見出し画像

タイムマシンは、いらない


ジンくんは、可愛くてかっこよくて、

私にはわからないところも多い人だ。

そして、とても愉快な人だ。

ジンくんが自分のギャグに大笑いしていても、その笑い声を耳にするだけで、私も楽しい気持ちになる。

どこか冷めた現実的な視点を持っている聡明な人だからこそのパンチラインをかまされると、ちょっと考えたあとに、そっか〜とうなずく。

昔からこうなんだ。鈍くてごめんね。

でも、時々ジミンちゃんにあしらわれてるのも含めて、にっこり微笑んでしまう。

ホビさんにうんうんって受け入れてもらっている姿も愛おしい。


話が脱線した。


ジンくんは、自分が求められた役割を察知するのが上手で、

盛り上げ役と見守り役を、シーンによって切り替えることができる、大人なヒョンだ。

バラエティではわいわいとたくさんお話しするイメージが強いけど、

他のメンバーが活発に発言しているときには、静かに聞き役に徹していたりする。うっ、好き。

でも、ジンくんがおしゃべりしてくれないと、
ただひたすらにWWHなメンズになってしまうから、正直、困る。

WWHが冗談じゃなくなってしまう。頼む、おしゃべりしてくれ。


(いや、困る、かっこいい、あなたが世界一)



またまた話が逸れた。そろそろ本題に入らねば。
(まだだったんだ)



過去、現在、未来

私はいつもおどけているジンくんが発する、本質を突く言葉に、ドキッとすることがある。

そうした発言は彼の哲学に基づくもので、

彼のこれまでの人生や思考回路が垣間見える瞬間でもある。

気がむくままに生きるとは、どういうことでしょうか。

JIN:僕は、言葉通り、現在にのみ生きる人で、過去は全部忘れました。将来についてプレッシャーはありません。重要な瞬間、ともに過ごした瞬間、そういうのはもちろん忘れられませんが、過去にあった嫌なこと、自分が大変だったこと、そういうことはすべて忘れて、現在にすごく満足しながら生きていて、現在の仕事を一生懸命やっていますし。どんなに良かったことでも、それだけで何度も幸せになれませんよね?過去に自分が百万ウォン稼いだことより、今一万ウォンを得ることが、もっと幸せだったりすることもありますから。だから過去と未来は考えないで、現在の自分の感情に忠実に生きているんじゃないかなと思います。

人間は、過去と未来の狭間で揺れ動く生き物だと思っている。

時には過去の栄光や思い出を懐かしんだり、「今」に生かすために過去の経験を振り返って反省したりするし、

未来には不安や期待を感じたり、まだ見ぬ自分に向けて投資をしたりする。

そうした「今」につながる前後の時間軸も、
人々の意識の中心にある、と思う。

私たちは、頻繁に心の中でタイムマシンを乗りこなす。

でも、ジンくんは、血がにじむほどの努力とともに経験した嫌なことや苦しい気持ちは忘れ、

他者からの多くの期待がのしかかる未来にはプレッシャーを感じないと言う。

なぜなら、「現在にのみ生き」ているから。


どうすれば、そんなに強くなれるのだろうか。

ジンくんは、目の前にある「今」に意識を向け、
一生懸命取り組むことが、

アイドルJINとしての自分に求められていると感じているのかもしれないし、

「今」ある幸せにフォーカスすることが、
純粋に彼が自分を守るための、より幸せでいるための術なのかもしれない。

彼が彼なりに強くなろうと、あるいは強くならざるを得ない状況の中で努力した結果が、「今」に集中すること、だったのかもしれない。

どちらにせよ、只者ではないと思う。


彼のように、ある意味「割り切る」ためには、どれほどの時間と覚悟が必要なのだろうか。

ジンくんは、過去と未来に苦しむ夜を、これまで何度超えてきたのだろう?

そんな夜を、どうやって乗り越えたのだろう?

ぬいぐるみを抱きしめて、深い思考の海に潜った夜が、何度あったのだろう?

