見出し画像

のみぐすり

一週間ほど前にこんな発表があり、続いて昨日のWHOの発表に胸をなで下ろしたひとは沢山居るのではないかと思う。いや、実際すごいことです。2年かかってないからね。

この記事でも書かれているけれど、飲み薬は「投与時期」というのが大きく影響する。あれ、これオカシイ?と呼吸苦を感じて思った時は時既に遅し、となり得るし、それより軽い症状ではかなり高率で「ありふれた季節性の風邪でした、この薬無駄でした」となり得る。

それに投薬すれば必ず「抵抗性」というものを病原体は獲得する。そりゃそうです、相手(病原体)だって(意思があるか否かは置いておいて)子孫繁栄を目的にしてるんだから、やられてたまるか、になる。

昔MRSAという抗生剤に強い耐性をもつ菌が世界中で増えて大騒ぎになったのだが、まぁ一般の人はそうそう知る機会はなかったと思う。どういうことか、というと例えば肺炎の治療をしようとして検査したら起因菌でMRSAがでてきた=ほとんどの薬が効かない=打つ手なし、ということ。正確に言えば薬が全く使えないわけではないが、治療のスピードより症状悪化スピードが勝ってしまうということ。

そんなことがあったから抗生剤(細菌に対する薬)をなんでもかんでもに使うのは減らされてきたし、「抗ウイルス薬」の使い方も慎重・いろいろなルールが設けられた。病原体があるからといってその「抗○○薬」はそんな簡単に開発できないから。

もうひとつ、治療薬といってもこれはあくまで抗ウイルス薬とのこと。紹介した記事にもあるけれど、実際重症化したひとはウイルスにやられていると言うよりはバランスを崩した免疫システムにやられている、と考えられている。(病態は複雑なので安易にそれだけ、と考えないで欲しいが)

だからこそ、その投与時期の難しさがあると思う。

でも同時にSNSを眺めていていつも思うのだけれど、「飲み薬」はなぜ人々の抵抗心が弱いのかよくわからない。飲み薬の副作用は沢山あるし、大体1度摂取すると血中濃度を保つのも濃度が下がる時間のことを考えるのも「どうでもいいこと」ではない。

点滴(輸液)・抗生剤・血液製剤・免疫系にかかわる薬、そして沢山の医療機器の進歩・・・いろんなものが開発され、実際それで助かってきた命は沢山ある。
でも同時に個々人みんなに協力して貰わないと立ちゆかなくなる状況ってのもあって、それがこの一年半の騒ぎだった。

もう(社会が飽きたところもあるんだろうけど)どれくらいのひとが生死の境を彷徨い頑張っているかとか、報道されることもなくなっているんじゃないだろうか。でも実際はアメリカでのICU(集中治療室)ベッドは足りてなくて、治療するための人手はもっと足りていない。
アメリカではICU滞在期間はこれまで1晩〜数日だったのが(まぁ、一泊20万円とか平気でかかりますしね)567患者さんは一人が数週間単位でそこにいるわけだから空くわけもない。心臓の手術(もちろん命に関わるので緊急〜準緊急)ですら予定できない状況だ。

医療側で感じている問題は「あなたが今重症化するかどうか」(それはそれで大事)よりも「どれくらい全体の中の重症者を減らせるか」なのだが、この微妙なバランスは一般のひとには理解出来ないかもしれない。今日交通事故にあって緊急の大きな手術が必要、とか、家族が心筋梗塞をおこしてバイパス手術しか手がない、みたいな状況にならない限り・・・

パニックになる必要はないけど、備えることが出来る部分は備えたい。
だから、もうワクチンいらないよね、なんて思わないで欲しいなぁと思っている。

ところで、飲み薬一本には頼りたくないけど、私には外で飲む「呑み薬」がそろそろ必要です・・・・バーとか、行きたいな。忘年会シーズンとか、もうなつかしすぎて涙がでるよ。


サポート戴けるのはすっごくうれしいです。自分の「書くこと」を磨く励みにします。また、私からも他の素敵な作品へのサポートとして還元させてまいります。