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米中〝熱い戦争〟の可能性

◉国際政治学者として高名なシカゴ大のジョン・ミアシャイマー教授が、米中開戦の可能性について、言及しています。冷戦時代の米ソよりも現在のほうが、より具体的な熱い戦争、つまり米中の直接対決の可能性が高まっている……と。ソビエト連邦は広大な地域に渡っていましたが、基本はヨーロッパの一員ですから、政治的な駆け引きが見えるのでしょうけれど、中国は異文化でどこまでがブラフでどこからが本気か、読みづらいのでしょうね。

【米中、冷戦期より「熱戦」の恐れ ジョン・ミアシャイマー氏】時事通信社

 米中衝突の可能性は高いと予測するシカゴ大のジョン・ミアシャイマー教授に米中関係の今後の展望を聞いた。

 ―米中「新冷戦」が「熱戦」(実際の戦争)に転じる可能性は。
 (熱戦にならなかった)冷戦期の欧州と(現在の)東アジアは地理的条件が異なる。南シナ海、台湾、尖閣諸島を含む東シナ海の三つの発火点があり、核兵器を使わない限定戦争に発展し得る。欧州では、核兵器で武装した軍隊がにらみ合っていた。米国とソ連が戦端を開けば、核戦争にエスカレートするため、戦争の可能性は低かった。

ヘッダーの写真はnoteのフォトギャラリーから、空母赤城の自動彩色写真だそうです。

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■アメリカは戦争を避けたい?■

ジョン・ミアシャイマー教授、元々は陸軍士官学校卒業で軍務経験もあり、将校として空軍に5年在籍していたようで。その分析は的確で、ウクライナの核放棄はロシアの侵略を呼び込むと予想し、事実そのとおりになりましたしね。個人的には、もうちょっと突っ込んだインタビューがほしいというところですが。米中開戦となった時の、日本の役割や日本本土の米軍基地(沖縄や岩国や横田など)攻撃の可能性とか、尖閣云々よりもよほど大事でしょうに。

トランプ大統領はけっきょく公表しませんでしたが、どうもケネディ大統領暗殺はソビエトが深く関与していた可能性があり、もしそれを公表すると米ソの全面戦争は避けられなかった面があるのでしょう。なので、アメリカは全部の調査結果を、関係者が全員亡くなっているであろう2039年まで封印することにしたのですが。アメリカはできれば戦争を回避したい国ですし、米中戦争回避のための条件とか、もうちょっと突っ込んでほしかったですが。

■核戦争を避ける米英仏中露■

しかし、世界は通常兵器による戦争への準備を、着々と始めているようです。台湾有事が騒がれる中国のみならず、ウクライナ問題できな臭いロシアも、その点は一致しているようで。米英仏中露って、要するに国連常任理事国なんですが。少なくとも、全面核戦争による対決は避けようという、ルールを事前に設定しようとしているように思えます。現実問題として、そうなったときにアメリカの方が圧倒的に攻撃してくるでしょうし、中露は身の破滅。

【米中ロ英仏、核戦争を否定 初の共同声明】産経新聞

 米国、英国、フランス、中国、ロシアの5核保有国は3日、軍事衝突や軍拡競争を防止するために2国間、多国間の外交的取り組みを引き続き追求する意向を示す共同声明を発表した。「核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならないことを確認する」と表明。中国の馬朝旭外務次官は「5カ国の指導者が核兵器の問題について声明を発表するのは初めて」と意義を強調した。

とはいえ、アメリカの歴史を見ると、ブッシュ親子を例外として、対外戦争を起こしてるのは基本的に、民主党政権なんですよね。共和党政権はモンロー主義が伝統で、できれば他国には関わらず、国内政治だけやれてりゃいいという考えですからね。世界の警察としてむしろ他国の紛争に介入するのが民主党政権。基本、民主党政権が起こした戦争を共和党政権が集結させるパターン。バイデン大統領は、戦争を望んでいるように見えてしまうんですよね。