タイムマシンを乗りこなすことは、時に難しい。


インタビューは続く。

気が向くままに生きるというには、BTSのようなグループは、いろいろ気を配りながら生きていかなければならないことがあるのではないですか。

JIN:そういうことは考えていませんね。僕たちが必ず守るべきこと、例えば、赤信号では渡らないとか。赤信号で渡れば事故が起きるので。ただ、そんなふうにしてはいけないと決まっているので、やりたいからといってやったりはしません、そういうことは。
それは気がむくままに生きるより、かえって節制しているように思えますが(笑)。

JIN:赤信号で渡らなければ事故は起きない、というのと一緒です。やってはいけないことをしなければ、今僕がこうして現在に満足して生きる、ということを維持できますから。そういうことじゃないでしょうか。多くの人たちが息苦しく感じたりするんですけど、そういう人たちは赤信号で渡ってしまう人なんでしょうね(笑)。                    
(以上、「Weverse Magazine、 BTS 『BE』 
カムバック・インタビュー」より、太字は筆者加筆)


「赤信号は渡らない」。

ひょうきんにのびのび生きているように思えるジンくんは、赤信号を渡らない人、なのだ。

己の感情や欲望に従うリスクよりも、規則という大枠に自分をはめることを選ぶアイドル、痺れる。

いや、普通のことのように思えるけど、言い切るのって、難しい。

実際に、赤信号を渡る人は、結構いる。

それに、赤信号を渡らないことは、おそらく保身ではない。

信号が赤から青に変わったときに、その先に、
確実に進むための準備でもあるのだと思う。

そして、それは彼にとって節制でも義務でもなく、

BTSがBTSであり続けるための、

JINがJINであり続けるための「当たり前」、
なのだ。

ああ、なにそれ。惚れてまうやろ。

グループとしてたくさんの夢を叶えてきた今、
7人で居続けることが夢だと語るジンくんは、

それがいかに難しく、不確かな願いであるかを、きっと、知っている。

それでも、「今」を見つめ、超えてはいけない線を無意識に察知し、その中で最大限の力を発揮し続けようとする。

それが彼なりのグループの愛し方であり、
守り方なのだと思う。



ただ、どうか、背負いすぎないで欲しい。

あなたがあなたでいられるように、

それが大事だと、あなた自身がわかりはじめているはずだから。

その通りだよ。



…いや、っていうか、そもそも、赤信号をたとえに出すって、え、そんな…………


あの、ジンくんが好きすぎて耐えられないので、いったん枕に顔を押し当てて、叫んできてもいいですか。失礼しますね。







失礼しました、ああ、好きすぎて困るな。




ジンくんがくれる言葉

ジンくんは、自分の求められている役割を理解する力に長けているけれど、

"望む言葉"をくれないことが多い。

その代表例は、
結婚してくださいとメッセージを送るアミに対する

「話にならないことを言わないでください。」だ。

うん、そうなんだけどさ、そうじゃなくて。

照れ笑いしたり、じゃあ書類にサインしなくちゃね、と打診してくれたり。

あなたと私が結婚できないことなんてわかりきっているから、

アイドルとファンで共有する2.8次元の世界で、
少し夢を見たかっただけなんだ。

その夢をぶち壊し、現実を突きつけてくるのが、JINというアイドル。

ロマンティックのロの字もない。もはや爽快だ。

そういうところも好き。きっと全部本音だけど、わざと言ってるときもあるでしょ?

それとも何の意味もないのかな。

真意はわからないけど、あなたは全部わかってるなぁ。

好きだよ。ああ、重症。


でもそんな彼は、時々、私の背中をさする言葉を残してくれる。

また新年ですね。新年カードを書くとなったら、どんな挨拶を届けたいですか
JIN:うーん、でも実は僕、こんな話をしていいのか分かりません。でもまた新年を迎える若者たちにはこの話をしてあげたいです。これまでちゃんとしてきたし、ちゃんとしてるから、もし何かを始めることで負担を感じていたら少し負担をおろしておいて、って。おろして、楽しみながら始めてほしいと。僕はこうして応援してあげたいです。
(GQ KOREA 2022年1月号 より)

