がんばれない親のための中受読本

◎初めに

中受において保護者のみなさまががんばらなくていいということをテーマに書いてみようと思ったのですが、まったくがんばらなくていいなんて甘い話はありませんでした!!まったくがんばりたくないという方はどうぞ重課金してください。ただ、がんばる方向性は変えられるよねという話をしたいと思います。プロに踊らされて、御三家や灘などといった最難関校を目指すために親が家庭学習を管理しなければならないという固定観念から抜け出しましょう。では、どういった方に向かうかというと、幅広く学校情報を持つことと、我が子の状況を正しく知ること、対塾の情報収集力とコミュ力を持つことですね。

◎第一志望 ダメだったでも いいじゃない

第一志望は持ちましょう。親の誘導があるのは仕方がありませんが、できれば子供の意志で決めたいですね。目標がないと人はがんばれません。そして、子供はその第一志望に向かってがんばってほしいです。本気で打ち込んだ方がその子の血肉となる経験になるはずですから。ここで一つの関門があります。子供ががんばらなかった場合、もしくはがんばったのに成果が出なかった場合、親がそれに耐えられるのかですね。耐えられない理由としては、①がんばらない子供の性根が許せない②我が子ががんばっているのに報われないことが辛い③このままじゃ第一志望に届かないことがもどかしい あたりですかね。この章ではこの①~③のうち、③について書いていきます。

さて、そもそも第一志望に絶対に合格しなければいけない理由ってなんですか??NDだけが学校なんですか?KOだけが学校なんですか?第一志望に合格できなかったことで子供の人生にどのような不利益が生まれるのでしょうか?何らかの不利益はあるのかもしれませんが、それってはっきりとはわかりませんよね。第一志望に合格しなければならないと思うからただでさえ苦しい受験勉強のサポートが苦しみに満ちたものになってしまいます。何が何でも第一志望に合格しようと思うのは本人と塾講師だけにしましょう。もちろん、子供に対して、「ママは信じてるから」的なポーズは必要ですけどねwそして、ここで親に必要になってくるのは幅広い学校の知識ですね。そもそも私立の学校が少ない地方の中受だと話は変わってくるのですが、少なくとも首都圏にはたくさんの学校があります。そのたくさんの学校は、偏差値が高いほどいい学校ということでは決してありませんよね。そんなことみなさん知っています。そもそも一般的にいい学校でも、我が子に合うとは限りません。その上で、実際に自分の目で学校を見て、いい学校が数多くあると実感されているかというと話は別かと思います。4年生の時点で学校見学は済ませて志望校を決定するなんてことは言わずに、様々な偏差値帯の自分がいいと思える学校を見つけてほしいです。そうすることで、親が家庭学習を管理して何が何でも第一志望に合格させるという方向性から、最終的にどんな成績になったとしても行かせたいと思える学校に合格させるという方向性に努力の仕方を変えられるのではないかと思うのです。あとは親と子の適性ですね。前者の方が向いているならそっちを選べばいいですし、後者の方が向いているならそっちを選べばいいだけです。(まあでも前者を好む人は後者をそもそも選べない人なんでしょうけど。)

◎塾講師 使ってなんぼ プロだもん

次に、①がんばらない子供の性根が許せない②我が子ががんばっているのに報われないことが辛い についてです。①は親が「がんばる」のハードルを下げられるか次第ですが(個人的には小6の子供が朝から晩まで塾に缶詰になっている時点でがんばっていると思うのですが…)、②に関しては人間の心ゆえになかなか難しいですね…とりあえず、こんなときに親が自ら子供に勉強の指導をすることをやめませんか?自ら勉強を教えようとするから子供との軋轢が増えるのですし、それでうまくいかないとさらに苦しみが増してしまいます。じゃあどうするかというと、塾に働きかけて講師から子供に個別で指導してもらうんです。正直、親が自ら付きっきりで子供に教えた方が即効性はあると思います。でも、いいんです。「第一志望 ダメだったでも いいじゃない」ですから。ここで必要となってくるのは我が子の状況を正しく知ること、対塾の情報収集力とコミュ力を持つことです。

