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米国ドローンライセンスの取得-2 (空域)

 米国でドローンを習得するポイントを数回に分けてご紹介します。ライセンスを必要としないリクリエーション(趣味)目的でも参考になるかもしれません。

 ドローンパイロット(リモートパイロット)の受験科目は以下の5つとなっています。各項目のポイントを簡単に紹介します。今回は、National Airspace System (空域)です。

1 Regulations (規則)
2 National Airspace System(空域)
3 Weather(気象)
4 Loading and Performance(性能)
5 Operations(運用)

2 National Airspace System (空域)

 勉強を始めた当初、空域はともて難しかったです。空域の概念図は理解できますが、実際のSectional Aeronautical Chart(航空地図)を見ると、情報量が多すぎてなかなか全く理解できない。

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 上に貼り付けた画像は、ロサンゼルスエリアのSectional Aeronautical Chartから一部空域だけを表示したものです。ロサンゼルス空港は、西から着陸し東へ向けて離陸します。そのルートを断面図で示し空域の重なった部分を視覚化しました。Sectional Aeronautical Chartを単純化したもので、概念図を理解したあとでロサンゼルスエリアのSectional Aeronautical Chartと照らし合わせながら見ると理解できると思います。


2-1 : Introduction(イントロダクション

Controlled airspace (管理された空域): Class A, B,C,D and E
Class Aは、ドローンを飛ばせない空域
Class B,C,D and Eは、ATCの許可を得て飛ばす空域。

Uncontrolled airspace(管理されていない空域) : Class G
ATCの許可なしで、自由に飛行をすることが認められた空域。

NOTEMs (Notices to Airman)
航空管制システムのあらゆる構成要素(施設、サービス、手順またはハザード)の状況、条件、または変更に関する情報提供。出版物(Airport Facility Directory)では間に合わない、飛行操作に関係する情報をタイムリーに提供する。情報は、主にwww.1800wxbrife.comで提供されている。

NOTAM(D)
主要滑走路の保守などで使用不可能になるなどの空港設備の情報、気象情報などが提供される。

FDC NOTAMs (Flight Data Center NOTAM)
 FDC NOTAMsは、計器飛行の接近手続きや空路の変更など、法的な拘束力が強い航空情報。臨時飛行制限(TFR)、例えば大統領や政府要人(Public figures)を守るための飛行制限や、山火事による飛行制限、大きなスポーツイベントによる飛行制限なども、FDC NOTAMsとして発行される。

2-2 : Airspace Classification(空域の分類)

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Class A : 航空地図には示されていない
18,000ft MSL以上、Flight Level(FL) 600 (60,000ft)までの空域。計器飛行(IFR)のみで有視界飛行(VFR)は入れない。

Class B : (航空地図の)青の実線
JFK(ニューヨーク)やLAX(ロサンゼルス)など、大規模で膨大な離着陸を受け入れている飛行場。概念図での空域はウエディングケーキを逆さにしたような形状をしているが、実際の空域はそんな綺麗な形状はしていない。エリアが広いので、他の空域と重なっているケースが多い。

Class C : マジェンダの実線
中規模の飛行場の空域。基本的に、空域は二つのサークルで構成されている。内側のサークル(inner surface)の半径は5NMで地面から4,000ft以下の高度が一般的。外側のサークル(outer shelf)は半径20NMで12,00ft AGLから4,000ft以下の空間にある。多くのClass Cは変形している。半径20NMからアプローチへの交信が可能となる。

Class D : 青の破線
小型の空港で、一般的に空港から半径4NMの空域で、空域の高さは四角のコーナーで囲われた数字で示されている。この数字にマイナスがついていると「未満」を示し、マイナスがなければ「以下」となる。

Class E : マジェンダのグラデーションとマジェンダの破線
マジェンダのグラデーションで囲われたエリアは、700ft AGL 以上からClass Eが始まる。マジェンダで囲われていないエリアは、1,200ft AGL 以上からClass Eが始まる。Class Eの最大の高度は18,000MSLとなる。マジェンダの破線で囲われたエリアは、地面からClass Eの空域を示している。

Class G : 上記以外の空域
管理されていない空域。天気さえ良ければ、基本的に自由に飛べます。管制されていない空域で、空港の無い所や、管制塔の無い空港の上空、砂漠や山岳地帯などに多く存在する。ドローンライセンスで、自由に飛行をすることが認められた空域。

Prohibiter Areas : 禁止区域
ホワイトハウスなどの重要な建物のエリア

Restricted Areas : 制限区域
誘導ミサイルや砲撃など軍が使用している区域。侵入する場合は、コントロール エイジェンシーの許可が必要。コントロール エイジェンシーへの連絡先は、Sectional Aeronautical Chart(航空地図)の備考に記されている。

Military Operations Areas (MOAs) : 軍訓練区域
軍が訓練している区域。侵入する場合は、コントロール エイジェンシーの許可が必要。コントロール エイジェンシーへの連絡先は、Sectional Aeronautical Chart(航空地図)の備考に記されている。

Alert Areas : 危険区域
たくさんの飛行機が訓練している区域。全ての飛行機が衝突を避ける責任がある。

Military Training Routes (MTRs) : 軍のトレーニングコース
計器飛行と有視界飛行の2種類がある。
計器飛行はIR、有視界飛行はVR。

2-3 : Topography(緯度・経度)

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緯度と経度から位置を把握する。方位には、真北(True)と磁北(Magnetic)があるので、気をつけなければならない。滑走路の番号は、磁北(Magnetic)を基準につけられている。


2-4 : Airport Operations(空港でのオペレーション)

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飛行場の離着陸のパターン。ドローンの位置が、飛行機の離着陸パターンに干渉するかどうかを導き出す問題が多い。

2-5 : Airport Markings and Signs(空港のマーキングとサイン)

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飛行場のマーキングやサインの説明。ドローンを空港施設内で飛ばす機会はまず無いと思うが、これを勉強すると旅行や出張で飛行場のマーキングやサインを見て楽しむことができる。


2-6 : Collision Avoidance(衝突回避)


衝突回避をするために、飛行エリアを監視する。
飛行中の危険について。(静電気、野外イベントのレーザーライトで位置を見失う危険性、工場の上空で煙突からの排熱による乱気流、野生動物との衝突など)


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