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ファイト・クラブ Fight Club/チャック・パラニューク

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チャック・パラニューク著ファイト・クラブを読み終えた。デヴィッド・フィンチャーによる映画版は結構原作通りに描いていて、よくもまあこの原作を忠実に再現したものだと感嘆する。
もちろん映画を先に観ていたので、基本的なオチは分かっていたものの、辻褄の合わないタイラーと僕(実は実名は一切出てこない)の会話が映画と小説版との違い。映画版は小説版にある曖昧さを取り除いて分かりやすく描いているのが比較するとよく分かる。常に混乱した状況の小説版はタイラーと僕の線引きが常に曖昧で錯乱した状態のまま話が進んでいく。
世の中のシステムから逃れ、死を意識することと暴力にまみれることで肉体を感じさせる。フィンチャーはそこをひたすらクローズアップする事で、非現実的な出来事を痛みというフィジカルな感覚で映像に収めている。この辺りの描き方は小説版の頭の中で描く暴力と、実際に画で描かれる暴力が肉薄していて観ていて痛覚を刺激する。ただし、小説版のほうがより具体的な描写も多く、舌が噛みちぎられたシーンや精神世界よりな表現は映画では描ききれなかったものなのかなとも思う。物質社会からの解放というものを、映画ではクレジット会社のビルを爆破するというわかりやすいドラマへ改編している。映画版と小説版を合わせて楽しむ事で、この作品は完結するのだと読み終わってからすぐに映画を見返して思った。
フィンチャー版のラストに起きる破壊的にロマンチックなシーンは始まりと終わりを収めた最高のシチュエーションだったと思う。
どちらも凄い世界を描き切った作品だったと言える。
映画版を観て感動を覚えた人は絶対に小説版も読むことをお勧めする。

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