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韓国の人治主義裁判がまた

◉日本では地方裁判所は基本的に、最高裁の判例を踏襲しますからね。これは日本の裁判制度の影響を強く受けた韓国も、同じです。だから、地方裁判所が大法院(韓国の最高裁)の判例をひっくり返すことは、よほどのことがないと難しいのですが……。それが出てしまったようです。

【元徴用工訴訟、日本企業への賠償請求を却下 韓国の地裁】朝日新聞

 韓国で元徴用工の遺族ら計85人が日本企業16社に損害賠償を求めた裁判で、ソウル中央地裁は7日、原告の訴えを却下した。元徴用工訴訟では、2018年に韓国の大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた判決が確定しているが、今回の地裁判決は一転して、1965年の日韓請求権協定で補償問題は解決済みとする日本企業側の主張に沿う内容となった。
(中略)
元徴用工訴訟では、18年秋に大法院が、日本製鉄と三菱重工業に賠償を命じた。大法院判決は、戦時中に日本統治下の朝鮮半島から日本本土の工場などへの動員は、「日本政府の違法な植民地支配や、侵略戦争の遂行と結びついた日本企業の反人道的な違法行為」と認定していた。

しかし、韓国ではこういうことがままあるのですが。なぜこんな判決が出てしまったのか、文化的な背景もあります。

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■法は貴人に及ばず■

法は貴人に及ばず、という言葉があります。貴人、つまり高貴な身分の人間には、法律が適用されない、ということです。これが、人治国家の最も簡単な説明です。権力者だろうが名家の生まれだろうが、身分が高かろうが、金持ちだろうが、法律によって平等に裁かれるのが法治国家です。でも、中国や韓国はずっと人治国家でやって来ましたから。法律とは、身分が低い人間───庶民や大衆と呼ばれる階層───に適用されるもので、大統領とか政府高官とか財閥の人間には、適用されないわけです。

故に、田中角栄がロッキード事件で逮捕・起訴されたとき、中国の首脳陣は田中角栄は失脚したと、そう理解したわけです。ところが、その後も目白の闇将軍として、内閣道理大臣を指名するキングメーカーとして、君臨し続けます。中国の政治家は混乱したとか。逆に、韓国の歴代大統領の多くが、退任後に汚職や過去の事件などで逮捕され、場合によっては死刑判決が出るのは、大統領という最高権力者ではなくなった人間は貴人ではなくなり、現在の最高権力者である大統領から恣意的な法の運用で裁かれるわけです。

■次期大統領候補の影■

さて、今回のソウル中央地裁の裁判。なぜこんな判決が出たのか? 大法院の判例に従うなら、原告勝訴。憶測ではありますが、文在寅政権が残すところ1年を切り、レイムダック状態になったのが大きでしょうね。釜山などの地方選挙でも与党候補が連敗し、政権の求心力が大きく下がっています。加えて、次期大統領候補に尹錫悦前検察総長が急浮上し、事前の支持率は43.8%と、京畿道知事の李在明氏の34.1%を上回り、保守系ではかなり高いです。もっとも本人は出馬の意向も何も、まだ表明していないんですけどね。

しかもこの数字、以前は25%対24%と僅差だったのに、調査のたびに尹錫悦前検察総長の数字が上がっています。今回の裁判の結果は、間違いなくこの結果を受けてのものでしょうね。よほどのスキャンダルでも発覚しない限り、尹前検察総長が保守系大統領候補として出馬し、大統領になるなる可能性大。そうなったら、文在寅大統領のやりたい放題で歪められた韓国司法に、メスが入るのは確実でしょう。つまりこれは保身のための判決でしょう。

■大統領選挙が易姓革命の国■

韓国の場合、初代大統領の李承晩が選挙不正からの亡命の末の客死、朴正熙大統領は暗殺、全斗煥大統領には死刑判決、盧泰愚大統領も不正蓄財などで有罪判決、金泳三大統領も次男が斡旋収賄と脱税で逮捕、盧武鉉大統領は収賄疑惑の追求に自殺と、悲惨な末路の人物が多いですね。その軛から自由だった大統領は、金大中大統領ぐらいでしょうか。やはり、韓国人悲願のノーベル賞を受賞した初の大統領は、追求できなかったのか。それでも、息子たちは逮捕されて有罪判決を受けた者も。

ただ金大中氏の場合、後継者は自分の弟子とも言える盧武鉉大統領でしたから。その点では、保守系の朴槿恵大統領が後継者だった李明博大統領もそうだったんですが、彼の場合は朴槿恵大統領の崔順実ゲートの有罪から遡って、ついに捜査の魔手が襲ってきましたが。斡旋収賄で逮捕、懲役17年の実刑判決。しかしこのまま、尹大統領誕生となれば、疑惑を否定してきた朴槿恵元大統領は再審で無罪放免となり、謎のパソコンデータからの追求が暴かれて、逆に文在寅大統領派が逮捕される可能性も。

■バイデン大統領を激怒させた可能性■

その場合、文在寅大統領にも親族経由で、捜査の手が伸びるかもしれません。文在寅大統領自体は割と清廉な人物だとは思うのですが、そう思われていた盧武鉉大統領さえも、追い詰められるのが韓国の賄賂文化であり、親族の虎の威を借りて忖度させまくる文化。人治主義が草の根で根付いてるので難しいでしょう。理屈と膏薬と罪状はいくらでもつくのが人治国家ですから。あと、今回のソウル中央地裁の変節、わずかですが文在寅大統領の意向の可能性もありそうな。

民主党政権で同じリベラルのバイデン政権が、韓国の肩を持ってくれると期待していたら、訪米でかなりこっぴどく恫喝された可能性が。なにしろ、台湾海峡の安全保障に言及させられ、でももらえたワクチンは55万回分と台湾へのワクチン100万回分の半分ほど。しかも、アメリカの上院議員が台湾訪問の経由地に韓国の米軍基地を使うという、対中国での旗幟鮮明を強要されたと思える動きが連発。ひょっとしたら、バイデン大統領がオバマ政権の副大統領時代に尽力した慰安婦合意を反故にしようとしたことも、追求されたのか?

今後1年間の展開を見守りましょう。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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