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「徴用工」裁判の着地点

◉朝日新聞が、韓国の「徴用工」問題について、報じていますが。朝日新聞らしい、バイアスがかかった見出しで読者を誘導しようとしていますね。正確には徴用工とは呼べないので、括弧付きで「徴用」工と表現しますが。日本と韓国の間の賠償問題は、1965年に締結された日韓基本条約(日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約)で解決済みですから。韓国の国内法が、国際条約に優先するはずもなく。裁判所の判断がバッティングするならば、韓国国会で立法措置を取るのが当然です。

【徴用工賠償「日韓双方の寄付で肩代わり」 韓国側が解決策を最終調整】朝日新聞

 日韓関係の懸案となっている徴用工問題について、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)政権は、日韓双方の寄付などで訴訟の原告への賠償を肩代わりする仕組みを「解決策」とすることで最終調整に入った。
 この仕組みを準備しつつ、日本側に寄付金の拠出や謝罪などの「誠意ある呼応」を求め続ける方針で、日韓での「合意文書」を交わさない意向も固めた。
 戦時中の徴用工をめぐっては、韓国大法院(最高裁)が2018年秋、雇用者だった三菱重工業日本製鉄(旧新日鉄住金)に対し、元徴用工らへの賠償を命じる判決を出した。

https://www.asahi.com/articles/ASR1B5V9VR19UHBI01V.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。

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■日韓基本条約と徴用工への誤解■

そもそも韓国では徴用工を、アウシュビッツ収容所でのユダヤ人への強制労働ぐらいに捉えている面があるようですが。実際には九州や北海道での炭鉱の労働であっても、能力給であって特段の差別はなかったのが資料や証言から明らかです。徴用工自体は、日本国民には当たり前の労働義務で。明石家さんまさんの師匠として知られる落語家の笑福亭松之助師匠も若い頃は三菱電機神戸製作所の徴用工として働いていますし、後には年金も出ていますね。

敗戦で帰国した徴用工や労働者の中には、賃金や年金などをもらい損ねた人もいましたから、日韓基本条約では日本は個別補償すると交渉段階で提案しています。それを一括で受け取り、個人に支払わなかったのは、朴正煕政権の判断であって。日本には責任はありません。支払った金が少ないなどというイチャモンもありますが。まだ日本の外貨準備高もう大したことなかった時代に、有償無償を含めて11億ドルの借款は、少ないとは言えないでしょう。

そもそも、日本は半島に残したインフラも、全部放棄していますからね。西欧列強が植民地から撤退する時は、そのようなインフラ整備代を請求するのが当たり前の時代です。個別補償せずに、独立祝い金を重工業の発展に費やした朴正煕政権の判断は、悪くなかったと自分は思っています。日本の、米百俵の精神と同じで、未来に投資して実際に結果も出したのですから。であるならば、投資によって成長した企業と韓国政府が、補償するのが筋でしょう。

■社民党副党首の無知と不見識■

歴史音痴の椿裕子社民党副党首の、妄言も転載しておきますね。問題の当事者はあくまでも韓国政府であって、三菱重工業日本製鉄(旧新日鉄住金)は、当事者でありません。これらの企業に成り代わって日本国政府が韓国政府と交渉し、日韓基本条約という国と国との条約を締結したのですから。あれは軍事独裁政権の朴正煕大統領が勝手に結んだものだとか、そんな話は通用しませんので。どこまで行っても韓国政府の問題でしかありません。

例えば江戸幕府は、諸外国と不平等条約を結びましたが。江戸幕府を武力で倒して生まれた明治新政府は、あれは江戸幕府が勝手に結んだものだからといって、不平等条約を一方的に破棄したでしょうか? そんな事実はありませんよね。憲法や刑法や民法など欧米列強から学び、鹿鳴館などを作って、文明化をアピールし長い時間をかけて不平等条約を改定していきました。それはお隣の中国にしても同じです。

アヘン戦争という理不尽な戦争に敗れて、南京条約を結んだのは、異民族である満州族の清王朝。しかし、清王朝を打倒して生まれた中華民国も、その中華民国を台湾に追放して生まれた中華人民共和国も、南京条約を一方的に破棄することなく、香港返還は1997年まで持ち越されました。国際社会における政府の正統性というのは、たとえクーデターで打ち破った前政権が結んだ条約であっても、継承するのはルールです。大椿副党首は、何を言ってるんでしょうね。

