声優が食べていけない理由
◉声優=アニメーションというイメージがありますが、どうもアニメの出演だけでは、食べていけないという現実があるようで。コレ自体は、それこそ80年代に永井一郎さんらが、再放送にもギャラを出すように交渉してようやく、という状況でしたからね。声優のギャランティーは、日本俳優連合が定めたランク制で計算されているんだそうで、キャリアで主演だろうが脇役だろうが固定制度のようです。アニメ業界というと、若手アニメーターの貧乏話がちょくちょく出ますが、声優も似たような状況のようで。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。
◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉
■上手い人より速い人?■
「主役を担当しても、通りすがりの通行人でも、拘束時間やセリフの量に関係なく」同額というのはある意味で、声優も横並び主義なんでしょうけれど。1本1万5000円は、高いのか安いのか、部外者の自分にはヨウワカランのですが。週に5日仕事があっても、52週×5日×1万5000円=390万円 ですから。年収400万円いかない。売れっ子でコレでは、きついですね。アニメの動画マンも、一枚イクラの計算で、ベテランも新人も同じ。結果、安彦良和先生が「プロとは上手い人ではなく速い人」と語るように、巧さよりもどれだけ多く描けるかが、収入に直結することに。
でもこれは、難しい側面もありますね。巧さの評価って、客観的に見ることって、難しいですからね。これは、元アニメーターで漫画家の宮尾岳先生も語っていましたね。自分の元担当漫画家にも、元アニメーターが何人かいましたが、食っていけないので漫画家に転向したという感じで。で、実際に漫画のほうが食えていけたんですよね。アシスタントの時点でアニメーター時代よりもマシな収入で、デビューしたら明らかに上。連載もらえて単行本出たら、そこそこの収入になるので。
■業界の体質の問題か?■
これは、映画の脚本家の方も、以前に愚痴っていたのを見た記憶が。映画の脚本でカツカツだったのに、小説家に転向したら食えるようになった……と。出版業界だって、作家搾取がひどい部分があるんですけど、それでもどうもアニメ業界が属する映画業界自体が、ある種の搾取によって成り立っている、特殊な業界のように思うんですよね。もちろんこれは、大勢のスタッフが関わる映画やアニメという表現と、筆一本で食える漫画家や小説家と、構造的な違いがありますから。
で、自分のような立場の人間だと、筆一本で食えるのは理想だが、それが叶わないならサイドビジネスで補完するのは、悪いことではないと思うのですが……。しかし漫画家の中でも、専門学校で教えたりする人を、売れなくなった人間の姥捨山と、馬鹿にする人がいますね。才能があるなら専業でやればいいですが、そうでない人を馬鹿にする感覚が、わからんですけどね。副業で5万円でも毎月入ってくれば、好きな仕事を辞めなくていいなら、それに越したことはないと思うんですけどね。作品やジャンルは、一流だけが創るわけではないですから。
■解決策の提案無き批判■
声優も、歌とかビジュアルとかトーク力とか、いろんな部分を求められるのは、それだけでは稼げないからという部分が大きいのでしょうけれど。でも、ベテラン声優の多くが、声優である前に俳優であれといい、舞台演劇とかにも力を入れていたのですが。声優という祝業が確立されると、逆にアニメに特化された声の出し方とかが普及し、洋画の吹き替えとかで合わない人が増えていますね。これは、歌手であり声優としても代表作が多いささきいさおさんも、指摘されていらっしゃいましたが。
そもそもの疑問として、アニメの声優だけで食えない状況は悪なのか、という部分はあります。どこかが搾取していて、それが現場に回らないのなら、そこを指摘すればいいのですが。アニメの場合、中の人も貧乏体質の理由が、上手く説明できていない。製作委員会方式が諸悪の根源のように言われますが、あれも元々はリスクヘッジのために生まれた制度で、それ以前も貧乏体質を言われていたのですから、外部から見ると責任転嫁に見えちゃうんですよね。では、どういう解決策があるのか?
■リスクヘッジの重要性■
製作委員会方式は、コケたときのリスク回避として、生まれた部分がありますから、そのメリットもあるわけです。特に、全国公開の作品とか、映画もアニメもリスクがありますからね。以前にも書きましたが、庵野秀明監督とスタジオχαράとかは、製作委員会方式に背を向け、自社で制作しています。そうすることで、作品がコケたときのリスクはありますが、成功したときの実入りも大きいわけです。そして、自社でやる場合のリスクに対して、不動産運用など、サイドビジネスでリスクヘッジされているわけで。漫画家も声優も、ここに学ぶべきでしょうね。
経営について、コチラのnoteも似たような問題を論じています。映画会社の東宝は、映画館という箱を増やすために、まずは土地を買いまくって用地を確保したわけで。その結果、戦後には建物の高層化によって、映画館〝も〟入っている箱を、多数所有するようになったわけです。これで、映画以外の収入も入って、経営が安定し、結果的に本業の映画もリスクのある作品でも、思い切って制作できるようになったわけです。そう、こうやって見ると、サイドビジネスは悪とはいえないのではと、自分は思いますよ?
◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉
以下は有料です。ただし内容的には大したことは書いていませんので、興味があって著作権法を遵守できる人だけどうぞm(_ _)m ただ投げ銭を出すよりは、お得感があった方がいいでしょうから。お年玉がわりに100円ぐらい恵んでやろうという、心の広い方だけお願いします( ´ ▽ ` )ノ
◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉
売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