日々のことば 夢のお告げ・ピースフルななにか・ユトリロの絵
65.ロニー・ドネガン
目が覚めたとき、内容はおぼろげながらひとつだけくっきりと覚えていることがあった。それは、
ロニー・ドネガン
という名前である。
夢の中で、たしかぼくは一生懸命レコードを漁っていたことから察するに、これはどうやらそこで僕が探していたミュージシャンの名前にちがいない。とはいえ、僕はロニー・ドネガンなる人物の歌を聴いたことはないし、それどころかそんな名前のミュージシャンが実在するかどうかすらそもそも自信なかった。
忘れてしまわないうちにと、寝ぼけ眼のまま僕は枕元のスマホを引き寄せその名前を入力する。
うそ! ホントにいた! ロニー・ドネガン。1950年代に活躍したイギリスのミュージシャンとある。
いや、真実はきっと、その名前をこれまでどこかで、雑誌とかツイッターとかで目にしていたにちがいない。海馬の隅っこにひっそり隠れていたドネガンが、なにかの拍子に夢の中に姿をあらわしたというのが実際のところだろう。
とはいえ、神さまのお告げとまでは言わなくても、こういう出会いにはやはりちょっと運命のような神秘的なものを感じてしまう。ほら、それまで特になんとも思っていなかったクラスメートと夢の中でなんだかちょっといい感じになって、その日を境にすっかりそのコのことを意識するようになってしまった、みたいな?
僕の音楽人生を一瞬にして変えてしまうような素敵な出会い。そんなことを想像してロニー・ドネガンの歌声に耳を傾ける。興奮で、ちょっと上気した気分ですらあったかもしれない。
・・・
ゴメン、ぜんぜん好みじゃないわ。
66.笑顔にしてくれるピースフルななにか。
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