◉エネルギー関連ネタが溜まったので、まとめて。まずは、合成燃料。二酸化炭素(CO2)と水素(H2)を合成して、製造するとのこと。石油や天然ガスなどの炭化水素は多くが、CとHの化合物ですからね。二酸化炭素は地球温暖化をもたらす、温室効果ガスですから。こういう形で回収して利用できれば、確かにベストなんですが。研究中のDAC(Direct Air Capture)と呼ばれる技術を用いて、大気中にある二酸化炭素を直接回収して利用できるようになれば、まさに夢のエネルギーですが。まだまだ、研究の道は険しそうです。
【ガソリンに代わる新燃料の原料は、なんとCO2!?】資源エネルギー庁 日本では、2030年代半ばには、販売される新車がすべて電動車(電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車)になります。これは、2050年までの「カーボンニュートラル」実現に向け、CO2排出量を削減するための政策のひとつです。とはいえ、日本国内の車がすべて電動車に置きかわるのはまだまだ先の話。当面、エンジンで動く車が街中を走る状況は続きます。そんなエンジン車から排出されるCO2を削減する方法はないのでしょうか?実は、それを可能にする新たな燃料の研究開発が現在、急ピッチで進んでいます。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/what_is_gosei_nenryo.html ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、サンダーボルトの写真です。エネルギー問題は畢竟、どうやって電気を作るかの問題ですからね。
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■石炭火力アンモニア混焼■ 現実的なところとして、石炭火力発電所で、アンモニアを混ぜて燃やす、混焼実験が明日から始まります。九州電力は、原発が再稼働していますから、比較的余裕があるのも大きいですね。こういう実験で、可能性を広げてほしいです。現実的には、アンモニアの混焼とか、地味ながらも有効な手段だと思います。核融合のような、世界を変えるような大掛かりなものではないですが、こういう地道な研究の積み重ねがあんがい、トータルでは大きな成果になるんですよね。
【九州電力、長崎県の石炭火力でアンモニア混焼試験】日経新聞 九州電力は30日、石炭火力の松浦発電所2号機(長崎県松浦市)で、燃料にアンモニアを混ぜて燃やす試験を11月2日に開始すると発表した。発熱量ベースで0.1%に相当するアンモニアを混ぜる。九電の石炭火力発電所でのアンモニア混焼試験は2カ所目。アンモニアは燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出せず、石炭火力発電の脱炭素化につなげる。 松浦発電所2号機の出力は100万キロワット。混焼試験は1週間程度実施する。石炭に1時間当たり約330キログラムのアンモニアを混ぜて、燃焼によるボイラーの温度や圧力、設備への影響を確認する。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC303ZW0Q3A031C2000000/ ■半導体光触媒で人工光合成■ もうちょっと、未来を感じさせる技術としては、人工光合成ですね。コチラの研究では、トヨタ自動車の子会社の研究が、だいぶ画期的なのですが。光触媒を用いた発電も、昔からあります。日本の研究者によって、酸化チタンと白金の電極の間で、水の電気化学的光分解が発生が確認され、これが光触媒の研究へ。これと人工光合成を組み合わせて、長時間の稼働が可能に。こちらも、二酸化炭素の回収がけっこうできているようで、杉の年間の二酸化炭素固定料よりも、多いとのこと。
【NTT、半導体光触媒を用いた人工光合成デバイスで350時間連続動作に成功】マイナビニュース NTTは、太陽光エネルギーを利用する半導体光触媒と二酸化炭素(CO2)を還元する金属触媒を電極として組み合わせた人工光合成デバイスを作製して、350時間(2週間強)連続での炭素固定を実現し、その累積炭素固定量が、スギの木1本が年間で固定する単位面積当たりの炭素量を上回る量に上ったことを発表した。 今回の成果のベースとなる技術については、2023年11月14日~17日に開催されるフォーラム「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」で展示される予定だ。
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20231030-2806314/ ■トカマク型超伝導プラズマ■ そして、核融合発電。最近は、すっかりレーザーを用いた核融合が話題になり、かなり具体的な実現へのスケジュールが語られますが。日本でも、世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置が、初のプラズマ生成に成功。1億度の熱が必要な核融合では、普通の容器ではその熱に耐えられませんから、プラズマの中に閉じ込める必要があります。もともと、トカマク型は最も有望な核融合発電炉として、世界中で研究されていましたから。アメリカが選考していますが、日本の核融合研究も、なかなかのレベルです。
【世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置「JT-60SA」、初プラズマ生成に成功】マイナビニュース 量子科学技術研究開発機構(量研機構)は10月24日、世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置「JT-60SA」(JT-60 Super Advanced)において、5月に再開した「統合試験運転」を経て、日本時間10月23日17時30分頃に、初プラズマ生成(初のトカマクプラズマ生成)に成功したことを発表した。 JT-60SAは、核融合発電(フュージョンエネルギー)の早期実用化を目指し、2025年の運転開始を目指して日本を含む国際プロジェクトで建設が進む核融合実験炉「ITER計画」と並行して、日欧が共同建設した世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置だが、2021年3月に発生した、約-269℃の低温に冷却される超伝導コイルを真空断熱するための容器「クライオスタット」内での超伝導コイル本体と電路をつなぐコイル接続部の絶縁損傷のため、統合試験運転(動作確認のための一連の運転)を中断していた。
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20231025-2801701/ ■家庭でグリーン水素発電■ こちらは、小規模発電の研究ですが。家庭で、水素を作ってしまおうという発想。仮定用小型発電機は、地産地消や災害による大規模停電のことを考えると、昔から有効な方法として研究されています。個人的には太陽光には期待していないんですが、こういう方法ならあり。2035年というのが、かなり具体的ですね。12年後ですが、例えばアメリカやイギリスは2029年の第四世代炉である高温ガス炉の稼働を目指していますから、日本も数年遅れで稼働にこぎつければ、高温を利用した水素の生成と、供給は可能です。
【パナソニック、家庭でグリーン水素発電 35年にも実用化】日経新聞 パナソニックホールディングス(HD)は製造時に二酸化炭素(CO2)を出さない「グリーン水素」を家庭で自給自足できる装置を2035年にも実用化する。屋根などに設置して太陽光で水を分解して作る。一般家庭を想定した製造装置は世界でも珍しい。都市圏に設けられる供給拠点から運搬がしにくい地方で水素の普及を後押しする。 製造装置は神戸大学と開発した技術を盛り込む。装置に組み込む特殊な光触媒に太陽光をあて、水... この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF205GJ0Q3A920C2000000/ エネルギー問題に関しては、あまり需要はないのですが、これはもう自分としては重要じと思っているので、不人気でも書きます。
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