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アンモニア発電の可能性

◉以前から、チョイチョイ書いていますが。再生可能エネルギーはどれも、原子力発電を代替するようなものは現時点ではなく、多分に第四世代原子炉がもっとも可能性があるのですが。そことは別に、古代エジプト文明の昔から知られているアンモニア、コレを使った発電とか水素保存の可能性とか、実はけっこう報じられているんですよね。NHKの科学番組とかでも、特集されていたりしますし。

【アンモニア発電に商機 燃料、タービンの大需要期 JERA、三菱パワー、川重、IHI=和田肇】エコノミスト・オンライン

 国内最大の火力発電会社JERA(ジェラ)(東京電力ホールディングスと中部電力の合弁)は昨年10月、「2050年にCO2排出を実質ゼロ」にすることを発表した。
(中略)
大型タービン25年登場か
 大型タービンの分野では、三菱パワーがアンモニアから水素を取り出して燃料に使う取り組みを進めている。同社は電力会社向けの大型ガスタービンで大きなシェアを持つ。同社によると、大型ガスタービンでアンモニアを使う場合、アンモニアの燃えにくさや大気汚染物質である窒素酸化物(NOX)が大量に発生する問題から、タービンの燃焼機構を複雑にする必要があり、コスト面でハードルが高くなるとしている。このため、大型ガスタービンで発生する大量の排熱をアンモニア分解に有効利用すれば、水素を低コストで分離でき、設備をより効率的に運用できるという。

記事によればJERAは、国内27箇所に火力発電所を持ち、設備容量は約7044万kW。天然ガス火力5007万kW、石炭火力1032万kW、重油・原油火力1005万kWとのこと。石炭火力発電の比率が低いとは言え、まだまだ大きいですね。黒四ダムを持つ関西電力の水力発電所が、1府4県に合計151箇所あり、総出力が約823万kWと聞くと、石炭火力の重要性に気付かされますね。

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■アンモニアと水素■

アンモニアに関しては、燃焼させても二酸化炭素が発生しないので、火力発電の燃料として微粉炭と混焼させたり、プロペラを工夫して空気とちょうど良い比率に混合させたり、いろんな方法や可能性が研究されています。そもそも、水素をそのまま保存するには高圧縮させねばならず、液体水素の保存は管理が大変です。アンモニアは化学式がNH3のように、窒素原子と水素原子3個がくっついた存在。

水素より沸点や融点が低いし、水によく溶けるのでアンモニア水という形で、いろんな用途に使われていますか、エタノールなどと同様に、水素貯蔵の方法として研究されています。アンモニアから水素の生成は400℃近くひ加熱された触媒で生成されるらしいのですが、第四世代原子炉の高温ガス炉の熱を使っての生成も、研究されてるようで。上手く相補的に使えば、エネルギー供給の安定に益するでしょう。

■科学を振りかざせ■

けっきょくエネルギー問題という国家の根幹に関わるような問題は、こういう技術的な部分で、専門家が損益分起点とかキチンと計算して、コレはいけるとなれば、ほっといても動くんですよね。逆に、素人が一知半解の知識で、再生可能エネルギーだ脱原発だと騒ぎ、それに押されて洋上風力発電の研究に600億円も注ぎ込んだ結果、ムダだとわかったなんて事態になるわけで。

こう書くと、「じゃあ、福島原発の事故を起こした連中はプロじゃなかったのか」とか、得意げに言ってくる人がいますが。プロであることと完全無欠であることが、いつからイコールになったんでしょうか? 猿も木から落ちるとか、名人の手から水が漏れるとか、医者の不養生とか、そういうプロのミスや失敗を現す諺なんて、幾らでもあるでしょうに。猿が木から落ちても、あなたが猿以上に木登りが上手いことにはならない。

■10年スパンの未来予想図■

素人の意外な視点や、斬新な発想は否定しません。でも、リゴリズムで行き詰まった朱子学を批判したのが王陽明であったように。キリスト教の神学体系をニーチェが根本から批判したように。ニュートン力学をアインシュタインらの量子力学が批判したように。本当に深いところを批判し、それを超克できるのはやっぱり知性だと、そう思いますよ。科学の問題を解決するのも科学。

ガスタービンの登場が2025年。第四世代原子炉の小型モジュール炉の運用を、アメリカは2029年としていますから、10年スパンの中で2つの選択肢があるというのは、大きいですね。アンモニア発電や水素発電が先行し、そこに高温ガス炉が加われば、インフラ整備的な部分でも、燃料の供給の面でも、ちょうど良いのではないかと。

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