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第17回 文化放送ラジオCMコンテスト 全ファイナリスト作品レビュー

今年で第17回となった文化放送のラジオCMコンテスト。第12回で初めてファイナリスト選出をされてそのままリスナー大賞受賞をしたのはいいが、その後全く選出されなくなってしまった。毎年送ってはいるのだが、「これはいいのができた!」と思っても「今年は手ごたえがないな…」と思っても結果は同じ。

「このままでは永遠に突破できそうにないぞ。一度全作品を掘り下げてみるくらいやったろうじゃん!(by原秀則)」と思い立って書いてみることにした。

でもファイナリスト全33作品レビューとなると長い。…しかし、何となく長いと有料でも許される雰囲気がある。そもそもの需要も少ないがもし読んでくれる人がいればジュース代くらいにはなるぞというのをモチベーションにして書きます。ちなみに結構思ったことをズケズケ書くのでファイナリスト選出された方からしたらムカっとくるかもしれない。もしハッシュタグなどでたどり着いた当事者の方がいたら読まれないほうがいいかもしれません。
なお、原稿に関しては聞き取ったものを書いているので多少応募されたものとは違うだろうと思われる。そこもお断りしておきます。

前置きはここまでにしてスタート。

あ、一応サイトの方に既に結果は出ているので、受賞結果に関しては以下でご覧いただけます。


【青二プロダクション】
まず第一の課題、青二塾から。
言わずと知れた課題常連。そもそもこのコンテスト、目の前で声優が演じてくれるというところが魅力の一つでもある。自分が呼ばれた第12回で、審査員の谷山雅計氏は声優の力によるブーストを「青二力」と言っていた。でも今回司会のヒャダイン氏が「私は声優の力を青二力と呼んでます」と言ってて「えっ?」となったがまあそもそもこんなの誰も気にしないであろう。
ちなみに課題の骨子としては「次代のスター候補生を待っている青二塾をPRする20秒を。」とのことで、声優の魅力をどう表現するか。声優のスキルに特化すると結構「それは当たり前」とバッサリいかれたりするので毎回悩むところだ。

1番 埼玉県のNさん
選手:監督!なんで俺が日本代表じゃないんですか!
監督:それは…
選手:日本のサッカーの強さ、見せつけるのは俺が必要です!なのに、なんで!
監督:それは…っていうか、お前、いい声だな。
NA:声優で勝負するなら。青二プロ付属俳優養成所 青二塾。

2番 山形県のWさん
女性:あのさ、話があるんだけど
男性:話ってなんだよ
女性:気づいた?よく聞くと私たち同じなの。
男性:同じ?どこが?
女性:声出してる人が!
男性:…本当だ!
女性:いっしょだ!うふっ
NA:違う演技で人々を魅了したいなら。青二塾。

3番 千葉県のSさん
女の子:東京に行っても、忘れんでね!
男の子:うん、絶対忘れん!
車掌:列車が、発車します。
女の子:きっとよ!
SE:汽笛
男の子:あれから3年、僕は片時も忘れたことがない。あの時の駅員さん、いい声やったなぁ。
NA:心に残る声を。声で魅せるプロになる。青二塾。

17th 青二プロダクション

1番は「お前、いい声だな」で声優の道へというのが笑いどころだと思うのだが、自分の持っているイメージとして「やはりあれは演技のスキルが重要であって、元からいい声してりゃいいってもんでもあるまい」というのがある。自分もたま~にイケボと褒めてもらうことがあるが、それだけで声優目指そうとか思ったことがないし。とはいえ、強引さで笑えるというのは確かにある。実際分かりやすいし会場でもウケてた模様。
2番に関しては正直「まだこういうタイプのが通るのか」という感想。声優が一人で何役もできるというのは周知の事実であって特に驚きがないだろうと思ったのだが。過去にもおばあさんが「子供ができた」といって子供の声ができるよというのがファイナリストだった記憶がある。何より審査員も言っていたが声優の力に100%乗っかるネタである。まあだからこそ実際の演技を見られる面白さがあるのかもしれないが。
そして3番。原稿にしてみるとなるほど~と思うのだが、音声で聞いてみるとカップルの印象が強すぎて「あれ?車掌の声そんなよかったっけ?」という印象があった。2回目に聴くと「あ、確かにいい声」と思ったのでなかなか奥深いCMだと思う。ただ一発勝負のコンテストだと厳しいかも…。

【メディエイド(日本シグマックス)】
サポーターの専業ブランドということで、自分が考える時はどうしてもヒジとヒザから離れられなかった。今回はロイヒつぼ膏が同じくスポンサーとしてあったので腰の痛みとかだとかぶるな~というのが難しかったポイントである。なおスポンサーからの要望としては「メディエイドのルーツや魅力が伝わるCMをお願い致します!」と書いてあった。

<俺の応募作>
女:ねえ、ヒジって10回言って!
男:ヒジヒジヒジヒジヒジヒジ…
女:じゃあ、足を曲げ伸ばしする部分は?
男:関節。
女:えっ?
男:関節。
NA:いつも関節を思う人のためのサポーターなら、メディエイド。

