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格差解消されると損をする?

◉例えば、独占禁止法。アメリカのほとんどどの企業が、独占禁止法に抵抗するんですよね。せっかく苦労して大きくした会社を、分割だなんてとんでもない、と。現実には、独禁法で分割したあとの方が、個々の会社はさらに成長し、社会にも市民にも良い影響を与えるのですが。このような〝大衆の思い込み〟は至るところにありますね。物価が上がると大衆の暮らしが苦しくなるとか。格差解消は自分の損というのも、大衆の思い込みによる部分が大きいでしょう。

【人は「格差が解消されると自分は損をする」と誤解することが判明、絶対的な豊かさより人と比べて裕福なことを重視】GIGAZINE

ほとんどの人は、「平等と不平等、どちらが正しいですか?」と尋ねられれば平等な方がいいと答えるはず。しかし、政府や企業が平等の実現や不平等の撲滅のために提案する取り組みは、必ずしも歓迎されません。こうした矛盾の裏には、有利な立場にある人が平等そのものを否定的に捉え、格差が自分たちに利益をもたらしてくれると勘違いする傾向があることが、新たな研究により判明しました。

If you rise, I fall: Equality is prevented by the misperception that it harms advantaged groups
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abm2385

Despite ideals, people don't really like reducing inequality, study finds
https://phys.org/news/2022-05-ideals-people-dont-inequality.html

過去に行われた研究では、人種的不平等がアメリカ経済に16兆ドル(約2100兆円)もの損失を与えていることや、根強い男女間の賃金格差が世界経済にもたらす不利益は約160兆ドル(約2京1000兆円)に及ぶことなどが分かっています。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。

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■企業分割はむしろ善■

例えば、ロックフェラー財団という、アメリカを代表する大財閥。ここはスタンダード・オイルという、石油会社がその富の源で、合衆国内の石油精製能力の90%を保持しており、これが独占禁止法に引っかかった(正確には独占禁止法を構成するいくつかの法律があるのでっすが、節目右派面倒くさいので割愛)。けっか、34もの会社に分割されたのですが。これが後にエクソンやモービルやBPやシェブロンやエッソになり、かえって大発展。そんなもんです。

例えば、IBM。ビッグブルーと呼ばれたコンピュータ回の雄でしたが、ここは独禁法に抵抗して、分割を免れましたが。結果的に大企業病に陥り、パーソナルコンピュータの時代に対応できず、Microsoftに覇権を奪われます。そのMicrosoftも、企業分割を拒んでAppleを温情で生かした結果。スマートフォンの時代に対応できず、覇権をGoogleに握られつつあります。大きいことは良いことだ、なんてのはただの思いこみで、むしろ独禁法の前に自分で分割するぐらいの先見性が必要。

■富は動かしてこそ価値がある■

アメリカだと、国民皆保険制度にすると怠け者が税金を無駄遣いする、なんて思われてて、先進国でほとんど唯一、国民皆保険制度が導入されていません。確かに、病院を茶飲み場代わりにする老人による、医療費の肥大は問題になっていますが、それはゴラクもなく友人も少ない老人や、そういう老人の診察費や保険料などで食いつなぐ病院の問題であって、国民皆保険制度を廃止する理由にはなりえません。日本以外の先進各国で必要・有用だから国民皆保険制度が導入されたわけで。

けっきょく、医療費を払えない弱者の数が増えすぎたら、それで社会不安が増大し、金持ちたちの生活さえ脅かすのですから。であるなら、中間層を分厚くし、社会全体を富ませ、購買力を高めたほうがけっきょくは、自社の利益になるんですよね。それこそ、社長の給料は社員の平均給与と中間値から割り出した数値の100倍以内とかにしたほうが、経営者も考えるでしょう。自分が10億円もらいたければ、社員の平均年収を1000万円にするしかないんですから。

■マスコミと文化人の問題■

日本のマスコミも、戦後のハイパーインフレの経験から、値上がり=開くという部分が川崎球場の便器の尿素結晶のようにこびりついていて、ちょっとでも値上げすると「我々庶民は値上げで~」とか書くわけですが。穏やかなインフレは、経済成長に必須の現象。確かに、物価が上がると気分的には苦しきなったような気がしますが、現実には物価が下がったデフレのほうが、ジワジワジワジワ……と庶民の生活を苦しめたのは、周知のとおりです。これは、消費税悪玉論も同じ。

そんな悪税なら、先進各国が軒並み日本よりも高い税率で、出羽守が大好きな北欧の高福祉国家では軒並み24%から27%の高税率なのを、説明できんでしょう。また、消費財廃止したからって、「よぉ~しパパ、10%ぶん使い切るぞ~!」なんて人間がどれほどいますか? みんな貯金して終わり。そして税率計算で小売の現場は混乱し、負担が増えるだけ。年収300万の人が全額を消費に回したとしても、10%の消費税がゼロになって浮くのは30万円以下なんですから、当然ですよね。

大衆のそういう愚かしさを、理路整然と指摘するのが学者やマスコミの役目なのに、この国は両者が率先して薄っぺらいことをいうので。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