヶ月使ったインプレッションになります。

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外観性能

1954年に発表されたLEICA M3のデザインをほぼそのまま踏襲したドイツ バウハウスの精神を受け継ぐ機能美と、ブラックペイントによるうっとりするセクシーな佇まい。フレームラインプレビューレバーまでこだわって、M4以降のプラスチック製ではなく、M3と同じクラシカルな金属タイプにしています。約70年経っても劣化しない普遍的なデザインです。

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使い込むとブラックペイントが剥がれ、金色の真鍮が見えてくるエイジングが大きな魅力のひとつです。カメラとの体験共有が、エイジングという形で視覚化されるわけです。もし、M3やM4のブラックペイントを購入するならば、とんでもなく高い価格です。定価でブラックペイントが買えるのはお得とも言えます。ただ、意外と塗装は頑丈で、毎日持ち歩いているけれど真鍮が見えている部分はほんの一部です。

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軍艦部のシンプルなLEICAロゴですが、私的にはLeicaクラシックロゴ刻印の方が好みです。昔はアラカルトでクラシックロゴ刻印をオーダーできたようですが、今はそのサービスはありません。
背面のISOダイヤルはプラスチッキーで質感が今ひとつです。ここだけは残念なところです。M-Aの金属製はスタイリッシュで格好が良いですね。もちろんM-AのISOダイヤルはメモ機能で、電子的なパーツでは無いのでそれが可能なのでしょう。


ホールド感

現在のカメラと比較すればホールド感は無いに等しいですが、全く気になりません。現在発売されているLEICA MP 0.72は、シャークスキンのような滑りやすい貼り革からバルカナイト革に変更されグリップ感が高まったようです。グリップ感を求める人は、レザーケースなど使うのが良いでしょう。ちなみに、LEICA M5のホールド感はとても良いです。

操作性

シャッターが最高です!いわゆる、コトッというM型ライカの至高のシャッターフィーリングは健在です。重厚感あるボディに繊細なシャッターフィーリングは、何とも言えない極上のハーモニーです。
LED表示の露出計が搭載されているので便利です。ただ、LEICA M5やLEITZ minolta CL (LEICA CL)は追針式露出計で、LED表示の露出計よりも操作性は良いです。追針式露出計を搭載すると機械的なパーツが増えて、内部に収まらないのでしょう。LED式は、美しスタイリングを保つために必要な選択だったと理解しています。
SSダイヤルは小さいので、これもLEICA M5やM6、M7などと比較すれば操作性は低いです。ただ、デザイン的には良いので、これはトレードオフですね。
巻き戻しノブは指でつまんで回し続けなければなりません。M4以降のクランクタイプの方が、圧倒的に操作性は良いです。オプションで、ノブにクランクを取り付けるパーツが販売されていますが、見た目をシンプルにしたいので導入していません。
フィルムM型の操作性は、M6が完成形だと思います。それを分かった上で、あえてM3のデザインを踏襲したのは、実用的なデジタルM型の存在に対してフィルムM型は趣味性を求める人へ訴求したいという企画だったのでしょう。個人的には、巻き戻しノブよりも巻き戻しクランクが良かったと思います。

携帯性

金属の塊のため、サイズの割に重いです。その重さから、コンパクトカメラのようなカジュアルな携帯性はありません。ただ、ミラーレスカメラと比較すれば携帯性は良い方だと思います。何よりも、レンズがコンパクトなので、複数のレンズを持ち歩くのは苦になりません。

レン

LEICA MP 0.72に合わせて、3本のレンズを購入しました。ボディに合わせてブラックペイントのVoigtlander Nokton Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II SC、Summicron-M 35mm F2 ASPH、そしてElmarit-M 28mm f/2.8 ASPHです。一番のお気に入りは50mmのNoktonです。末長く使って、自分でオールドレンズにしていくのが楽しみです。

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総評

私にとってLEICA MP 0.72は、手放したLEICA M5、1年半前に入手したLEITZ minolta CLに次ぐ3台目のM型ライカとなります。このLEICA MP 0.72は、露出計内臓でブラックペイントという私にとって理想的なモデルです。
デジタルカメラ全盛期で、なおかつフィルムメーカーが少しずつフィルムのラインナップを縮小している昨今、70年という悠久の時を経て現行モデルとして販売されているこの機械式フィルムカメラは奇跡の存在と言えます。スペック競争から一線を画し、ブラックペイントのエイジングを楽しみつつ、存在として劣化する事のないカメラなのです。先日、ニコンのフラッグシップモデル、NIKON Z9が正式発表されました。販売価格がMP 0.72と殆ど同じです。ちなみにMP 0.72は2003年に発売され19年間販売を続けており、当初の販売価格は390,000円で現在は660,000円です。日本の経済力低下と円安の昨今、これからも価格は上がっていくでしょう。さて、安いのか高いのか、それは考え方次第ですね。
家族が寝静まったあと、酒の肴にLEICA MP 0.72を眺めているのが最高のひと時です。



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