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タカチセのちょっとだけラジオな話

みょーさんの企画『ちょっとだけコンテスト』
5回目が開催されています。

今回は『ちょっと○○な話』ということで『○○』は自分で考えるというもの。
先日、みょーさんから「ラジオ局時代の話とかしたら面白いかも」と言っていただいたのを思い出し
今回このテーマで書くことにしました。

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私が働いていたのは『コミュニティ放送局』と位置づけされる
ごく狭い地域で視聴できる地域密着型の放送局でした。

最初はボランティアとしてお手伝いしていたのですが
「給料もらって生放送してみない?」
と言われて、生放送のパーソナリティをすることになりました。

「わぁー!シンデレラストーリー!」
と思ったあなた。
よく考えてみてください。

何の経験もない、全くの素人を生放送に起用するということ。

それくらい、当時の局内は混乱していたのです。

開局当時にいたパーソナリティさんはほとんどが辞め
私が声をかけられた時は、残り1名。
まだ開局から1年だったこと。普通の会社なら相当ヤバいです。

そんなこと、当時は微塵も考えていなかった私は
意気揚々と承諾。
6年間働きました。

地域密着型と言えばとても聞こえがいいのですが
やはり、キー局(県内や全国で聴けるラジオ局)のような研修等はなかなか難しいです。
※あちこちにコミュニティ放送局が開局した当時、テレビやキー局でアナウンサーをしていた人が転職して、スタッフ間で教育しているというような所もありました。

原稿読みも勿論難しいですが
私が何より難しいと思ったのが
『コメント力』
です。
咄嗟に来た相手の話に咄嗟に答えるというのは、かなり難しい。
これが生放送となると更にハードルが上がります。

放送の中で、地域の学校の子供達に作文を朗読してもらいそれを流すというコーナーがありました。
子供の声がラジオで流れるとなれば、親は聴く=新規リスナー獲得にもなるという狙いもあったようです。

生放送デビュー前、先輩の放送を見学した時の事。
その日も可愛い子供の作文が流れました。
何か行事の思い出を楽しそうに話していたと思います。

その作文に、先輩が発したコメントが

「うーん…わかんないや!」

その場にいた人達の凍り付いた顔が忘れられません。

その方は、私がデビューする頃
生放送にも局内にもいませんでした。
事情は怖くて聞けません。
このあと局内で『”わかんない”は無しだよ』という謎の決まりができました。

そして、生放送デビューを果たすわけですが

皆さんは、ラジオというと
●パーソナリティはトーク専門
●「キュー!」を出したり音楽を流すようなスタッフがいる
というのを想像するかもしれません。

それはね、キー局やコミュニティ放送局でもかなりしっかりした局のシステムです。

私の生放送は基本1人でした。
この1人、というのがどうゆうことかというと

話すのは勿論
ミキサー(音楽流したり、マイク音量調節したりする)も私がやります。
キュー!は自分の心の中で出します。

朝の生放送となれば、出勤しているのは私一人。
放送の合間に電話が鳴れば対応します。

朝の生放送の流れとして

5時半に出勤
そこから新聞や天気予報、臨時のお知らせがないかをチェック
流す曲を決め
リクエストがあれば準備し
7時に放送スタートして
音楽が流れているタイミングでメールや臨時のお知らせチェック

この作業、最初こそテンパりますが
慣れてくると反射的な動きでこなせます。
放送中、音楽流すタイミングでオニギリ食べられました。
パンは口の水分持っていくから、オニギリが最適。

ちなみに、飲み物は”ぬるいお茶”
炭酸とかジュース類は、糖分がのどにへばりついて咳が出るリスクがあります。
冷たい飲み物もいきなり咳が出たりします(経験済み)
一気にたくさん飲めば話している最中にゲップが出ますので少しずつ。
放送時間が長くなればその重要性は更に上がります。

生放送以外にも、CM制作(声入れからBGM入れたり編集まで一人作業)
収録番組の制作、インタビューの予定が入れば外にも行きます。

毎日何時間声出してるのかわからないので
ちょっと気を抜けば声ガッサガサ。
生放送まで残り30分なのに天竜さんみたいな声になってしまう。

こうゆう時の最終アイテムは”豚骨ラーメン”

これ、本当に効きます。
最低でも2時間は声が戻ります。

特別番組や、地域のイベントに野外スタジオを作って放送する時期になれば
上記の通常の業務とは別に仕事が入ります。

その他に、夜にバイトを掛け持ちしていました。
(小さい局ですから、給料も小さかったのです)

それでも、私の中には
「私がやらないで誰がやる!」
みたいな得体の知れない承認欲求がありました。
承認欲求こそが栄養源。

あの時の私に言えること

承認欲求で飯は食えないし
豚骨ラーメンはサプリメントじゃない

でも、お陰様で丁寧な言葉の使い方や、咄嗟の時に言う”とりあえず当たり障りない返事”は得意になりました。
この特技のお陰で、コミュ障ですが人当たりよく見られるので感謝しています。

今もラジオが大好きです。
思っていたより、ラジオは私の人生に深く関わり続けていました。


『ちょっとだけラジオな話』
ちょっとだけだったか不安になってきましたが…大丈夫でしょうか?
自分の仕事をこうして振り返ることで、自分の気持ちの整理にもなりました。

みょーさん、今回も素晴らしい企画をありがとうございます!


#ちょっとだけコンテスト #エッセイ #ラジオ #昔の仕事 #過去を振り返る



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