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2018年ヤクルトスワローズ「スワローズレディースDAY」のSNS戦略に関して


はじめまして! #NFB (日本野球女子機構)の野里和花(のざと・のどか)です。

NFBは「野球観戦という体験のアップデート」を目的とし、マガジンを通して発信を行っています。 


2018年6月9~10日の2日間、オリックスバッファローズを対戦相手に、ヤクルトのガールズデーが神宮球場で開催されました。NFBとして、初の活動としてメンバーで球場に足を運びました。
この日はガールズデーであり、この2日間は様々な催しが企画されたなかで、今回、わたしはSNS戦略に目を向けました。実際どのような取り組みが行われていたのか、そしてどんなSNS戦略があればもっと盛り上がるのか?…などなど、レポート・考察していきたいと思います!

野球が大好きな人も、ちょっと興味ある人も、たいして興味がないって人も、ぜひ最後までお読みください~!

 
「スワローズレディースDAY」におけるSNS戦略の目的


まずSNS戦略の目的ですが、私は、「観戦にきた女子が楽しんでいる様子をSNS上にアップすることで、女子の間での野球の認知度が上がり、野球に(スワローズに)興味をもって来場する女子が増える」であると考えました。
昨今、CMで大衆に宣伝するのと同じくらい、身近な人間の口コミ(発信)が大事にされる時代ですよね。新規の野球ファンを増やすためには大事な戦略となっています。

スワローズレディースDAYにおいて行われていた「ツイートさせる企み」


まずは、ヤクルトスワローズが、ガールズデーをSNSで盛り上げるためにどのような企画をしていたかを紹介しながら、実際効果的であったかを考察しようと思います。

(個人の見解が含まれ、数字的な検証が行われていない項目が多々ありますことをご理解いただけると幸いです…!)
 

【ハッシュタグ #スワローズレディースDAY


まず、SNSといえばハッシュタグですよね。
ヤクルトスワローズでは、ガールズデーのために「 #スワローズレディースDAY 」というハッシュタグを用意。ヤクルトスワローズの公式アカウントでも、この日のツイートには全てこのタグを用いていました。
 
ハッシュタグが用意されているのは、ガールズデーのSNS上の盛り上がりをまとめて確認できるという点で優れていると思います!ただ、このハッシュタグが去年と同じものなのかが少し気になりました(おわりに2018と付け加えるだけで良いのに)
ハッシュタグを分けなかったことで、新旧の情報の混在が懸念されてしまいます。たとえば、今年の情報を収集したくてハッシュタグで検索した場合、昨年の情報まで混ざっているので、読み手によっては取り違えてしまうことも考えられるのです。発信するのであれば、読み手が的確に情報までたどり着くような気配りも必要かな、と思うので、その年ごとにハッシュタグが用意されていると親切ですよね。
 
また、このハッシュタグがどのくらい周知されていたかが疑問でした。後述しますが、この日、ガールズデーに合わせて配られたプレップに印刷されていたのと、ガールズデーのLP内で「つぶやこう!」と宣伝されていたの、このふたつしかわたしはSNS上以外で目にすることがありませんでした。
 
ヤクルトのアカウントをフォローしている人ならまだしも、そうでない人にとっては、ハッシュタグの存在が周知されずにせっかくツイートしていたとしても使用していないかも…?
 
たとえばスクリーンでツイートを促すとか(できることなら、常にハッシュタグが画面下に表示されている形がいいと思います!※観戦した日、雨のため球場に滞在したのは2回裏まででした。それ以降の時間で、スクリーンにも表示された可能性はあります)、販売されているガールズデー限定商品のビラに「 #スワローズレディースDAY でつぶやこう!」などど促す一文がはいっているとか、ツイートした人の中から抽選でプレゼントがもらえるとか、そのような催しとセットでないと、なかなかつぶやかないのではないかな、と。
 
さらに、そもそもの話をすると、この「 #スワローズレディースDAY 」というハッシュタグ、長くて覚えにくいな、と思ってしまいました。わたしは観戦した2日目、自分でもこのハッシュタグをつかって3回ほどツイートをしたが、「文字間違っていないかな?」とその都度確認をしていました。Twitterなどは特に文字数も限られているので、ハッシュタグは短いに限ります。また、「デイ」か「DAY」か、「ヤクルト」か「スワローズ」か、それでも迷ってしまう(そういう分からない面倒さをなくすためにも、常に確認できるモニターへの表示が効果的ではないでしょうか?)ので、なるべく簡潔でわかりやすいハッシュタグが採用されていればいいな、と思いました。


