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10兆円大学ファンドに東大など10校申請

◉文部科学省による、研究力強化のために創設した10兆円規模の大学ファンドの支援校の国際卓越研究大学に、10大学が申請したとのこと。このなかから、数校に絞るそうなんですが。個人的には悪くない試みだと、好意的な評価のですが。Twitterで、大学ファンドについての批判的なツイートもいくつか見かけました。学問の自由を脅かすという意見はともかく、目先の成果主義に走って、基礎研究などが疎かになるのでは……という意見も。ファンドのことばかりが言われますが、国際卓越研究大学ってのが大事ですからね。

【10兆円大学ファンド、東大など10校申請 文科省が絞り込みへ】毎日新聞

 文部科学省は4日、大学の研究力強化のため創設した10兆円規模の大学ファンドの支援校である国際卓越研究大学に、東京大や京都大など10大学が申請したと発表した。秋ごろまでに数校に絞る。

 文科省によると、期限の3月末までに申請したのは国立大が8校、私立大が2校。受け付けた順に、早稲田大▽東京科学大(2024年度中をめどに東京工業大と東京医科歯科大が統合)▽名古屋大▽京都大▽東京大▽東京理科大▽筑波大▽九州大▽東北大▽大阪大。統合前の2校を含む国立大はすべて、世界最高水準の研究開発を目指すために文科相が指定する「指定国立大」だった。

https://mainichi.jp/articles/20230404/k00/00m/040/012000c

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、東京大学のシンボル安田講堂です。

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■御上に頼らず自前で資金調達■

アメリカだと私立大学が主で、授業料が高いことで有名ですが、そのぶん卒業生の寄付金の額も大きく、さらに資産運用でかなりの収益を上げています。そもそも、大学に経済学部がある私立なら、資産運用で実績を出して、「わが校の経済学部は机上の空論ではなく、実戦にも強いんです」とアピールできたら、メリットは大きいでしょうに。例えば年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund, GPIF)の資産運用を見ても、手堅い運用でもここまで増やせているんですから、大学だって私大は、こういう部分でも資産を増やすべきかと。

アメリカだと、確かに政府からの軍事研究などの研究資金も大きいですが、私大の資産運用で得た資金は大きく。ではそれで、アメリカが目先の利益を負う実学ばかりが発達して、基礎研究を疎かにしているかといえば、そんな事実はカケラもなく。むしろノーベル賞の学者とか、アメリカの一人勝ちですし、日本からもどれほど頭脳流出したことか。両者の因果関係は、そんなにないと思うんですよね。むしろ、日本は利益を得ることに大学が無関心というか、殿様商売に思えるのです。少なくとも、アメリカの資金調達の努力を見ていると。

■資産10倍の大学基金運用■

ちょっと古い2017年の記事ですが、こんな数字がありました。アメリカの私立大学の運用は、優秀な大学だと20年で資産が10倍になるレベルのようです。詳しくは下記リンクを呼んでいただきたいですが、アメリカでは大学の資産運用も真剣勝負で、まずまずの成績でも他校より劣っていたら、寄付をした大学の卒業生から、容赦なく突き上げられる厳しい競争社会。でも、それは運用のプロがやるので、他の教授や講師には、関係ないj話しです。極端な話、日本の私立大学はこういう部分を、もっときちんと目指すべきなんですよね。そうやって、何十年も経てばそこで得られる健全な利益は、

【東大は100億円だが…「米国名門大学の資産運用」のスゴい金額】幻冬舎ゴールドオンライン

高い運用実績を残しているハーバード大学やエール大学
ハーバード大学やエール大学など米国の名門大学では、財団や基金を設立して集めた寄付金等を運用しています。これら大学基金のことを「エンダウメント」と呼びますが、エンダウメントにおける運用スタイルは、その高い運用実績から注目を集めています。

例えばハーバード大学基金での2014年度のリターンは15.4%で、過去20年間の平均リターンは12.3%です。つまり、1994年に運用を始めたとして、20年後の2014年には資産が10倍以上に増えたという実績です。

https://gentosha-go.com/articles/-/8434

資産規模はハーバード大学基金が345億ドル、エール大学基金が255億ドルとのこと。本日のレート1ドル132.87円だと、4兆5840億ドルに3兆3881億円と、目の玉が飛び出る額ですね。2018年の歳入決算総額が、1位の東京都で5.5兆円、2位の大阪府が4.2兆円、3位の神奈川県が3.8兆円ですから、私立大学が大阪府や神奈川県並みの予算を持っているのですから、驚きですね。記事によれば、東京大学の基金が約100億円、慶応義塾大学が約481億円、早稲田大学が約274億円ですから、私学の雄である慶応大学ですら100倍は違うんですね。

■大学ランキング執着の終焉■

ハーバード大の場合は、ハーバード・マネジメント・カンパニーが運用業務を請け負っているんだそうで、さすがに世界トップと言われても、大方が認めるエリート校らしいな、と。別にハーバード大学ほど厳しい結果を出せとはいいませんが。それでも、年金積立金管理運用独立行政法人ぐらいの手堅さでもいいから、やるべきですよね。象牙の塔にこもって、私学助成金頼りでは、あまりにも殿様商売。だいたい、私学助成金は憲法89条後段に反するという議論もありました(政府見解は、私立学校の事業は「公の支配」に属し、公費からの助成も憲法89条後段に反しないとのこと)。

【大学ランキング執着は不健全 前国連大学長が語る日本の現状と処方箋】朝日新聞

世界大学ランキングで地盤沈下ぶりが指摘される日本の大学。国連大学学長として、この春まで10年間東京を拠点に活躍したデイビッド・マローンさんは、むしろランキングへの執着が強まっていることを問題視しています。どういうことなのか。外交官で前国連事務次長の経歴を持ち、世界各国の大学で教壇に立ってきた経験から語る「日本への処方箋(せん)」とは。

https://www.asahi.com/articles/ASR43567BR3ZUPQJ018.html

在野精神とか言うなら、んなもん拒否しろって話なんですよね。私学助成金がなくなれば、文科省の大学への支配力も下がるわけですしね。で、ハッキリ言えば沖縄科学技術大学院大学とか、論文引用が多く、かなりの成果を出してるわけです。このnoteでも取り上げていますが、ジョナサン・ミラー教授率いる物理生物学ユニットの研究チームが、今までは難しいと言われたツツイカの養殖システムを研究したりと、ユニークな研究もしているんですよね。こういう、農林水産関係の研究だって、利益と結びつけちゃいかんとか、ただの学問聖域化信仰ですよ、そう信仰。

学術会議の左傾化とか、東京大学名誉教授たちの珍妙な議論を見ていると、もうこういう❘柵《しがらみ》をバッサリ切り捨てて、北海道科学技術大学院大学を作り、次は島根県とか過疎地に島根科学技術大学院大学を作り、赤く染まったアカデミズムを切り離すことも、必要に思えるんですよねぇ。最後の昭和の残滓を、取り除くチャンスかと。東大のユーグレナ研究とか、自分は大学内ベンチャーとして面白いと思います。そういうのもまた、一つの才能ですから。自分はむしろ10兆円規模の大学ファンドと国際卓越研究大学構想に、期待しています。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

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