能登への物資輸送の難しさ
◉令和6年能登半島地震で、輸送艦おおすみのLCAC-1級エア・クッション型揚陸艇が大活躍中です。なにしろ60トンを超える戦車を運べることを前提に設計されているので、20トンとか30トンのショベルカーなどの重機も、簡単に運べますし、大型トラックも複数台運べます。海岸が隆起し、さらに津波で港が使えない中、実に頼もしい存在なのですが。だからといって、おおすみ型の同型艦とLCAC-1を投入すればいいかと言えば、そんなこともないようですね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、
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■LCAC-1級揚陸艇のこと■
現実には、揚陸する場所もどこでも良いというわけではないんですよね。物資の空中投下だって、狙ったところの落とせないし、パラシュートは10メートルの高さから飛び降りるスピードで着地するので、訓練した隊員でさえ、骨折や脱臼などの怪我をするとか。いわんや、重い物資を抱えて、ボンボン着地できるとでも? で、そうやって嫡嗣した空挺団は、飲まず食わずで作業して、糞尿も出さないとでも? 日本の左翼は、軍事音痴が過ぎます。軍事を学ぶと戦争が起きるという、言霊信仰に無自覚ゆえ。
船から船を出す、揚陸艇はウェルドックと呼ばれる、多くは艦艇の船尾に設置された、デッキ状の格納庫のことです。喫水線よりはちょっと上の位置から、ランプウェイ兼カバー部分が海に向けて倒され、ここからホバークラフトや揚陸艇が発信します。それらが収納されてる場所をドックと呼ぶので、ウェルドック。おおすみ型は2隻のLCAC-1級エア・クッション型揚陸艇を搭載していますが、アメリカのワスプ級強襲揚陸艦は3隻を搭載。大車輪の活躍ですが、空挺団を投入しろとか意味不明のことを言う軍事音痴左派は、他のLCAC-1も投入しろと言いそうですが。
■荷物を運んでも道路がない■
自衛隊などが公開した画像を見ると、LCAC-1はかなり大きな艦艇だと気づきます。後方の大きなプロペラのせいで、錯覚しがちですが、全長28メートルで全幅14メートルと、ある意味でズングリムックリした形状なので、なおさらなんですが。基準排水量85トンですから、63トンの戦車を運べるのは、それなりに大きくて頑丈でないと。また、おおすみ型を一箇所に投入すると、他の災害が起きたり、他国がその隙をついて攻撃してきたら、大事ですし。こういう艦艇は、災害や戦争が起きないと、無用の長物です。左派は平時は無駄無駄と言うくせに。
ヘリコプターも、実際にはものすごい風が巻き起こるんですよね。ドクターヘリですら、3トン弱ある機体を空中に持ち上げるんですから、かなりの揚力がないと無理。自衛隊のヘリコプターとか、そりゃあすごい風でした。LCAC-1が揚陸した砂浜は、道路まで段差があって、持ってきたショベルカーで、まずは近くの道路への簡単な通路を作るところから、スタートですからね。数を投入しての力押しでは、解決しないんですが。どうにも、インパール作戦の牟田口廉也中将より酷い、兵站軽視の左派が多く。
■陸海空の物流と能登半島■
けっきょく、陸海空の流通経路の確保が大事なんですよね。東日本大震災や熊本地震と、能登地震との決定的な違いはここ。能登半島は珪藻土の産地として有名なんですが、珪藻土って多くはジュラ紀以前の珪藻の化石なんですよね。つまり、古くて硬い岩盤が多く、こういう地質だと海岸は切り立った崖が多いんですよね。志賀原発があるのも、そういう硬い岩盤の上だからです。福井県に原発が多い理由です。そうなると、陸路が分断されれば、一気に流通の効率は悪くなるんですよね。
海路は大量の物資を安価に輸送できますが、スピードは遅い。その物資も、海岸から陸路で輸送されます。空路はスピードは早いですが、一度に運べる料はかなり少なく、予算もかかり、空港がないところではなかなか難しいです。陸路は、自動車と鉄道。能登半島はのと鉄道七尾線しかなく、しかも穴水までしかないです。けっきょく、陸路の復旧が進まないと、流通という血管は繋がらない。都市生活者が多い日本の左翼には、そういう地方の実態が、わからんのです。
ところで、ホバークラフトはイギリスのブリティッシュ・ホーバークラフト社の商標なんだそうですが、同社が一般名詞として使ってもイイよという太っ腹なところを見せたので、ホバークラフトと言っても良いんだそうで。
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