【写真を撮りたくなるフォトスポット】

ツイートをさせるには、まずは写真を撮らせる必要がありますよね。神宮球場にも様々な「撮りたくなる」フォトスポットが用意されていました!
ツイートをしてもらうのであれば、そのツイートがより楽し気である方が見ている側の興味も引くでしょう。そういった気持ちもくみ取ってか、楽し気に写るような仕掛けが様々あり、いつもよりも球場がにぎわっているように思えました。 

まずは入り口はいってすぐに目を引く、イケメンベスト10等身大パネルです。スワローズイケメン大総選挙」で上位10位になった選手の等身大パネルが並んでいます。また、SNS用のパネルも用意されていました。残念なのが、わたしが来場した2日目は雨だったため、せっかくのパネル前が閑散としていたこと。

また、「ぜひ撮ってツイートして!」という仕掛けも用意してありました。
ガールズデーに合わせて女子限定で無料配布されたユニフォームと一緒に写真を撮るためのプロップ(SNS用パネル)が配布されていました。全部で4種類のこちら、なかには選手名を自分で記入でき、オリジナリティを出すことも可能です(プロップについてはこちら)。
 
しかし、あいにく、わたしが観戦した2日目は雨であり、さらに神宮球場は屋外球場。雨の日に、薄い紙でできた小物を渡されても活用ができないのが残念です。
また、ユニフォーム受け渡しは流れ作業で行われていて、導線的に立ち止まることができませんでした。もっと広い場所で立ち止まって、もらったボードに書き込みができるエリアがあったほうが良かったのではないでしょうか。野球観戦にペンを所持してやってくる女子も少なそうです。きちんと自分でゆっくりと(できれば友人ときゃっきゃっ言いながら)書き込みができ、さらに可能であれば、デコレーション(シールなどは無理だとしても、無印良品でラッピングのデコレーションに使われているスタンプなどなら比較的揃えやすそう)もできたほうが、楽しみが増えていいなと感じました!
 

ガールズデーに合わせて、常時販売されているヘルメット型のボウル(食べ物がこれにいれられて販売されている、非常に可愛い)もピンクverが販売されていました。これは写真を撮りたくなる…!
わたしもせっかくだからと、「つばみのマンゴーワッフル」を購入しましたよ。そしてもちろん、写真を撮ったわけですが、どうにも可愛く撮れず、結局SNSへのアップは見送ってしまいました…。

インスタ映えを求めるのが日常になって数年、SNS慣れしている人間にとっては「アップする/アップしない」の基準まで植え付けられています。たとえ、撮りたいと思わせることに成功し、実際に写真を撮ったとしてもそれがいい写真でなければ、永遠にカメラロールで眠ってしまうのが現実です。撮って、それをアップさせるには、当然「いい写真」を撮らせる手助けまで必要となります。例えば、白壁を用意しておくとか。簡易的なもので構わないので物撮りブースがあってもいいのではないでしょうか。
わたしはヤフオクドームに慣れているため、神宮球場の通路は非常に狭く感じました…おそらく半分です。もちろん人がたくさんいるわけだから、落ち着いて写真を撮るのも難しい。特にソフトクリーム系などは、溶けるまでの時間との戦いになるので、すぐに写真を撮れるような体制になっていたら嬉しいです。
 
これはユニフォームにも言えることです。この日、ライトグリーンにピンクのラインのスワローズレディースDAY限定のユニフォームが女性に配られました。せっかくなら写真を撮ってアップしたい。しかし、外は雨で、室内は混雑しているとなるとなかなかいい写真が撮れません。
 
全身撮影用の背景や(そこにシャッターを押す役のスタッフがいればなおよい)、全身鏡の設置があると女子が喜んでしかたないのではないでしょうか。

実際の効果について


実際のSNS上での盛り上がりは「#スワローズレディースDAY」の総ツイート数は「604」(ほぼツイートはガールズデーの2日間に集中している)。ちなみに、同日甲子園でガールズデーを開催していた、ガールズデーにかなり力をいれている阪神タイガースのハッシュタグ「#TORACODAY」は総ツイート「534」でした。一見少ないように思えますが、なかにはガールズデー公式アカウントTORACOの名前から「#TORACO」でつぶやくツイートも見受けられ、そちらは総ツイート数「528」あり、(タイガースアカウントは重複で使用していましたが、それ以外のアカウントではどちらかひとつを使用していたので)おそらく総数は「1,000」ほどあると思います。
 
