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松島みのりさん死去

◉ああ、名優がまた一人……。子役からずっと役者稼業を続けていた方ですから、自分らが物心つく頃にはもう色んな役をやられていて。世代的にはやはり、キャンディキャンディはミートくん、ルーシーなどのイメージが強いですが。今の世代にはONE PIECEのつるなどが、ピンとくるのでしょうけれど。少年役から少女役はもちろん、洋画などの吹き替えやナレーションなどでは、落ち着いた老成した女性の役まで、幅が広い方でしたね。

【声優・俳優の松島みのりさん死去 81歳「キン肉マン」ミート君や「キャンディキャンディ」など】日刊スポーツ

「キン肉マン」のミート君や、「ONE PIECE」の海軍本部中将“大参謀”つる、「キャンディキャンディ」キャンディ役などを務めた声優、俳優の松島(まつしま)みのりさんが8日、膵臓(すいぞう)がんのため死去した。81歳、千葉県出身。所属事務所が12日、発表した。
同事務所は「松島みのり儀(81歳)病気療養中のところ薬石効なく令和4年4月8日午前7時45分に膵臓がんの為 永眠いたしました」と報告。「尚 葬儀告別式につきましては親族のみにて滞りなく相済ませました」とし、「ここに生前の御厚誼に深謝するとともに謹んでご通知申し上げます」と記した。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、キャンディのイラストです。

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本来ならば、代表作の筆頭として『キャンディ・キャンディ』が来るべきなんですが。原作者と作画者のトラブルで、入手困難な幻の名作になってしまっています。日本漫画史上初の、いや日本出版史上初の初版100万部という金字塔を打ち立てた、名作中の名作なのですが。これも仕方がないですが、結果的に松島さんの追悼で同作が映像としてほとんど流れていないようです。いちファンとしては残念なことです。

さて、松島さんといえば Amazonプライムで『どろろ』のモノクロ版を観る機会がありましたが。これも自分が物心つく前の作品で、部分的には懐かし番組などで見ることはありましたが、全話を通してみたのは初めてでしたので。感動しましたね。半世紀以上前の作品でしたが、最初から全体を通して企画が練られているぶん、漫画版とは違う完成度。最終話は、漫画とも違う展開で、なるほどと。

ちなみに松島さんは、どろろが実は女の子であるということを知らされずに演じていたため、最終回近くの台本でその衝撃の事実を知って、驚いたとか。逆にだからこそ、はつらつとした少年として演じていたのが、功を奏したのでしょうね。ヘタに女の子だと知って演じていたら、そこが余計なノイズになったかもしれませんから。敵を欺くにはまず味方から、ではなかったでしょうけれど。

個人的には『マジンガーZ』のヒロイン弓さやか役や、川崎のぼる先生の『てんとう虫の歌』のひよこと一週日曜子、人形劇『紅孔雀』の雨小僧とか、印象深いですね。ヒロインからコミカルな役まで、とにかく幅が広い。あと『ドカベン』の妹サチ子役は、次週の予告ナレーションで、岩鬼役の玄田哲章さんや山田太郎役の田中秀幸さんとの掛け合いとか、テンポが良くて素晴らしかったですねぇ。「ドブスチビ!」「おう葉っぱ!」の名フレーズ。

『世界まる見え!テレビ特捜部』では、中年や老年の役を主にやっておられ、高い演技力を見せつけていました。声優って、本当に息の長い商売というか、20歳のときの役を還暦過ぎてもやれる、素晴らしさがあるわけで。ほぼ60年に渡る役者生活、本来ならば国民栄誉賞ものの一人だと思うのですが……残念です。藤子不二雄A先生同様、戦後文化を作った世代が、もう人生の引退の時期なんですね。
松島みのりさんのご冥福をお祈りします。合掌

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