■軍事音痴の日本のマスコミ■

そして、軍事音痴の日本のマスコミは、今ごろこんな事を言ってるんですけどね。保守系の産経新聞も、レールガンを超電磁砲と表現して、失笑を受けたんですが。日本のマスコミはインテリのつもりでも、自分の無自覚の言霊思想に思いを致せない、二流のインテリですから。反戦平和を言うなら、防衛省のトップとも渡り合えるぐらいの、軍事の専門家が居ないといけないはずなんですが、そういうのって朝日新聞の田岡氏ぐらいしか思い浮かびませんね。

【防衛省、レールガン開発に本腰 SF・アニメが現実に?】毎日新聞

 火薬を使わず、電磁力によって超高速・長射程の弾を連続発射できる兵器「レールガン(電磁砲)」。SFやアニメの産物だったこの新兵器の研究・開発に、防衛省が本腰を入れる。政府の2022年度当初予算案に65億円を計上した。迎撃が難しい極超音速兵器の開発を進める中国や北朝鮮に対抗して、新たな防空手段として実用化を目指すが、果たして――。

兼愛と非攻を掲げた中国の墨家思想が、非攻ゆえに防衛技術を徹底的に研究し、攻めず・攻めさせずを目標としたように。でも日本の自称インテリは、言霊思想という呪術的な思考にとらわれているので、軍事や戦争を学んだり研究すると戦争を呼び込むという、アホな考えに取り憑かれ、「非武装中立!」とか言い出すわけですが。レールガンなんて昔から言われる軍事技術で、今頃何を言ってるんだという感じですね。軍事オタク以下の毎日新聞。

■日本に欠ける戦略と哲学■

事実上の属国である日本としては、台湾有事はイコールで沖縄や在日米軍基地の地域が巻き込まれる危険性があり、そこも含めての動きを今のうちからねっておかないとダメですし。軍事はカネを突っ込めばいいかといえば、そんなこともなく。というか、日本の場合はむしろインテリジェンスの部分で、アメリカに負けていたわけで。日米の物量さはあったのは事実ですが、政治家にもマスコミにも国民にも、長期的なビジョンがなく、戦略がなかった。戦力と戦術はあっても、戦略がなければ勝てません。

もっと言えば、日本には哲学がなかったわけで。日本人は抽象的思考が苦手ですから、仕方がないのですが。これは中国やその影響を受けた周辺の東アジア全般の傾向です。仏教哲学的なものは、日本人も中国人も実は苦手。国粋主義者がどう言おうとも、日本はアメリカとの全面対立は避け、日米関係を強化しつつ、発言力をましてイコールパートナーに近いラインを狙っていく、これしかないわけで。ここらへんは、三島由紀夫と福田恆存の対立点でもあるのですが。

■日本はクワッドを軸に国際協調■

韓国の大統領選挙で、文在寅大統領の与党共に民主党からの候補が勝利すれば、韓国は中国側につかないまでも、コウモリ外交に徹して米中を振り回すだけでしょうから、日本は日・米・豪・印のクワッドを中心に、これに台・越・泰・比・新などの国を引き入れる。第二次世界大戦で日本が負けたのは、組む相手を間違ったからですしね。アメリカという国は自分勝手なジャイアンですが、それでもまだ話せる余地がある。まぁ、これはプーチン大統領もそうなんですが。手強いですけどね。バイデン政権の足元を見る強かさとか、喧嘩上手。

でも、中国は対話が難しいですね。尖閣衝突事件以降、ずっとイヤガラセを続けるあの執拗さとか、日本人とはやはり文化が違うなと。それは、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)もそうで。もっとも、半島は李氏朝鮮500年の歴史で、事大主義が骨絡みですから。中国を上手く叩ければ、ほっといてもすり寄ってくるので。対中政策を的確にできる、国際政治通がトップであるべきなんですが。難しいですね、日本もまた聖徳太子以来のモンロー主義的国ですから。国内政治優先の国際政治音痴。

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