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中国が台湾侵攻する日

◉中国の、台湾併合の野望。数年前までは、そこまで現実味はなかったのですが、新疆ウイグル自治区や香港での言論弾圧の狂気を見るに、現実味はありますね。ただ、中国の歴史や近年のアメリカの戦略を見ると、武力衝突があるのか、といえば微妙です。

【中国の台湾侵攻「大多数が考えるより間近だ」 次期米太平洋軍司令官】産経新聞

 【ワシントン=黒瀬悦成】バイデン米大統領から次期インド太平洋軍司令官に指名されたジョン・アキリーノ太平洋艦隊司令官(海軍大将)は23日、上院軍事委員会の指名承認公聴会で証言した。アキリーノ氏は、中国による台湾侵攻が「大多数の人たちが考えるよりも非常に間近に迫っている」と警告し、対応策をとるべきだと訴えた。
 アキリーノ氏は「台湾に対する(中国からの)軍事的脅威は増している」と指摘。「中国共産党が米軍を地域から排除することを目的とした能力を向上させている」とも強調した。

自分は軍事の専門家でもないので、中国がどこまで本気なのか、アメリカがどこまで本気なのか、それは解りません。でも、この10年の動きを見て思うことを、ツラツラと書いてみようかと。

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■覇権国家はひとつだけ■

トランプ大統領が、米中対立を高めたとリベラル界隈に言われますが。トランプ大統領は基本的に、ブラフを嚙まして、有利に交渉を進める商売人。そのブラフを額面どおりに受け取っても仕方ないです。オバマ大統領と民主党政権が中国を増長させたのは事実ですが、オバマ大統領時代に既に脱中国を、志向していた風情がありますから。トランプ大統領再選でもバイデン政権でも、基本的な方向は変わらなかったでしょうし。

アメリカは政権の交代に関係なく、オレンジ計画のように、長いスパンで、仮想敵国の計画を用意する部分がありますし。そもそもTPPは、対中国経済包囲網の側面がありますから。軍事面はクアッド、経済面はTPPと。そもそも唯一の覇権国家アメリカは、二次大戦以降は第2位の大国を仮想敵国として潰してきましたし。ソビエト連邦に日本、次が中国と言うだけで。そして局地戦はともかく、強国とは武力では直接やりあわない。

■戦わずして勝つが上策■

ソビエト連邦を崩壊に追いやったのは、レーガン大統領に裏で指南していたニクソン元大統領とされます。ソ連を軍拡競争に巻き込み、経済的に疲弊させて潰す。孫子の兵法の理想〝戦わずして勝つ〟を実現したわけで。それは、プラザ合意以降の日本も同じです。バブル崩壊以降の舵取りに失敗した部分はありますが。日本の増長は許さん、というアメリカの強い意志。であるなら対中国の戦争も、経済戦争になるでしょう。

数年前の総務省の予想では、2020年に米中の経済圏は逆転するはずでしたが。現実問題、中国は内需だけで経済が回る状況には、なっていません。中華経済圏としては、アメリカ経済圏と欧州経済圏に対抗できるか、表面の数字と内実が解らないので微妙。新型コロナウイルスのせいで、数年前の予想はボロボロになってしまっていますし。ということで、中国の内実はますます不明です。

■十倍ならば囲めの兵法■

中国の場合は毛沢東主席の昔から、強い相手とは戦わない、というのが基本にあります。戦力で圧倒できると踏んだ時以外は、博打はしたがらない。夷を以て夷を制すとか、中華で兵法が発達したのは、基本的に戦争に弱いからです。北方の遊牧民族には、漢の高祖劉邦からして勝てませんでしたから。秦・隋・唐・元・清と征服王朝ですし。結果、戦力が十倍ならば囲めの兵法が基本に。勝てると思って読みを間違い、中越戦争を起こしたりはしましたが。

朝鮮戦争は、このままだと米軍に押し切られそうだったので、義勇軍として本格参戦しましたが。例外的。台湾侵攻をやるとしたら、電撃作戦で短期的に占領できる目算がついたら、やるかもしれませんが。ミサイルの飽和攻撃で、台湾を焼け野原にする気はないでしょうし。空母でベトナムやフィリピンを圧迫して、セコく削っていく戦法が基本。それは、尖閣でも同じなんでしょうけれど。

■太平洋抑止構想と日本■

現実問題、アメリカのF-15は未だに公式には撃墜されたことはなく。いわんやF-22やF-35と中華戦闘機との性能差は大きいですしね。台湾はアメリカから、F-16の供給を受け、米軍と自衛隊の連携で、守りは問題ないでしょう。世界の軍事費の半分をアメリカ一国で賄い、もっとも多くのノーベル賞科学者を抱える国力の差は、現実より巨大です。記事にあるこの予算獲得も、経済戦争のカモフラージュに思えますし。

 その上で、中国軍の軍事的進出を押さえ込む「太平洋抑止構想」の実現に向けてインド太平洋軍が議会に要求した、2022会計年度(21年10月~22年9月)から6年間で270億ドル(約2兆9000億円)に及ぶ予算を承認するよう要請した。

日本が自主防衛の枠を広げても、アメリカのコントロール下に置かれるのは確実で、戦前のような軍事大国にはならない……というかなれない。アメリカが中国を、ソビエト連邦のように叩いたら、たぶん次に台頭してくるのはインド経済圏。日本は3位から5位のポジションで、アメリカ親分に睨まれない程度に、立ち回るのが吉でしょうね。中国が解体され分割されたら、アジア経済圏も変わるでしょうし。アメリカ経済圏・欧州経済圏・東アジア経済圏の三極を作れれば、日本はそれなりのポジションを構築できるかもしれませんが。

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