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クリバス Cribas@ソノリウム 永福町

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2/26 Cribas Solo live in Tokyo
ソノリウム 永福町

サードアルバムリリースのタイミングで待ちに待った初来日公演。やっと観る事ができた。
途中休憩を挟みながら前半1時間、後半30分ちょっとでたっぷりと演奏を楽しむことが出来た。特にファーストアルバムの曲が格段にレベルアップした状態で奏でられ、とにかくパワフルなアンサンブルだった。CDでは静寂が上手くパッケージされていたものの、ライブではその静寂も活かしつつ全体を押し上げるような力強さがとにかく印象的。二十代半ばというのが信じられないくらい円熟しつつ、相反するように若さに溢れていた。
どの曲もファン・フェルミン・フェラリスのカウントから始まって、歌を中心としたアンサンブルが構築されていて、声のダイナミクスに沿った演奏ながらインスト部分もバランスよくバンドの基礎体力の高さが感じられた(某レコ屋バイヤーでクリバスを日本に紹介した宮本さん曰く「やっぱりもともとロックバンド出なのを認識した」と言ってました)
クリバスの曲はフォークロアな雰囲気もありつつ、タンゴに通じる退廃さや官能さを感じる。タンゴのタの字もないバンドだけれど、マイナーキーの曲の時に滲み出るある種の色香が感じられる。時折り差し込まれるペンタトニックの響きはどこかオリエンタルでアジアの音楽や童謡や民謡も想起させる。あれはどう言った出自なんだろう?と少し不思議に思う。あと、どの曲も短くコンパクトで聴き足りなさはあるものの無駄のない形だった。キーを下げて演奏されたMariposaは、曲の持つポテンシャルが発揮されていて、大河の中に漂う蝶のようでスケール感が広がっていた。

ホアキン・メンディのドラムセットはよく見えなかったものの、右側にカホンを寝かせた状態でセットアップされていて、パーカッシブなサウンドを織り交ぜつつスティックも曲によって持ち替えていて、ブラシを使ったジャズドラムのスタイルから、バックビート、16部音符で細かいフレーズ、そして多くの曲で3-3-2の付点アクセントが多用されていた。タムの位置に見慣れない太鼓があったりと、マリアーノ・カンテーロやセバスチアン・バスケスに通じる、パーカッシブなドラムスタイルがそこにもあった。
ギターのニコラス・パディンは目立たないものの、主旋律を奏でつつ和音をフォローしている。じっくり見えなかったもののコードのポジショニングも低音弦でルート+3rdを押さえながらテンションを押さえるような指が広がる形だった。ディエゴ・アメリーゼのアップライトベースプレイはそつない演奏ながら、屋台骨として存在感のあるものだった。特に付点アクセントの時のグルーヴは中々に引き込まれる。アルコでハーモニクスを奏でていたりと、飛び道具的なものもありながらバランスの良いベースはとにかく心地よかった。
アルバムの木管楽器の代わりとして重要な役割を担っていたのがフェデリコ・アギーレのアコーディオン。彼がいるかいないかでかなり変わったはず。ふいごの部分で風を表現していたり、ハイノートでアンビエント的な鳴りを表現しつつ木管楽器のパートをしっかりは再現していた。
とはいえファン・ファルミン・フェラリスの声のとピアノがやはり要。中音域に特徴のあるあの声がちゃんと中心にあることと、歯切れが良く端正なピアノはそれだけで存在感がある。口笛とピアノがユニゾン入るだけでお腹いっぱいになる。

アンコールでやった曲はこの曲のようです↓

今回ソノリウムは初めて行ったのだけれど、音響はかなり良く申し分ないハコでした。あそこまでPAが気にならなかったのは久しぶりかも。

コトリンゴとのジョイントライブがこの後もあるので、行ける人は行ったほうが良いです。

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