■足を引っ張り続けた市民団体■

日韓関係を拗らせた責任の一端は、日韓基本条約の全文を何十年にもわたって国民の前から隠し続けてきた、韓国政府にもあります。その内容がバレると、国民は動揺しており韓国政府批判が激化するのが分かっていたからなのでしょうけれど。盧武鉉政権まで、隠してきたわけですからね。それに加えて、日韓の歴史問題がここまでこじれた原因の一つに、韓国の市民団体の存在もあります。

【日韓関係改善を阻害してきた韓国の「市民団体」、ついに改革の標的に】JBpress

 尹錫悦大統領は、国民との対話や官民の経済会議を通じ、2023年の韓国経済社会の重点課題を明らかにした。年金・労働・教育の3大改革である。だがこれとは別に、尹大統領は第4の改革を推し進めようとしている。それが「市民団体の改革」だ。
 日本人の感覚からすれば「市民団体の改革」と言われても、そんな大それたことなのかと訝しく思うかもしれない。だが、実は韓国の市民団体は日韓関係改善にとってとんでもなく大きな障害となってきた経緯があるのだ。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73470

武藤正敏元駐韓全権大使の、鋭い指摘です。実はこれらの団体の配合にはほとんど、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の影がちらつきます。領海を侵犯して工作船で日本の国土に上陸し、当時中学生であった横田めぐみさんという少女を拉致するという、極悪非道な行為を行ったのが北朝鮮です。この恥ずべき国家犯罪をごまかすために、慰安婦問題を盛んに持ち出したのが韓国の市民団体でした。韓国政府もうまた、日本国政府との交渉カードとして有効利用しようとしました。

しかし、一般社団法人Colaboとその弁護団と関係が深い旧挺対協(現日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)の尹美香前代表が、寄付金の横領や指摘流用を問われて裁判にかけられ、懲役5年を求刑をされたのは周知の事実。だいたい団体の名称自体が、歴史的な無知を反映したデタラメなんですが。賛同者が覚醒剤使用で逮捕されたり、支持者の共産党員が盗撮で逮捕されたり、関係の深いのりこえねっとが嘘の著作権侵害で動画配信を妨害するなど、なんだかな状態ですが。

■日本企業の賠償の肩代わり?■

で、読売新聞の報道ですが、新しい提案が出てきましたね。韓国側としては、韓国の財団が日本企業の賠償を肩代わりしたという体面を保つことで、落とし所とするということでしょうね。その上で、「痛切なおわびと反省」の継承云々という文言を入れることで、一応の面目を保つということでしょう。日本としては、安倍晋三元総理大臣も河野談話の継承などを繰り返し発言していますので、これ自体は受け入れやすい面はあるのではないでしょうか。

【元徴用工問題、韓国の財団が日本企業の賠償肩代わりする案…韓国外交省が明らかに】読売新聞

 【ソウル=中川孝之】韓国外交省は12日午前、日韓間の最大の懸案となっている元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟問題の解決に向け、韓国の財団が日本企業の賠償を肩代わりする案を明らかにした。同省の 徐旻廷ソミンジョン アジア太平洋局長が、韓国国会で開いたこの問題を巡る公開討論会で説明した。
(中略)
 原告側は被告の日本企業に資金拠出を求めているが、徐氏は事実上難しいとの見解を示した。原告側が求めている日本側の謝罪も困難だとした上で、日本政府が過去に表明した「痛切なおわびと反省」の継承が重要だとの認識を示した。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20230112-OYT1T50110/

逆に言えば、安倍晋三元総理が慰安婦合意でアメリカを立会人にしたように、今回の件もバイデン政権を立会人として、韓国側に対して睨みを利かせておくのが重要でしょうね。そもそも慰安婦合意は、バイデン大統領が、オバマ政権での副大統領時代に関わった事案ですから。バイデン政権としても、断る理由はありませんから。これが当たり前の対応。日本側から寄付を申し出て、勝手に謝罪し始める連中が一定数出るでしょうけれど。現実的な落としどころとしてはこんなところでしょう。

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