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小説連載プラットフォーム〝Kindle Vella〟開始:Amazon版なろう・カクヨム

◉家電販売で、デタラメなマーケットプレイスの出店や個人出品でグッチャグチャになってしまい、Amazon離れが進んでるという記事を、以前に紹介しましたが。Amazonが創業の原点──本屋がない地域に本を届ける──に立ち返るような、サービス開始です。〝Kindle Vella〟って要するに、Amazon版の『小説家になろう』や『カクヨム』みたいなモノですね。ただし、内実はイロイロと差異がありますが。

【連載小説プラットフォーム「Kindle Vella」を米Amazonが開始。KDPで有料連載が手軽に】Engadget Japanese

米Amazonは7月13日(現地時間)、自費出版サービスのKindle Direct Publishing(KDP)において、連載小説を書ける新しいプラットフォーム「Kindle Vella」をリリースしました。iOSのKindleアプリあるいはウェブサイトから利用可能で、いまのところAndroidやKindleリーダーでは読めません。
Kindle Vellaは、簡単に言ってしまうとAmazon版の「小説家になろう」のようなもの。著者は600~5000単語の短いエピソードを公開し、読者はトークンを利用してエピソードのロックを解除することで読めるようになります。トークンは有料で、200トークンで2ドル、1700トークンで15ドル。

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■作家へのハードルが下がる■

個人的には、こういうのには期待しちゃいます。取りあえず。昔は、作家になるためには出版社のハードルがあり、これってたぶんに運の面が大きかった部分もあります。そうでなければ、有名作家が個人的に運営している同人のメンバーになって、そこで頭角を現すしかなかったわけですが。もちろん、現在でもAmazonで個人がアカウントを取って、小説でも漫画でも画集でも写真集、販売ができます。

ただ、そうなると書き下ろしと言うことになりますから、ハードルはありますよね。専業作家で運転資金に余裕がある人ならともかく、そうでないと兼業作家が出すことに。よほどの早筆でない限りは、刊行ペースは落ちちゃいます。これが専業プロなら、雑誌連載で原稿料が出て、単行本化で印税が出てと言う、二段構えになるのですが。現在は、文芸誌は少部数で細々とやっていますから。

■日米の出版事情の違い■

これがアメリカだと、日本のような再販制度もないですから、あんがい多様性がない。書店は本の買い取りが基本ですから、売れない本は売りたくない、というのが本音。しかし、こういうお試しで本が読め、面白ければ購入し、というのはAmazon内で個人連載ができ、それがプラットフォームとして用意されるのなら、作家には朗報ですね。特に、無名作家や新人作家には。儲かるのは有名作家ですが。

もちろん、連載形式に向く作品と、そうでない作品もありますから。でも、早い段階で評判になれば、コレはコレで作家には美味しいですし。毎回の引きがある作品構成ができる作家、つまり腕がある作家にも有利。新井素子先生も初めての雑誌連載で、単行本書き下ろしとの違いに、改めて気付いたそうですから。作家の文筆修業の場になる可能性にも、期待です。習うより慣れろ、ですから。

■雑誌の機能と弱肉強食■

そういえば、プロレスラーのキラー・カーンさんが、アメリカはプロモーターとレスラーの個人契約の世界で、客をヒートアップさせられないヤツは自然淘汰される、日本は会社に守られてダメレスラーが出世すると、批判されていました。内容の是非はともかく、非常に興味深い内容でした。アメリカでトップヒールにのし上がった人ゆえ、説得力がありますね。

ある意味で、雑誌というのはダイヤモンドの原石を見つけ出し、磨くのに時間が掛かる人を、育てる機能があります。アメリカのように、個人主義で弱肉強食の世界では、そういうスタイルがあってるし、育てる機能は別にある。プロバスケのNBAが、育てる機能は高校・大学にアウトソーシングしてるように。逆にMLBは、マイナーリーグと契約して自前で育てるスタイルですが。

■日本でKindle Vellaは根付くか?■

日本では、作家と担当編集が二人三脚で、新人作家を育てていくスタイルですが。鳥山仁先生も指摘していますが、小説に関してはプロとアマチュアの差は、そこまでないと。コレは元小学館の編集長であった長崎尚氏が指摘されていましたが、マンガ家の場合は実は編集者との分業部分が大きいので、小説系の出版社が漫画に進出しようとすると、失敗することが多い、と。一利ある指摘です。

実際、ライトノベルの世界は小説家になろうやカクヨムなどで、自力で頭角を現した作家の、ピックアップが盛んです。であるならば、育てる部分はNBA的にアウトソーシングするのか、という話に。でも、それだと作家が個人出版に走れば、出版社は先細りです。自社独自のノウハウを蓄積し、育てる地力を持てるか・持っているかが重要に。でも、ラノベの編集部は契約社員だらけという噂も。

■MANZEMIにできること■

ウチの講座は、作家育成のアウトソーシングにも対応しますし、それこそ作家が個人出版したい場合も、ノウハウは伝授できますけどね。ここら辺は、漫画の編集部って漫画だけでなく、グラビアページもあれば特集記事のページもある、モノクロ・4色カラー・2色カラーもある、プレゼントや付録もあると、ものすごく総合的なんですよね。それこそ小説のページさえある雑誌がありますので。

本作りの制作ノウハウも、かなり総合的ですから。ウチとしては漫画・小説・脚本の三態の土台に、作話のノウハウがあると思っていますので。こういう新しいプラットフォームを上手く利用して、才能が世に出るお手伝いを少しでもできれば。日本でこのサービスが始まるかは解りませんが、Amazonを利用しての雑誌的な本の作り方は十分に可能ですからね。ウェブ系雑誌は、既に実行していますし。

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