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声優が食べていけない理由

◉声優=アニメーションというイメージがありますが、どうもアニメの出演だけでは、食べていけないという現実があるようで。コレ自体は、それこそ80年代に永井一郎さんらが、再放送にもギャラを出すように交渉してようやく、という状況でしたからね。声優のギャランティーは、日本俳優連合が定めたランク制で計算されているんだそうで、キャリアで主演だろうが脇役だろうが固定制度のようです。アニメ業界というと、若手アニメーターの貧乏話がちょくちょく出ますが、声優も似たような状況のようで。

【榎本温子、声優がアニメ出演だけでは食べていけない理由を解説する】FINDERS

アニメに命を注ぎ込む存在とも言える声優たちの報酬があまりにも低いことをご存知だろうか?有志グループ VOICTION が2022年9月29日に発表した「声優の収入実態調査」によると約7割以上が年収300万円以下という状況だ。

また近年では若手声優がメンタル面の不調を訴え休業してしまうケースも続出。こうした問題をネット番組の『ABEMA Prime』が取り上げたところ大きな反響を呼んだ。

そこで今回は同番組にも出演していた現役声優の榎本温子さんに、声優界の現状をさらに詳しく尋ねた。

文・構成:ひでたかくん 聞き手:ひでたかくん、神保勇揮(FINDERS編集部)

https://finders.me/articles.php?id=3534

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。

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■上手い人より速い人?■

「主役を担当しても、通りすがりの通行人でも、拘束時間やセリフの量に関係なく」同額というのはある意味で、声優も横並び主義なんでしょうけれど。1本1万5000円は、高いのか安いのか、部外者の自分にはヨウワカランのですが。週に5日仕事があっても、52週×5日×1万5000円=390万円 ですから。年収400万円いかない。売れっ子でコレでは、きついですね。アニメの動画マンも、一枚イクラの計算で、ベテランも新人も同じ。結果、安彦良和先生が「プロとは上手い人ではなく速い人」と語るように、巧さよりもどれだけ多く描けるかが、収入に直結することに。

でもこれは、難しい側面もありますね。巧さの評価って、客観的に見ることって、難しいですからね。これは、元アニメーターで漫画家の宮尾岳先生も語っていましたね。自分の元担当漫画家にも、元アニメーターが何人かいましたが、食っていけないので漫画家に転向したという感じで。で、実際に漫画のほうが食えていけたんですよね。アシスタントの時点でアニメーター時代よりもマシな収入で、デビューしたら明らかに上。連載もらえて単行本出たら、そこそこの収入になるので。

■業界の体質の問題か?■

これは、映画の脚本家の方も、以前に愚痴っていたのを見た記憶が。映画の脚本でカツカツだったのに、小説家に転向したら食えるようになった……と。出版業界だって、作家搾取がひどい部分があるんですけど、それでもどうもアニメ業界が属する映画業界自体が、ある種の搾取によって成り立っている、特殊な業界のように思うんですよね。もちろんこれは、大勢のスタッフが関わる映画やアニメという表現と、筆一本で食える漫画家や小説家と、構造的な違いがありますから。

で、自分のような立場の人間だと、筆一本で食えるのは理想だが、それが叶わないならサイドビジネスで補完するのは、悪いことではないと思うのですが……。しかし漫画家の中でも、専門学校で教えたりする人を、売れなくなった人間の姥捨山と、馬鹿にする人がいますね。才能があるなら専業でやればいいですが、そうでない人を馬鹿にする感覚が、わからんですけどね。副業で5万円でも毎月入ってくれば、好きな仕事を辞めなくていいなら、それに越したことはないと思うんですけどね。作品やジャンルは、一流だけが創るわけではないですから。

■解決策の提案無き批判■

声優も、歌とかビジュアルとかトーク力とか、いろんな部分を求められるのは、それだけでは稼げないからという部分が大きいのでしょうけれど。でも、ベテラン声優の多くが、声優である前に俳優であれといい、舞台演劇とかにも力を入れていたのですが。声優という祝業が確立されると、逆にアニメに特化された声の出し方とかが普及し、洋画の吹き替えとかで合わない人が増えていますね。これは、歌手であり声優としても代表作が多いささきいさおさんも、指摘されていらっしゃいましたが。

そもそもの疑問として、アニメの声優だけで食えない状況は悪なのか、という部分はあります。どこかが搾取していて、それが現場に回らないのなら、そこを指摘すればいいのですが。アニメの場合、中の人も貧乏体質の理由が、上手く説明できていない。製作委員会方式が諸悪の根源のように言われますが、あれも元々はリスクヘッジのために生まれた制度で、それ以前も貧乏体質を言われていたのですから、外部から見ると責任転嫁に見えちゃうんですよね。では、どういう解決策があるのか?

■リスクヘッジの重要性■

製作委員会方式は、コケたときのリスク回避として、生まれた部分がありますから、そのメリットもあるわけです。特に、全国公開の作品とか、映画もアニメもリスクがありますからね。以前にも書きましたが、庵野秀明監督とスタジオχαράとかは、製作委員会方式に背を向け、自社で制作しています。そうすることで、作品がコケたときのリスクはありますが、成功したときの実入りも大きいわけです。そして、自社でやる場合のリスクに対して、不動産運用など、サイドビジネスでリスクヘッジされているわけで。漫画家も声優も、ここに学ぶべきでしょうね。

経営について、コチラのnoteも似たような問題を論じています。映画会社の東宝は、映画館という箱を増やすために、まずは土地を買いまくって用地を確保したわけで。その結果、戦後には建物の高層化によって、映画館〝も〟入っている箱を、多数所有するようになったわけです。これで、映画以外の収入も入って、経営が安定し、結果的に本業の映画もリスクのある作品でも、思い切って制作できるようになったわけです。そう、こうやって見ると、サイドビジネスは悪とはいえないのではと、自分は思いますよ?

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