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街角クラブ〜ミナスサウンド⑫/Milton Nascimento e Orquestra Ouro Preto - Clube da Esquina

・セットリスト(曲名をクリックするとリンクに飛びます) 
Estrelas (Lô Borges / Márcio Borges)★
Saídas e bandeiras n°1 (Milton Nascimento/Fernando Brant)★
Tudo o que você podia ser (Lô Borges / Márcio Borges)★
Cais (Milton Nascimento / Ronaldo Bastos)★
Nascente (Flávio Venturini / Milton Nascimento)☆
Casamiento de negros (Violeta Parra)☆
Canoa, canoa (Fernando Brant / Nelson Ângelo)☆
Mistérios (Joyce Moreno/Maurício Maestro)☆
Nada será como antes (Milton Nascimento / Ronaldo Bastos)★
Lilia (Milton Nascimento)★
San Vicente (Milton Nascimento/Fernando Brant)★
Trem de doido (Lô Borges / Márcio Borges)★
Um gosto de sol (Milton Nascimento / Ronaldo Bastos)★
Cravo e canela (Milton Nascimento / Ronaldo Bastos)★
Clube da Esquina n°2 (Lô Borges / Márcio Borges / Milton Nascimento)★
Dos cruces (Carmelo Larrea)★
Um girassol da cor do seu cabelo  (Lô Borges / Márcio Borges)★
Paisagem da janela  (Lô Borges / Fernando Brant)★
Nuvem cigana (Lô Borges / Ronaldo Bastos)★
Maria Maria (Milton Nascimento/Fernando Brant)☆
Ponta de areia (Milton Nascimento/Fernando Brant)●
Para Lennon e McCartney (Fernando Brant / Lô Borges / Márcio Borges)◎
★Clube da esquina収録
☆Clube da esquina2収録
●Minas収録
◎Milton(1970)収録

Maestro Rodrigo Toffolo:Regência
Wilson Lopes:Direção musical assinada
Augusto Nascimento:direção geral e artística

Wilson Lopes:Violao,Guitarras,Viola Caipira e Vocais
Ze Ibarra:Vocais e Violao
Lincoln Chief:Bateria
Widor Santiago:Metais
Ronaldo Silva:Percussao
Alexandre Ito "Primo":Baixo
Christiano Caldas:Piano

ミルトン「オルケストラ・オウロ・プレートは、音楽面だけでなく、ミナス・ジェライス州の若い音楽家たちのために行っている社会貢献活動も含めて、ずっと尊敬しています。そして、Clube da Esquinaを記念するこのプロジェクトを彼らと一緒に行う機会が訪れたとき、私たち全員にとって大きな達成感がありました。」

トフォロ「"まだ知らない "人は、"知ろう "と挑発する。
この2枚のレコードは、美学的、音楽的、調和的、楽器的に計り知れない重要性を持っています。私の考えでは、1972年のアルバムは、コンセプトが生まれる前から、最初のワールド・ミュージック・アルバムだと思う。現代音楽もあれば、ルーラルな音楽もある。」O tempo

2021年12月29日にYoutubeでクルービ・ダ・エスキーナリリース50周年を記念した無観客ライブが配信された。ライブはミルトンと、バンドとオーケストラという大編成のオルケストラ・オウロ・プレートを従えてシネ・テアトロ・セントラウで行われた。2019年にこのバンドでツアーが行われていて、今回はオーケストラが加わった形となった。
メンバーはオーケストラの指揮はマエストロ・ロドリゴ・トフォロ、音楽監督は94年からミルトンのバックを担当しギター、7弦ヴィオラオン、ヴィオラ・カイピーラも担当しているウィルソン・ロペス(兄弟のベト・ロペスと共にクルービ・ダ・エスキーナへのオマージュアルバムも制作している)。
さらにこちらもミルトンのバックを務めていたドラムのリンコウン・シェイビとパーカッションのホナウド・シウヴァ。サックスにヴィドール・サンチアゴ、ピアノにクリスチアーノ・カウダス、そしてボーカルとヴィオラオンのゼー・イバーハ。
メンバーの中でも特に印象に残ったのが、ロー・ボルジェスのボーカル部分を担った若干24歳のゼー・イバーハ。カエターノ・ヴェローゾの末息子トン・ヴェローゾとのバンド、ドニカ(Dônica)でリードボーカルを担当していた。最近ではレオナルド・マルケスやジョビンの娘マリア・ルイザ・ジョビン、ガル・コスタとも共演している。

そして主役のミルトン・ナシメント。現在79歳という高齢(ポール・マッカートニーと同い年)という事もあり(90年代には重い糖尿病を患っている)数年前と比べるとだいぶ体重も落ちているが、年々声量も弱まってしまっているのは否めない。しかし、そのミルトンをフォローするようにメンバーが支えていて、世代間の繋がりの強さを感じさせる。カエターノ・ヴェローゾとポール・マッカートニーが異様に元気なだけに、寄る年波はどうしても感じてしまう。とはいえ、こうして舞台に立ち続けるミルトンのアティチュードにはひれ伏すしかない。
ライブはクルービ・ダ・エスキーナの1と2を軸にセットリストが組まれていて、Ponta de areiaとPara Lennon e McCartneyのみアルバム外からの選曲となっている。TravessiaやVera Cruzなどの代表曲が含まれていない辺りは、ロー・ボルジェスを中心としたクルービ・ダ・エスキーナの輪を意識したトリビュートライブに絞り込んだ意図があったのではないかと汲み取れる。Aqui Oh!やBeijo Partido辺りのトニーニョ・オルタの曲も組み込んで欲しかった気持ちもあるけれど。
フリートフォクシーズのようなバンドや、ピッチフォークなどのメディアの影響でアメリカやイギリスでも、アルバム「Clube da esquina」が広く聴かれる状況になってきているので、このようなライブがミナスの音楽がより多くの人に届くきっかけになるかもしれない。

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