TORACOには劣るものの、他球団はハッシュタグまでは用意していなかったりと、ヤクルトは比較的力をいれているという印象でした(つば九郎はあのキャラクターからTwitter受けがめちゃくちゃいいですからね、Twitterに力をいれるのは正しい戦略だと思います…!)。
 
ちなみに、総ツイート数「604」に対して、ユーザー数は「452」でした(ひとりあたり約1.4ツイート)。

SNS上でガールズデーを盛り上げるには

すでに催されているものに関しての改善については前述しましたが、最後に、ひとりの野球ファン・野球観戦者として、「もっとこういうのあったら楽しいよね!」というのを考えてみました。


【ツイートキャンペーンを行う】

スワローズレディースDAYの特設サイト上では、Instagramでハッシュタグをつけてポストしたものが表示されるページ(Photo)が用意されていましたが、それ以外、「ハッシュタグをつけたから」どうなるものが用意されていませんでした。わたしであれば、サイト上に載りたい!と思ってツイート・ポストはしません…。)が用意されていましたが、それ以外、「ハッシュタグをつけたから」どうなるものが用意されていませんでした。わたしであれば、サイト上に載りたい!と思ってツイート・ポストはしません…。

ツイートしたいと思うのは、キャンペーンなど行っている場合です。たとえば、ハッシュタグをつけてつぶやいた人につばみグッズをプレゼントする、であるとか。なにかツイートすることに対しての理由付けがあると積極的にツイートがしたくなりますね。

【スタッフが積極的に写真を撮ってあげる】


混雑している場所だと自撮り棒は使いづらい。食べ物などを買うと荷物も多い。写真を撮るのは結構面倒な作業に…。
パネルをただ設置するだけではなく、そこに写真を撮ってくれる用のスタッフがいるとすごく有難いです!(混雑緩和にもなる。数年前の沖縄キャンプでのジャイアンツと広島の交流戦、ジャイアンツのフォトパネル前に撮影用のスタッフが待機していて感動した)

また、球場スタッフ全員が「写真撮ります(ハッシュタグ)」と書かれたカードを首から下げていたり、写真撮影をしようとしている人には声掛けを行ったり…などの親切があれば、もうその優しさでその球団のファンになってしまうと思います…!


【チアガールと写真撮影会を行う】

ガールズデーと言っても、女性限定の野球観戦ではないので、男性ファンももちろんいます。SNS上でもっと盛り上げるのであれば、男性ももっと巻き込んでいいのではないか。
チアガールとの撮影会(ハッシュタグをつけてつぶやくことを条件に)を実施すれば、男性ファンもハッシュタグの使用に巻き込めると思う。
(また、ガールズデーであるのだから、野球の中で重要な女性が務めるポジション「チアガール」を活用しないことがすごくもったいないことにように思えました)

【公式アカウントの運用を見直す】


公式アカウントでは、ガールズデー当日、選手の限定ユニフォームお渡し動画やいくつか様子をツイートするものはあったものの、全体的にいつもの運用方法と特に変わりがありませんでした。せっかくガールズデー限定のものがあるのであればその宣伝はもっとしたほうがいいし、ハッシュタグの宣伝も必要です。また、ハッシュタグを使用しているツイートへのなんらかのリアクションも行うとファンが喜んでひとりあたりのツイート回数も増えるのではないかな、と…!

【おわりに】

ガールズデー、通常の野球観戦よりも様々な催しがあり、お祭り感があって大好きです。この様子がもっと、SNSを通して知られるようになれば、きっと野球ファンも増えるだろうと信じています…!

実は今回、わたしも初めてのガールズデー参戦で、「あ。選手名がピンクになっている」「ユニフォームが無料でもらえるなんて超お得!」「女の子と野球観戦、たのしいな~」と、ちいさなことにウキウキしました。この楽しさを、もっとたくさんの人に広めたい。たとえ、そんなに野球に詳しくなくても、選手の名前を全員覚えていなくても、野球って楽しいし、夢中になれるものだ。そう確信したので、今後もNFBの活動を通して、発信し、ひとりでも多くの人に「ちょっと野球観戦行ってみるか」と思ってもらえるきっかけづくりがしたいと思っています。

今後も、NFBとプロ野球の応援、よろしくお願いします!


サポートしてくださったお金は日ごろわたしに優しくしてくださっている方への恩返しにつかいます。あとたまにお菓子買います。ありがとうございます!