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三菱重工が超小型原発に注力

◉三菱重工がトラックで輸送できる超小型原発を、2030年代に商用化を目指すという情報が。ロシア連邦に寄るウクライナ侵攻によって、かつてないほどエネルギー問題というのが真剣に日本でも議論されつつあります。石油・石炭・天然ガスといった化石燃料とは別に、原子炉夢発電に対しても怖い怖いと言霊信仰を振りまくだけではなく、現実的な議論が必要でしょう。特に、安全性を高めた第四世代原子炉に関しては、情報の共有が必要です。

【三菱重工、トラック輸送できる超小型原発 30年代商用化】日経新聞

三菱重工業はトラックで運べる超小型原子炉を2030年代にも商用化する。電気出力は従来の100万キロワット級の原子炉の2000分の1で、災害地域などでの脱炭素電源としての活用を見込む。小型原発は地下に埋めることができ、事故のリスクを抑えやすい。世界的な脱炭素シフトで原発を見直す動きが広がる中、「小型化」技術の裾野が広がってきた。
開発するのは「マイクロ炉」という原子炉。電気出力は最大500キロワッ...

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ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、福島第二原子力発電所のイラストだそうです。

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■小型原子炉の可能性■

100〜120万kw などの巨大な発電力を持つ、第三世代原子力発電所とは違って、こちらはトラックに乗せられるような超小型の電子力発電ユニット。最大でも500kwですから、本当に小規模発電という感じです。ただこれぐらい小さくて、設置場所を選ばないような発電ユニットならば、大規模災害で電気が使えなくなったような場所では、有効に機能するでしょうね。それこそ、バックアップ用の電源として、各都道府県の県庁所在地とか中核都市設置しておくべきレベル。

東日本大震災でも、アメリカの原子力空母が臨時の原子炉夢発電所になるということが、理解されましたが。日本では原子力空母レベルの巨大な艦艇は保有できないでしょうし、未だに原子力船むつの放射能漏れ事故を針小棒大に騒いで、イメージだけで語っている部分がありますから。このニュースでも、Twitter 上では放射能漏れが〜と騒いでる人が一定数いて、情報をアップデート出来ない人は一定数いるのだなと思った次第。科学技術は日進月歩です。

■船舶用の原子炉の活用■

さて、三菱重工に関しては、もう一つ別の原子力発電の記事もありました。上野日経新聞の記事と被る部分もありますが、それよりももう少し踏み込んだ内容になっています。小型モジュール炉──正確には第4世代原子炉の一つである、高温ガス炉のことでしょう。こちらを応用した、小型原子炉の活用。発電所は地産地消が望ましいので、個人的には小型原子炉の分散発電は、ひとつの選択肢だと思っています。

【SMR、船舶に3万キロワット・離島に500キロワット/三菱重が40年頃商用化】電気新聞

 三菱重工業は、小型モジュール炉(SMR)の適用範囲を広げるため、出力を絞った2タイプの開発に力を入れる。SMRはマイクログリッド向けの30万キロワット型が主力となるが、これに加えて船舶への搭載を想定した3万キロワット型、離島や被災地に設置する500キロワット型も開発する。いずれも2040年頃の商用化を見据えており、概念設計や基本設計に取り組んでいる。多様なSMRをそろえ、各地のニーズに沿う炉を提案する。
 30万キロワット型は既に概念設計や要素技術試験を終え、詳細設計に入っている。炉はPWRをベースに原子炉容器と蒸気発生器を一体化した構造。自然循環冷却で内部を冷やすため、冷却材ポンプを取り除き小型化している。

高温ガス炉の出力は30万kwほどと、第三世代原子炉に比べると1/3から1/4ほどなのですが。第三世代炉は安定した古い岩盤(理想は第三紀より古い)と冷却用の水が必須です。このため、立地が限られてしまいます。福島・福井・泊・島根・玄海・川内などの原子力発電所が、恐竜化石や貝化石の産地の近くなのは偶然ではありません。勉強不足の反原発派が、上等な皮肉のつもりで「東京にも原発を!」とうそぶきますが、土砂が堆積した沖積平野の関東平野は場所によっては3000メートルも掘り進まないと岩盤に当たりません。

■電気の安定供給は弱者のため■

しかし高温ガス炉では、この岩盤と冷却水の二つが、必要ありません。理論上は、砂漠でも高山でも、発電が可能です。島国で島嶼部が多い日本の場合、大規模な第三世代原子炉の発電所よりも、むしろ小型で安全な第四世代原子炉の方が、好ましいとさえ思えます。石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料を使った火力発電所よりも、エコロジーですから。日本の反原発派はこの点をなかなか認めたくないのですが、世界的にはこれが常識です。

高温ガス炉の1/10の出力の、小型原子炉を上手く量産できれば、どこか一箇所の発電所が緊急停止する事によって広範な地域が停電に陥るといった、リスクも軽減できますしね。都市インフラに背乗りしてるくせに、自分はエコロジカルな生活をしているつもりの朝日新聞編集委員やその支持者には、電気が止まることは呼吸装置をつけた弱者にとって死を意味することが、理解できていないようですが。何かとマイナスが業績が目に付く三菱重工ですが、この方面では期待したいです。

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