まずは我が子について知ることですね。塾に何かを要望しようとしても、子供の状況を正しく知らなければ要望もできません。子供に勉強の内容を教える必要はありませんが、テストの結果を見るだけではなく、一週間のスケジュールは子供と一緒に把握し、塾に行く前に宿題をやったノートは見てください。もちろんこんなことは、これを読んでいるみなさまはすでにやっているかと思います。では、そこで感じたことを講師と共有できているでしょうか?宿題が回っていないのならスケジュールをどう改善すべきか講師に聞く、例えば割合ができていないのならば割合の問題を授業前後に講師に教えてもらう、そういった塾に対する働きかけを親がしませんか?テストの分析も同様です。エクセルに分野ごとにまとめてみたいなことをしている父親もたくさんいるんでしょうけど、塾からもらった資料で大まかな弱点はわかりますし、その内容を講師に確認してみてください。そうすれば、その弱点はカリキュラム的にあせって建て直しをしなくていいとか、授業の様子では力自体はあるので放置しておいていいとかがわかるはずです。また、みなさんは我が子の塾での様子はどれほどご存知でしょうか?100%知っている保護者は絶対にいないですよね。自分が子供に家庭学習で求めるものと、塾での様子を知っている講師が子供に家庭学習で求めるものに食い違いがあるかもしれません。自分で子供の足りないところを探して指摘するのではなく、「先生がこれをしてほしいと言ってたよ」と講師を挟んで子供に指摘してみてはいかがでしょうか?その方が親がヒートアップせずに済む可能性があると思います。

これもどれがご自分に合っているかでしょう。塾なんて当てにならない、自分が教えるのが一番だと思うならそうすればいいですし(そもそもそう思う人はこの記事は読んでないな笑)。ただ、気をつけてほしいのは、自覚的に塾を利用することができる子供なんてほんの一握りだということです。私自身、保護者に子供が質問に行きますから対応してくださいと言われていたのに、子供が忘れて帰ってしまったことなんて多々あります。ですから、「子供が忘れていたら、申し訳ないのですが先生から声をかけてもらってもいいですか?」というところまで依頼する必要もあるかもしれません。

集団塾の講師なんてものは30人ぐらいのクラスを週に何コマも担当しています。自分の子一人に自発的に声をかけてフォローしてくれるような講師はほぼいないと思ってください。それは現実的に不可能なのです。でも、保護者から声をかけてくださいと依頼されたらほぼまちがいなくするでしょう。ただ、講師からの子供に対する指導がそこまで熱心でないことがあります。その理由は、①講師の資質②親が求めるものを講師が重要視していない の2パターンが考えられます。②の場合はコミュニケーションエラーです。例えば、4年生ぐらいの子に宿題をもっとやりこむようスケジュールの見直しも含めて子供に話してほしいと依頼したとします。しかし、講師から見ると4年生でこれ以上求めるのは無理だなあと感じることがあります。そういうときは、少なくとも私は声をかけたという事実を残すだけにします。親の言うこと全部を聞いていたら子供がもちません。繰り返しますが、本人の資質・現状と親の意識のギャップを講師とすり合わせができるか、そこで対塾の情報収集力講師とのコミュ力が必要になるわけです。そもそもみなさん、我が子の授業を担当している講師と話したことはありますか?私は平常授業でも一対一で話したことのない親は結構いましたよ。集団塾なんてそんなもんです。そこで集団塾はそんなもんなんだ、じゃあ自分でやらなきゃと思うと、自分が教える羽目になるわけです。自分の子が通っている塾についての情報があれば、塾との認識のギャップが少なくなりますし、塾に対してどこまでなら要求していいかがわかります。そして、普段からコミュニケーションを取っていればお願い事もしやすくなりますよね。まずは塾に子供を迎えに行くときに、担当講師と立ち話をするところから始めてみませんか?

もちろん今まで述べたことを全力でやるというわけではありません。徐々に講師とコミュニケーションを取り、子供の短期での急激な成長を望まないのが大前提です。そもそも親ががんばれないことを前提に書いていますから、子供に過度に期待しないのと同様に自分自身にも過度に期待しないでください。自分が直接がんばるのではなく、講師にがんばってもらい、その結果子供ががんばるという流れを長い目で作れるといいかと思います。繰り返しますが、ここまで書いた方法論で成績は上がりません。自分はがんばりたくない、でも成績は上げたいのなら課金でもしてください。それで成績が上がるかはわかりませんが。しかし、ストレスなく受験を完走するという点において、この文章がみなさまのお役に立てれば幸いです。どんなに今が辛くとも、中受は途中で投げ出すことが一番辛いですから。

◎おまけ・塾の動かし方

塾をうまく使って、保護者は子供に直接働きかけるというところでは労力を使わないようにしようというコンセプトで書いてみました。おまけとして、塾がうまく動かすコツになるようなことを付け足します。ただ、気をつけていただきたいのは、以下に書くことは一般的な感覚を持った講師に対して効果があることです笑

