見出し画像

結局、ラジオCMとは「会話」なのか?


数少ない実績ではあるが、ファイナリストだったりとか受賞経験があるものがほぼCMなため、「CMが得意なんだね」と認識されることがある。

そうなると「CMを考えるのが早くて宣伝会議賞にもCMをバンバン出しているんだろうなぁ」みたいに思われる可能性があるが、実際のところは全然そんなことはない。何より思いつくのが遅い。宣伝会議賞にCM100本出しましたとか、文化放送にラジオCM1000本出しましたとか、そういう話を聞くと気が遠くなりガンダーラくらいまで行ってしまう。

それはさておき。CMを考えるときに大別されるのが「会話か、会話でないか」であると思う。特にラジオCMの場合。テレビだとこれ以前に「人間が出るか出ないか」というのがある。極端な話風景映像だけだったり音声がなかったりもあり得るからだ。まぁそういうものは公募で応募できないと思うので触れないでおく。
(超美麗な映像、とか文字だけで書かれても、というのがあるから)

話を戻す。「会話か、会話でないか」というのは音だけのラジオCMの場合では重要だ。文化放送のグランプリ作品などを見ても、ほとんどが会話であると思われる。

■第14回グランプリ作品
M~
警官  犯人に告ぐ!人質を解放しなさい!!
犯人  うるせえ!俺はもう、こんな世の中に疲れたんだよ!
警官  わかった。じゃあ人質はいいから、お前自身を解放しろ!
犯人  え?
SE (キャップを開ける音)
警官  これ、飲め!
N  こんな世の中に、解放感を。一息つきたい時の日本酒、月桂冠 THE SHOT。
■第13回グランプリ作品
SE(風呂のドアあける)  
婿   お父さん、背中を流しましょうか?
義父  あぁ、それじゃあ、お願いしようかな。
SE(シャワーが流れる音)
義父 アキラくん、本当に流すだけなんだね・・・・・・
婿  あっ、すみません。風呂掃除と間違えました。
N  シューッと浴そう全体にスプレーして、あとは流すだけ。
   こすらず洗える、ルックプラス バスタブクレンジング。
■第12回グランプリ作品
女1 お先に失礼しま〜す。
男1 お先しま〜す。
女2 課長、もう帰りますよ。
男2 おぉ、お疲れ!
    (間)
   なんだ俺一人か(ため息)
   ま、お前がいるから、いっか。
M ~
N 窓の外にいつも 東京タワー。60周年。

3回ほどグランプリを振り返ってみると、全部会話であった。そりゃそうか。
そもそもラジオCMで会話じゃないというとナレーションだけでやり切るか、音楽や効果音に対してナレーションで締めるか、くらいしかない。まあ珍しいからこそうまくできれば印象的でもある。

N:毎度おさわがせしております
四条河原町阪急でございます
ご家庭でご不要の一万円札、五千円札
千円札などはございませんか
ございましたら量の多少にかかわらず、当店まで
明日からクリアランスです

※以下より引用させていただきました



ただ上記のアダチさんのnoteを見ても、95%くらい会話な印象。
じゃあラジオCMといえばやっぱり会話なんじゃないか、と思うが、重要なのは「誰の会話なのか」というところだ。ラジオCMは画が見えてないだけに、「実はこの会話をしているのは●●だった」という裏切りが可能となる。大人の会話かと思えば子どもだったり、人間の会話かと思えば犬だったり、といった具合に。

自分は基本的にほぼ会話で考えるタイプだが、何でそうなのかといえばラクだからである。最初の一言が出ると、そのまま相手の返しが浮かび、着地までいくこともある。会話にはなったが全然商品に着地しないこともあるが。
こういうパターンは漫才にも似ている。振って振ってボケてツッコんで、みたいなのがそのまま当てはまるものもあるだろう。なので放送作家の人や、ショートショートを考えるのが得意な人はラジオCMに応用できると思う。

「俺、野球好きなんだ~」
「あー、わかる。スタジアムで応援とかいいよね」
「俺はやるほう。昨日も着るものなくなっちゃったけど」
「野球拳じゃねえか!」

みたいなパターンはけっこうCMに置き換えられそうだ。

「風呂掃除って楽しいよな~」
「そうか?垢落とすのとか大変じゃない?」
「あの垢がおいしいんじゃないか」
「妖怪あかなめ!来てくれ妖怪ハンター!」
「人間の皆さんには〇〇お風呂スプレーでお掃除ラクラク」

…いやけっこう無理があるか。まあいい。
とにかくですよ、会話が考えられるとけっこう骨組みができるということです。とはいえそれならなんでもすぐできるのかといえばそうでもない。「キャラクター設定」ができないと会話は浮かばないからだ。家を建てる話を夫婦でするのか、子供とするのか、子供同士で話すのか、実は飼い犬の会話なのか。
この中では夫婦が一番オーソドックスだと思うが、かといって普通の会話でも何も面白みがない。

「あなた、そろそろ戸建てが欲しいわね」
「そうだなぁ、どこに相談しようか」
「〇〇住宅が親切なんだって!」
「じゃあ、〇〇住宅に相談だ!」

…書いてて恥ずかしくなるくらいひねりがない。でもたまにこういうのが堂々と放送されていることがある。普通の会話に見えて、というひねりを入れるならしゃべっていたのは実は犬だったとか、会話している存在を変える手もある。
例えば上記の最後に「パパ、ポチとハナコが何か言ってる~」とか加えれば多少はひねりが出るだろう。別に面白かないけども。

まあとにかく会話を考えるためには「内容か、話し手かにひねりを加える」ことがスタートではなかろうか。自分の中にサイコパスなやつを下ろして考えるとうまい具合に会話が破綻するかもしれないが、破綻しすぎてCMにならない恐れも多分にあるので責任は持ちません。

さてさてそんな風に振り返りつつ考えていくとしよう。なんか今回結局自分のために整理してたような感じ。


サポートいただけた場合、新しい刺激を得るため、様々なインプットに使用させていただきます。その後アウトプットに活かします、たぶん。