このインタビュー記事を初めて読んだのは大学に向かう電車内で、うっかり人目も気にせず泣きそうになった。

ジンくんは、こうした言葉で、いつもさらりと私の心をすくい上げてくれる。

「こんな話をしていいか分かりません」と前置きをしながら、皆を応援してくれる。


今の私が欲している、と感じる言葉をくれるのだ。

こういう話をするときは、おなじみの「(笑)」が発動しない様子からも、

軽やかながらも真面目なトーンでお話ししてくれたのかな、と想像したりする。

もしも私がジンくんに会ってお話しできる日が来たとして、

「私はジンくんのこの言葉にとても救われたんです」と訴えても、きっと彼は、

「(僕、そんなこと言ったんだ)…ありがとうございます😊」

と反応するだろうけど、現に私は救われているので、本人が覚えていようがなかろうが、

特別な意味があろうがなかろうが、

私にとっては特別以外の何者でもないから、関係ない。(え〜)  とにかく、とても大事なのだ。


ふと、ジンくんが私たちにかけてくれるこうした言葉は、

今のジンくんが過去と未来の自分に言ってあげたい言葉なのかもしれないと思った。

BTSのメンバーは全員それぞれに苦労してきているけれど、ジンくんは相当大変な練習生時代を過ごしたと思う。

きっと、たくさんの不安と負担と劣等感を抱えながら、自分を奮い立たせ続けてきた。

過去の苦しみは忘れると言った彼だけど、

今の彼を作ったのは、過去の彼だ。

たくさんの過去の積み重ねが、今のジンくんを作っている。

そんな今のジンくんが若者にかけてあげたいと思う言葉は、彼の過去の経験を通して出てきたもの。

きっと本人は、「過去の僕に言葉をかけるなら」なんて風には考えてないし、

もしもインタビューなどでそういった質問をされたら、

「まあ、とりあえず頑張れ、ですかね、ハッハッハ」と答えるんじゃないか。

「もしも」系のことに、興味なさそう。

先のインタビューの、

「これまでちゃんとしてきたし、ちゃんとしてるから」

は、きっと、今のジンくんの実感からきている発言だ。

彼がくれる、彼の実感を経た信頼のかたまりのような言葉に、私は何度も励まされ、胸がギュッとなる。

自分の過去にも未来にも執着しないけれど、

「ちゃんとしてきたし、ちゃんとしてる」自分を自分で認められたら、しっかりとねぎらう。

頑張った自分を否定せず、「チャレッソ、ジナ」と声をかけてあげる。

未来の彼に対しても、きっとそうするのだろう。


そして、そういったスキルを、周りの人たちにもシェアできるしなやかさがある人。

それをアイドルJINとしての武器にできた、不器用で繊細だけど強い人。

ジンくんのLove Myselfの道のりは、
決してたやすいものではなかっただろうけど、

少しずつキムソクジンとJINの境界線を、
淡くゆるやかににじませていくその過程は、
とても美しく、苦しく、尊く、愛おしく感じる。

勝手ながら、想いを馳せて、心を重ねてしまう。

この世に存在するかも疑いたくなるほど、端正で整った顔立ちとスタイルを持つジンくんは、

私と同じように「過去」と「未来」の狭間に生き、その在り方を模索して、

少しずつ変化していく生身の人間なのだと、改めて実感する。

そうした彼を、「今」、同じ時間軸で感じることができる幸せとその温もりを抱きしめる。

きっと、私たちの間にタイムマシンは、いらない。



わからなくて、愛おしいあなたに向けて

人は、変わらないし、変わるものだ。

どうかジンくんには、自分勝手に暴れて欲しい。

本来のジンくんにはそのくらいが、きっとちょうどいい。

「自分勝手」が真の意味で自分勝手にならない人だって、知っているよ。

安心して、月のど真ん中でマグロを釣りまくってください。どうせなら、スーパーなチャムチを!

まぁ、私なんかに言われなくたって、ジンくんは全て自分で納得しながら歩み続けるかっこいい大人だ。

そういう風に、これまでも、これからも、自分の人生を紡いでいける人だ。

そんなあなただから、私はあなたを心から好きだと叫ぶことができるのです。ありがたくて仕方ない。

皆さんが毎年祈っていること
(中略)
毎年祈れば、いつか一つくらいは叶う日がくるかもしれません。
叶うその日まで、僕が毎年応援し続けます。
(Weverseより)

ジンくん、自分でもわかってると思うけど、たぶんね、それ「今年の」挨拶になってないよ。

新年の挨拶の場で、暦という区切りには目を向けず、少し遠い未来を見据えて、「いつか」をちらつかせつつも、

「結局、今のことしかわからないけどね」と言いたげなあなたは、

現実的で、少し冷めている。夢は見ない。

夢は見ないけれど、

それを見ようとする人を応援してくれる。


「いつか」があるかもしれないね、は、
「いつか」叶いますように、の言い換えでもあるし、

確かめようのない未来について多く語らないのは、確かめようがないからであり、

それを言わない決断は、とてつもない責任感のかたまりだと感じる。

買い被りすぎているかな?聞かれたから、なんとなく答えただけなのかもしれない。

でもそれが、彼の理論なのだ。

と、私は感じている。

むしろ無意識でそう言ってくれていたら、ちょっと惚れちゃう。すでに惚れてるけど。



今日もどうしようもなく大好きなあなたに、

私も同じ言葉をかけよう。

ジンくんの願いが叶うその日まで、

いや、その先も、

あなたの夢を、存在を、応援し続けます。

どうか、あなたの願いが一つでも多く叶いますように。



願うことしかできないけれど、願うことならできるから。


「今」を一緒に生きる、大好きなあなたに向けて。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?