僕とわたしとおっぱい

さっき久しぶりにちゃんとしたブラジャーをつけた。

去年マッチングアプリで出会った男の子と付き合ってたときに買ったぶらじゃー。

「こんなにおっぱいあったのかじぶん、、……」

って思った。

これは自慢じゃない僕としては。

でも数パーセント、壁の横からそろりと顔を覗かせる「わたし」にとっては自慢。

自分の中には正直、「ぼく」と「わたし」と「ウチ」と「オレ」がいる。

てか昔(小学生までとか)はね、別にそんなに区別する必要もなくて、曖昧なものは全部ひっくるめて「ウチ」で完結してたんだけどな。

大きくなって徐々に大人として社会や他人と関わらなきゃいけなくなるにつれて、
"曖昧"が通用しない場面が増えたと思う。

正直ぼくは自分でも昔(中1、2くらい)から
「自分はなんでこんなに矛盾してるんだろう」「じぶんは矛盾の塊だ」
なんてノートに走り書きしてたのを覚えている。

"曖昧"というカードが使えないのは僕にとってはかなり生きづらい。
バイトひとつとっても履歴書というものがあって
「男・女」に○せよ
の欄がある。
正直ぼくは数日前にバイトの履歴書を書いてたんだけど、そこの欄だけまだ埋められずにいる。
ぶっちゃけ女に○つけて女のフリして働こうか迷ってる。(僕の身体はメスです)

でなんで今日こんなこと(おっぱいの件)を改めて思ったかっていうと、なんか最近、長女の同棲のカミングアウトがあった関係で、
元?現?鬱病の父の情緒が不安定で、しかもベロベロに酔っ払ってたりして「女体盛りにするか!」とか結構エグい冗談を色々と連発していてそこにオレの「女体」の話もなんか若干出ててもうすんげえ嫌だった。
なんか傷付いたし、父がいなくなった後で姉と母親が話を聞いてくれて涙が出てしまったんだけど、母は「今日はパパそうとう酔ってたから酔っ払いの絡みだからさ、気にすることないよ」
と言っていた。
いや分かるけど、理解はできるが傷は癒えんと思った。でも同棲を控えてる「好き」を、「両想い」を知ってる姉が抱きしめてくれてすごく涙が出た。

まあそれでね、そんなことがあって。

でついさっき。風呂入るのでなんかもう「ぼく」だしなんなら「オレ」だからいっかって思っちゃって脱衣所のドアを半開きかほぼ開いた状態でズボンを脱いだらちょうど玄関の廊下を挟んで向こうのリビングから父がこっちを向いていてなんか明らかに気付いた感じで、「うわ、」って思ってたらやっぱり案の定で、
父がなんか近づいてきてドア越しに「今こっち(のスペース)きちゃまずいの?いいの?」
みたいなことを聞いてきたので
「いやまずいわ。ごめん」
と言ってドアを閉めた。
けど多分普通にパンツ見えてたと思う。割としっかりと。
リビングに戻った父は聞き取れなかったけどなんか迷惑そうに母にグチグチ言っていた。
今のぼくへの文句を言ってるのかな?って気になって聞き耳立ててたけど聞き取れなかった。

なんか自分が父への配慮が足りなかった迷惑かけた側な気もするし、オレなのになんで父親に隠さないといけないんだとか、でも女の身体だしなとか色々とモヤモヤしながら風呂に入っていた。

風呂出て久しぶりにちゃんとしたメーカーのブラジャーをつけたら、やや体重が増えたのもあって余計に胸が大きくて、これは、女の身体だなって、確かに父親に見せたら喜ばれるだけだって、隠さないとまずいんだなって、
思わざるを得なかった。

知らないよ。ぼくに聞かないで。僕の身体のこと、性別の細かなあれこれ。



曖昧なまま、女と男だなんて気にせずに走り回って遊んでた小学生の頃は、よかったのに、

なんて思った夜だった。

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