これ、演技のイメージは浮かんでたんだがなぁ(笑)。しかしやはりファイナリスト作品とはちょっと違った。

1番 北海道のMさん
M~
夫:あたたた、明日、仕事で重要な役割を任されているんだけど…。
妻:膝が痛むの?
夫:あぁ、どうしよう…。
妻:誰か変わりの人いないの?
夫:ん~、俺以外、無理だな。
妻:重要な役割って、何?
夫:土下座。
NA:つらい腰や関節をしっかりサポート。医療の現場から生まれたサポーター「メディエイド」をどうぞ。

2番 神奈川県のTさん
男性A:…重い。重いぃ重い重い重い重い!
男性B:大丈夫ですか?荷物を…持ってない!?
男性A:重いよ重いよ重い重い重い重い(連呼)
男性B:何が重いんですか?
NA:重力が重くなったら。骨と筋肉を支えるメディエイド。

3番 東京都のAさん
落語家:「ひざとひじ」という一席でございました。それでは、お後がよろしいようで。
SE:拍手
落語家:やや、いやいやいや、よ、よろしくない。と、いうこともございます。そういえば、先日ですねぇ…
NA:タイミングよく立ち上がれない、つらい膝関節に。医療現場で培った技術で生まれたサポーター、メディエイド。

17th メディエイド

1・3番ともに、「ひじとひざ」を意識させつつ上手い作りになっているなと思った。ただ、聞いていた感想としては3番は「あ、立ち上がれなかったのか」ということを理解するのにちょっとラグがあったように思う。1番は「土下座」のワードが強いのでその辺がわかりやすかった。ただ土下座はサポーターで支えられるのか?とは思ったが(笑)。
2番はかなりの力技。演じていた声優さんがこれまたクセのある連呼をしていて、演技力でのブーストがかなりあったのではないだろうか。「重力が重い」というのは非常にいい視点だとは思ったが。ちなみに1番と2番が受賞作品になっている。

【ボートレース振興会】
これまたおなじみのスポンサー。これまでボートレーサーになろう!とかボートレースの魅力を!とかのアプローチがあったが、今回のお題は《ボートレースを見に行きたくなる》CMを大募集、ということですごくストレート。勝負か、迫力か、ドラマかと悩んで自分が応募したのは例えばこんな感じのものだ。

<俺の応募作>
男A:先生、最近やる気が出なくて、熱がないんです。
男B:なるほど、舟なんかいいかもしれませんよ。
男A:舟ですか、ゆっくりと船旅とか?
男B:いや、3分で終わりますよ
男A:は?
SE:ブォォォン
NA:1レース3分のドラマが胸を熱くする!行こうぜボートレース!

3分でレースが終わるということが書いてあったので考えたが、ファイナリスト作品は全然そんなこと気にしてなかった。いつも掘るところを間違えてる気がする。

1番 北海道のMさん(2作目)
M(陽気な音楽)
男性A:ハイ、ケンジ!カリフォルニアでの生活は慣れたかい?
男性B:よう、トム。まあまあさ。
男性A:どうした、カリフォルニアの太陽に、犬が小便をかけたような顔をしてるぜ?
男性B:ここでは、日本のあのゴキゲンなスポーツが観戦できないからなぁ。
SE:エンジン音
NA:日本にいるなら、行かなきゃ損!ボートレースを見に行こう!

2番 兵庫県のYさん
M(サスペンスぽい音楽とボートの音がバックに流れる)
女性:夫と子どもと、ボートレースを見に行った。観客の中に見つけたのは、私を捨てた、昔の彼。家族連れだった。私の心に波が立った。彼は、レースに負けていた。私は勝った!…いろんな…意味で…。
NA:心にも波が立つ。ボートレース。

3番 東京都のAさん
M~
パパ:私のレース中の写真を見て娘は
娘:パパおふねでかくれんぼしてるの?
パパ:と言った。空気抵抗をなくす姿勢だと説明したが、彼女にはまだ難しいようだった。そんな娘が初めてレースを見にくる。今日は負けられない。
SE:(ボート)
NA:ボートレース。

17th ボートレース

1番はメディエイドでも選ばれていた北海道のMさん。しかしずいぶん毛色が違うというか、正直言うと「これアリなの?」とは思った(笑)。カリフォルニアが言いたいだけちゃうんか、と。まったくのカンだが、他にもっといいのを応募されていたんではないかと思う。まあ、海外にはないよということが言いたかったのかもしれないが。
2番はこれまたかなりの変化球。なんか勝ったといってるわりには全然幸せそうなイメージがないのが気になった。ボートレース行きたくなる感じなのかなあ、というのが正直疑問ではある。夫と子どもと、というあたりに実は家族で楽しめるよというメッセージがあるのかな?
3番は、審査員からもかなりの高評価を集めていた作品で、実際準グランプリを獲得した。会場でもびっくりした人が多かったようだが、なんとハナコの秋山による応募作品。文化放送でラジオ番組を担当している縁からの応募のようだが、「空気抵抗をなくす」というボートレースならではの特徴を子供の疑問で表現するという着眼点には感服した。あと、なにげに娘が大きくなって観戦にこれるくらい選手生命が長いスポーツであるというところを意識したのだとしたらすごい。ただ一言いうなら最後のナレーション、シンプル過ぎんか?秒数の関係かなあ。

この後もレビュー、こんな感じです。どこで有料ラインにすればいいのか迷ったが、ここまでですでに長いのでさらに読んでもらえる人がいるなら、ということで。

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