見出し画像

日本ビクターの業務用VHS 3in1ダビング機BR−7040(その3)カセットハウジング編

その2 仕様 から続く)

 前回で仕様が決まったところまで説明しましたが、仕様が決まったら、今度は機構の構想設計です。そもそもそんなものができるのか。

・カセットハウジングをCDプレイヤーみたいなトレイ式にして大きく前に出し、そこにオーダローダーで上からカセットを落とす
・トレイを引き込み、VTRにカセットを装着
・記録が終わったらカセットをトレイに載せたままVTRの前に出す
・オートローダーでカセットをちょっと持ち上げてから横に排出する

というおおまかな動きはすぐに整理出来たものの、それぞれの機構は前例があるわけでもなく、こちらも試行錯誤。


まずはカセットハウジング

 CDプレイヤーはトレイを引き込んだら上からCDを押さえてスピンドルを回せばいいのに対し、VTRはカセットを下に降ろしてテープローディングさせないといけません。つまりトレイの前後移動だけでなくけっこうな上下移動も必要、しかもVHSカセットはCDに比べて格段に重くて大きいときています。
 結局前後移動は左右のレールをラックアンドピニオンで駆動、トレイは左右のパンタグラフで上下移動可能にして、トレイを引き込んだらロックを外して、上下駆動部がトレイを捕まえて上下に動かす、という構成にしました。

 (持ってないので拾いもんの写真しかないのが残念)


 カセットハウジングで苦労した点としては、ラックレールの強度です。そもそもBR-7030に組みこむという前提なのでスペースがキツキツで、かなり細いラックレールになってしまいました。オートローダーとしての動作に問題ないレベルにはなっていますがちょっと華奢です。ギアやガイドも小さく無理に動かすと歯飛びが起きやすいので、手動での操作はしないということにしています。

 もう一つ苦労した点はトレイのロック機構です。トレイが外にあるときは上下しないようロック、引き込んだときはロックレバーを押して強制的に解除するんですが、ロックが戻るときはスプリング力で戻るだけなので、引っ掛かりなどがあるとロックできず、途中でトレイが落下してしまいます。スプリングの角度や強さを変えて対応しましたが、ロックする側も強制的に押すようにしておいたほうがよかったんでしょう。

 逆によかった点としては、ゼネバギアによる上下駆動アーム。ゼネバギアは初めて使いましたがトラブルレスで動いてくれました。

(その4 オートローダー編 へ続く)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?