・愛想よく、コミュニケーションを密にとる。でも、一定の距離感は保つ

当たり前ですが講師との間も対人関係です。日頃うまくコミュニケーションを取れていれば、講師側も言いづらいことも言いやすいです。まずは送迎時の挨拶・自己紹介・立ち話からでいいでしょう。外見も大事です。あからさまな成金趣味だったり、厚化粧だったりすると講師側は警戒します。普通に見えるのが大事です。クレーマーなんてもってのほかですよ。クレーマーに対しては耳心地のいい言葉しか言えなくなります。ただ、仲良くなって友達感覚で話すのはダメです。一般的な感覚を持った講師は引いてしまいます。もしそこでさらに距離が詰まってしまうような講師なら、たとえ腕があったとしても人間としてはどこか欠落しているタイプですよ。

・私もちゃんと見ていますアピールは大事

親が宿題を教えなくてもいいです。ただ、子供の状態を知るために終わった宿題は見ましょう。さらに、講師の仕事ぶりを見るために返ってきた宿題の講師のコメントは必ずチェックしましょう。そして親が宿題を見ていることをアピールするといいですね。講師と話すときに話題に出したり、宿題に直筆の質問を書き残したりというふうに。はっきり言って子供のすべてが講師の力量を見極められるわけではありません。ですから、授業のときに子供の人気取りをしておいて、後は最低限おさえるところはおさえるというスタイルでも講師という仕事はやっていけます。ですが、親がちゃんと見ているとわかればそういった講師の背筋も少しは伸びるはずです。宿題のコメントがgoodの一言から一文ぐらいには伸びるかもしれません笑

・事務手続きのミスはチャンス

塾の中には企業としてのレベルがとんでもなく低いところがあります。そういうところは頻繁に事務手続きのミスが起こるでしょう。もちろんミスがないにこしたことはないのですが、塾の良し悪しは事務のクオリティで決まるのではありません。むしろ、そういったミスが起きた際に子供への指導のサービスでカバーしてくるような塾こそ良い塾ではないかと思います。ですから、ミスが起きたときこそ塾のレベルを測る試金石だと思ってください。前項とも共通しますが、ここでクレーマーになってはいけません。一度クレーマーになってしまったら、その家庭を塾は関わりたくない家庭と認識します。そして、その認識は各教科の講師で共有されると思ってください。もし塾が何らかのミスをしたときは、まずそのミスに対するリカバリーがあれば「いいですよー」と流しましょう。そして次にすかさず「うちの子、最近算数はできていないみたいで~」とねじこむのです!!さらに「じゃあもらっていなかったプリントは明日取りに行くので、そのとき〇〇先生にうかがいたいことがあるんですけど~」というところまで畳み掛けられればベストですね。逆に言うと、ミスをしたくせにそのリカバリーがない塾・講師は大したことないと見切ってもらって大丈夫です。

・講師を動かすのは怒りではなく、同情

みなさん、仕事で上司や顧客に怒られたり、家庭内で夫や姑に怒られたりしたときに見返してやろうと強い気持ちが持てますか?なかなかそういう人ばかりではないと思います。講師も一緒です。保護者になんでうちの子をちゃんと指導してくれないんだと怒られても、集団授業の中でやれることはやっているよ!という気持ちになります。また、怒られたからやるというのは受動的で長続きしませんよ。子供の勉強と一緒ですね。じゃあどうするかというと、講師になんとかしてあげたいという気持ちを起こさせることです。成績がなかなか上がらない、急にテストの点数が落ちた、そういったときは講師に怒るよりも、しおらしくもう打つ手がなくてどうしようもないですという姿を見せて講師の心を動かした方が効果があるのではないかと思うのです。ただ、ここで気をつけてほしいのは、同情してもらえるのは普段、最低限がんばっている子限定です。講師は(その塾・クラスの基準と比べて)がんばらない子供に対してはどこまでも冷たくなれるということを忘れてはいけません。また、親がしおらしくしているのに子供がまったく気落ちしていないというのも助けようという気持ちが起こりません。普段、気丈にがんばっている子が、成績が伸びず落ち込み、親も励ましているのだけど(今回のテーマ的にここはポーズでOKですw)打つ手がなく途方に暮れているという姿が講師の胸を打つはずです。そういった姿を見ても何もしない、具体的な方法論を示せない講師は腕がないと思ってください。

いろいろうだうだと書きましたが、最後が一番大事です。結局、まともな人間はがんばっている人間に手を差し伸べたくなります。我が子が最低限がんばっていないと、講師を我が子に対してさらにがんばらせるのは難しいです。そこはもう楽な方法はないですね。

◎最後に

思ったより保護者のみなさまをがんばらせる方向で書いてしまって、反省しています笑。いやあ、がんばらないで受験を乗り切るのはやっぱり難しいですね。しかし、第一志望合格ではなく、受験にオールインせずに長い中学受験を完走するというスタイルのがんばり方がみなさまの現在に少しでもお役立ちできたらいいなあと思っております!!


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