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朝日新聞阪神支局襲撃事件から35年

◉1987年5月3日に、朝日新聞阪神支局に散弾銃を持った男が侵入し、記者一人を殺害し、一人に怪我を負わせた、朝日新聞阪神支局襲撃事件(広域重要指定116号事件)から35年。それまで赤報隊なる右翼団体の存在は知られておらず、突然出現してまるで訓練を積み重ねた工作員のように無駄のない動きで目的を達成し、アリバイ作りのようにいくつかの犯行を重ね、忽然と姿を消した謎の事件です。犯人が捕まっていない以上、本当に右翼団体の犯行かさえ、断じられないと思います。

【「赤報隊」の支局襲撃から35年 116号事件が今に問いかけるもの】朝日新聞

 1987年5月3日、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に男が侵入して散弾銃を発砲し、記者2人を殺傷した。犯行声明を報道機関に送りつけながら「赤報隊」は事件を重ね、いずれも未解決のまま2003年に完全時効となった。35年前の憲法記念日に放たれた銃弾は、分断と不寛容が指摘される現代に、何を問いかけているのか。

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、朝日新聞の名刺。自分も何人かは持っていますけどね。

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■本当に右翼の犯行か?■

右翼関係者でも、赤報隊に心当たりがない、という意見が多いですね。あれ程の犯行を実行するなら、古参の右翼団体ならば何らかの情報が、隠しても漏れ伝わってきますからね。赤報隊関係者にあったという話は、たまに出てくるんですが。どうにも、内容的には証拠も何もない話にしか思えません。それゆえ、襲撃された記者が別件で取材していた某団体が、ヒットマンを雇って偽装したのではという説は、かなり早い段階で出ていたんですよね。

そもそも、赤報隊って歴史に詳しい人間でも、ほとんど知らない存在ですからね。長州・薩摩藩を中心とする新政府の東山道鎮撫総督指揮下の一部隊で、清水の次郎長のライバルとして知られる群馬の博徒・黒駒勝蔵が参加しているので、そっち方面では知る人ぞ知る存在。映画やドラマでも、ちらっとそういう描写があるんですよね。しかも、年貢半減を農民に触れ回ったため、偽官軍として隊長の相楽総三他多くが処刑されている。なんか、自分には悪人の告白に思えます。

■行動力が減退した右翼団体■

そもそも、日本の右翼団体によるテロって、戦後はとても少ないんですよね。1960年の山口二矢による浅沼稲次郎刺殺事件とか、1961年の嶋中事件(風流夢譚事件)や1990年の長崎市長銃撃事件など、あるのですが。1970年の三島事件も、加えて良いでしょう。でも学生運動による総括リンツ殺人事件(山岳ベース事件)やセクトによる内ゲバ殺人事件の件数に比較したら、圧倒的に少ない。もちろん、テロは右も左も宗教団体も、自分は肯定しませんが。

李明博大統領の天皇陛下侮辱発言にも、動く右翼団体はなかったのですから、それぐらい大人しくなってる。赤報隊事件は本当に右翼団体の犯行か、疑問です。例えば、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の悪事が暴露されると、必ず出現するチマチョゴリ切り裂き事件。しかし、世界的にはかなり優秀な部類の日本の警察が、ついぞ犯人を捕まえたこともなく。にも関わらず、日本人による民族差別による犯行だと、決めつけた言動が平気でマスコミの電波に乗るんですよね。あれと同じ。右翼やオタクには推定無罪はないらしいです。

■テロの高揚感やルサンチマン■

テロリズム。コレはある種の甘美な面を持っていて、誠実な人間が自分の死によって巨悪を除くという、ある種のヒロイズムやナルシズムを背景にしています。三島由紀夫事件もまた、彼の自殺願望をああいう形で昇華し、芥川龍之介の死とも太宰治の死とも違う、三島の美学に沿った形で人生を終わらせたかった部分が……。ここらへんの考察は、猪瀬直樹元都知事の、『ペルソナ 三島由紀夫伝』が、質・量共に秀逸でした。けっきょくは太宰とは違う形の無理心中でしたが。

しかし、朝日新聞阪神支局襲撃事件は、そういう部分が薄く。実に事務的というか。依頼された仕事をテキパキとこなした、お仕事に見えてしまう。そこには、テロリストの高揚感も社会に対する不満=ルサンチマンも、ほとんど感じられないです。神戸児童連続殺傷事件でだって、もうちょっと高揚感が手紙には滲んでいました。グリコ森永事件でも、あるいは世田谷一家殺害事件でも、もうちょっとイロイロと証拠や手がかりが残っているのですが、この事件は誤解を恐れずに言えば、実にプロフェッショナルの仕事に思えます。

こうなってくると、ゴルゴ13実在説を、信じたくなるほどに。いずれにしろ、犯人が特定され、事件の背景が解き明かされることを願います。テロ反対。万機公論に決すべし。

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