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名盤と興行と雑誌の類似点

◉なんか、懐かしいツイートが流れてきました。といっても、2年前のツイートですが。noteに力を入れだしたのは、2020年の11月からなので、このツイートはまとめていませんでしたね。

元ツイートが削除されたので、ちと内容は思い出せませんが。たぶん音楽関係──アルバム単位での発売とバラ売りについての話題だったかと推測です。

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■ジャズの名盤と興行論■

ミュージシャンにとってのアルバムは、全体の構成を考えて配置されてて、その配置自体に意味があります。単品のラーメンとかカレーライスと違って、コース料理のようなもの。激辛麻婆豆腐の後に、京風出汁の牡丹鱧を出されても、繊細な味がわからんがな……となりますよね。ではそのコース料理、単品で美味しい料理を味の薄い順に並べればいいかといえば、これもまた違うんですよね。

例えばジャズなどの名盤って実は、全部が傑作曲ってわけではないと言われますね。失敗テイクも含めて、名盤って部分がある。昔のレコードとか、一発どりなんですから、やっぱりそこにはミスもあるけれど、緊張感もありますから。中島みゆき様の昔のアルバムでも、歌詞を間違っているけれど、当人の気持ちが乗ってるのでそのまま収録、なんて作品もありますね。落語とか、ライブの芸はそういう部分があります。

あと、平直行師の言葉で、全部の試合が名勝負でも良い興行とは限らない、との指摘も以前受けました。ジャズの名盤論と通底する、貴重な教え。メインイベントに向けて、適度にストレスの貯まる試合とか、アッサリ終わる試合とか、その場その場の偶然の積み重ねの先に、興行全体の満足度はある。訳で。金で各チームの4番を寄せ集めた長嶋巨人が、必ずしも最強ではなかったように。興業も似ているのでしょう。

■寄席興行と少年ジャンプ■

これは寄席の興行でも、似ているようで。演者同士の掛けるネタが被らないとか、寄席の基本のルールがあり。トリ前の芸人は面白すぎず、かといってつまらなくもなく、トリのネタを最大限に活かす下ごしらえができ、時間調整が自由自在の腕が要求されたりするようで。まさにミュージシャンのアルバムのように、配置と構成が求められるようで。これはいろんな雑誌の構成でも同じで、バランスが大事です。

アンケート至上主義と思われている週刊少年ジャンプも、雑誌のバランスを考えて、寺沢武一先生の『コブラ』を不定期掲載したりと、機械的に人気だけで連載を打ち切ってるはずもなく。もっと言えば、連載作品も毎回面白いってのは、逆に良くない面さえあります。タメのある回や、好き嫌いが分かれる回、笑いに寄せた回や泣きに寄せた回、そういった緩急も大事。新人編集者やアホな編集長は、そこがわからんようですが。

伊集院光さんがラジオの『日曜日の秘密基地』だったか、例えば10日の落語の興行で、毎回受けるようではダメでだと。3日は新ネタや、客を選ぶ内容にチャレンジしないと、演者としての幅も広がらないしファンも広がらない……てなことを先輩に言われたとか。細部はうろ覚えですが、これまた名言ですね。そういう視点は雑誌でも大事で、西村繁男週刊少年ジャンプ編集長が、ジョージ秋山先生を起用した理由でもあります。

■悪名は無名に勝る■

週刊少年マガジンが、内容が残酷だという批判にヘタれて連載を終了させた逃げた『アシュラ』の完結編を、掲載したり。『シャカの息子』や『海底人ゴンジィ』とか、人気はなくても意味はあった。本宮ひろ志先生の政治家出馬の実録的なマンガ『やぶれかぶれ』の掲載は、人気や売上には直接の貢献はせんかったでしょうけれど、ジャンプのブランドイメージ形成に、大きな爪痕は残した訳で。他にも『はだしのゲン』もそうですね。

そういうこととも、通底すると思うのです。もっとも、ジャンプの長野初代編集長は、永井豪先生の『ハレンチ学園』のスカートめくりが、PTAを中心に大問題となりされた時、大喜びしたとか。悪名は無名に勝る、と言いますが。週刊少年マガジンと週刊少年サンデー、週刊キングという、先行する人気週刊少年誌が既に存在し。ジャンプの創刊から1年後には週刊少年チャンピオンというライバルも出現し。ジャンプはすぐ廃刊と言われていたとか。

そういう状態で、連日連夜テレビや新聞などが批判するのですから、ただで宣伝してもらっているようなもの。かつて三億円事件が起きた結果、犯行に巻き込まれたカローラが国民的な車になったように。どんな形であれ話題になることによって、廃刊の危機を出せられたと長野編集長は喜んだわけです。この読みはズバリ当たって、ジャンプ伝説への第一歩となったわけです。こういう部分も含めての、雑誌だとは思います。

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