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よこただいすけ詩集

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個展に際し残してきた感情の記録、のようなものたちです。
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MUSEUM

そろそろ出掛けましょう あたらしい装いで あたらしい気持ちで きれいにきれいに仕上げましょう 名前なんて読めなくなるまで真っ白に 喜んでもらえるのなら 楽しんでもらえるのなら 演じましょう 踊りましょう 切り取られるのは一瞬 残るのは永遠 すべては誰かの思う通り このしずくが潤いとなるのならばそれで 2023.8

home

少しつよい風に運ばれただけ 少し景色が変わっただけ 瞼を閉じればまたもとどおり ほら何も変わらない ただそこにある まだそこにいる 不安になるのはいつも そう思い込んでいるから 存在しないものに名前をつけて それを拠り所にして 臆病な自分と折り合いをつけてきた うすうす気づいてはいるけれど まだもう少し幻想の中に埋もれていたい 帰るにはまだ早い気がして 2023.2

BOOKS

伝わらなかった言葉がある 伝わらなかった想いがある 臆病者はただ、偽りの海に沈んでいく 息を止めてみてはじめて 呼吸をしていたことに気づく 鏡の中にはもう誰もいない それでも 最期の瞬きが真実になるように せめてその存在が明らかになるように また言葉をつづり 想いを書き留める 2022.2

loop

窓のむこうに 月 夜風につつまれ 冬の香りが見え隠れ 近づけない 届かない 思いを映す鏡は粉々に なす術なく立ち尽くし 肩落とす地表に 月 すくい上げた両手に大粒の涙 歪みちぎれる光の波は やがて暗闇に覆われ 窓のむこうに 月 2019.11

Library

うるさいなぁ と いつも 思います 煩わしいなぁ と いつも 思います 生きる というのは 人 というものは ひとりで ひっそりと 過ごしていたいのに 好きなことをして 微笑んでいたいのに 孤独なんて 最高なのに うるさいなぁ と いつも 思います 煩わしいなぁ と いつも 思います こんなにも 世界は 美しいのに 2019.7

owl

光の届かなくなった暗闇。 まっ暗だけど、ボクにはよく見えます。 こそこそ、ちまちま、絵を描きます。 こそこそ、ちまちま、字も描きます。 いろんなことから解放されてあとは寝るだけ。 いろんなことを手放して。 いろんなことを諦めて。 「心の闇」なんていう表現はネガティブな印象が強いけど、 実はそれこそがその人の本来の姿だったりして。 こそこそ、ちまちま、絵を描きます。 こそこそ、ちまちま、字も描きます。 自由時間のはじまり、はじまり。 2018.9