あめだからだいじょうぶ。
あめ。
あめ、
あめ。
ぼくは雨がすき。
ほんとは晴れてるのも好きだけど、
最近のぼくは雨のほうが仲良し。
雨はやさしい。
そんな暗い顔してちゃ始まらないよ
とか
外出たら?
とか、
言わないから。
ぼくはいまは、あんまり外に出たくない。
というよりたぶん、
人に会いたくない
というか。
でももっと言えば、
だれかとすれ違うたびにいまの自分と比べては、
じぶんに「もっとがんばれば?」とか、
「いつになったらバイト始めるの?ってか仕事どうするの?ってかこの先どうすんの?なんか散々『じぶんは芸術家肌だから(学校に馴染めないのは仕方ない、将来芸術家になって見返してやるんだ。だから今は友達いなくても気にすることない、そのままのじぶんでいればいい。自分には芸術のセンスがある)。』なんて言い聞かせてた割にこのザマかよ、笑えるね。どうすんの?このまま普通に就職したらただコミュ力とか協調性とかがなくて友達できなかっただけなのに自分は芸術肌だって思い込んでただけの残念な凡人ってことになるよね。中学生のときの自分がかわいそうだと思わないの?『いつか報われる。この痛みが強さに、誰かの痛みをわかるやさしさになる』って信じて耐えてきてたのにね。
いまここで芸術家として生きる道を諦めたら、
いままでのはなんだったんだろうね、
って話になるよね。なんか茶番ってか、さむいよね。」
なんて、言われるのがつらいから、かな。
中学生のぼく、
恥ずかしいですか?
ぼくはいま、恥ずかしいですか?
中学生のあなたから見て。
きっと、そうは言わないと思う。
ぼくは今も、痛いです。
中学のときとはちがう痛みです。
雨はね、やさしい。
冷たいのにやさしいんだ。
ぼくのすきなくにちゃんは、
雨みたいなひとだと、ぼくは思う。
冷たいのに、冷たいからじぶんが冷たくてもなにも責められたりしないみたいな、
冷たくてもいいんだ
って思わせてくれるような、
そう思ったら少しホッとして、
そう思ったときにはポっとほんのり温かさが灯って、やさしく焚き火の炎にあたってる時みたいに、こころがふんわり包まれる。
そうなることすら計算してたみたいにクシャっと笑う。
なにもかも偶然ですよ~♪みたいな顔でおちゃらけて見せてくれる。ポケットからマグロ寿司なんか出す。
そんなの笑ってしまう。
そんなの、笑ってしまうよ。
どんなときでも、そんなの笑ってしまうじゃないか。
なんてこちらがすっかりあったかい気持ちになって
「ねえ国ちゃん笑笑」
なんてようやく笑いすぎて瞑っていた目をようやく開けて話しかけようとすると、
もういない
風のように漂いながらいつのまにかとっくにどこかに行ってしまっていて姿が見えない。
なんだか、そんなかんじ。
ぼくは雨がすき。
冷たくて、
太陽よりあったかいから。
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