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プリゴジン氏が粛清

◉一度は反乱を企てた以上、折を見て暗殺されるのではないか……という指摘は前々からありましたが。まさか、このタイミングで起きるとは思いませんでした。これは自分のような政治や外交の素人だけではなく、ロシアの専門家でさえ、そうでしたから。おかげで福島の処理済み水の海洋放出の話題も、北朝鮮のミサイル発射 も、完全に吹っ飛びましたね。

【プリゴジン氏の死亡は確定的 搭乗機墜落、ミサイル発射の痕跡と報道】朝日新聞

ロシアの民間軍事会社ワグネル創設者、エフゲニー・プリゴジン氏の反乱宣言から2カ月となる23日、プリゴジン氏の名前が乗客名簿にある同氏の所有機が墜落した。事故の詳細は依然不明だが、プーチン政権は「裏切り者」を許さないと言われており、プリゴジン氏が「粛清」されるとの見方は根強くあった。
(中略)
 ワグネルに近いテレグラムチャンネル「グレーゾーン」は、地対空ミサイルが発射された痕跡があるとして、「撃墜された」と報じた。

https://www.asahi.com/articles/ASR8S1TBVR8SUHBI002.html

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、マトリョーシカの可愛いイラストです。粛清という陰惨な内容ですので、少しでもソフトなものを。

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■超簡単な連想ゲーム■

いちおうまだ、事件なのか・事故なのか・暗殺なのか・粛清なのか、現時点では確定していませんが。独断と偏見で、粛清 と言い切ってしまいます。だいたい、プリゴジン氏が搭乗した自家用機が、墜落する一部始終が動画に撮影されていること自体が、驚きなんですが……。偶然ですか? 情報は錯綜していますが、爆弾が仕掛けられた説と対空ミサイルが飛んでいるという説と、入り乱れていますね。

アメリカの情報筋は、プーチン大統領の命令という説を紹介していますし。ロシア人というか東スラブ人の伝統として、熊に例えられる気質がありますからね。動きは一見すると鈍重だが、ここぞという時には猛ダッシュで一気に襲いかかり、一度手に入れた獲物は手放さないという執着心が、それ。プリゴジンの乱で恥をかかされて、復讐のチャンスを狙っていたというのは、容易に連想できますしね。

■林彪暗殺事件との類似■

かつて中華人民共和国では、林彪事件が1971年に発生しました。共産党中央委員会副主席というナンバー2による、毛沢東 暗殺未遂事件並びにクーデター未遂事件、その後の亡命に失敗しての飛行機墜落事件をまとめて呼びます。中国とウソビエト連邦の対立が高まり、アメリカに接近しようとする毛沢東と、親ソ連派の林彪とで対立が起きたのが原因とする説もあります。

クーデターに失敗した林彪は、飛行機でソ連に亡命しようとしますが、飛行機は謎の墜落。モンゴル共和国内に墜落したため、中国は死体の返還を求めず。ソ連の諜報機関KGBが遺体を回収して、林彪と確認したとか。モンゴル国内にはこの飛行機の残骸が長らく放置されており、平成の時代になっても野晒しにされていた記憶があります。今現在はどうなってるか知りませんが。何やら裏切り者に対する見せしめ のような感じで、怖かったです。

林彪は毛沢東から、後継者指名されるぐらい信頼されていたのですが。明智光秀と織田信長もそうですが、ある時期まで 蜜月だった人間関係が、短期間で急速に崩れることは、よくある話です。プリゴジン氏はあの反乱までは、プーチン大統領にとっては使い勝手の良い、頼りになる部下だったはずですが。ウクライナ侵攻の長期化によって、双方に不満がたまり。反乱と粛清という最悪の結果を迎えたわけです。

■ロマノフ朝とその終焉■

大躍進政策の失敗から、政治の実権を劉少奇国家主席や鄧小平らに奪われた毛沢東は、1968年の文化大革命による権力奪還に動き、国内政治的にも迷走していました。毛沢東派として可愛がられていた林彪でしたが、この動きに危機感を持ち。その延長線上の林彪事件でした。けっきょく、毛沢東はニクソン大統領や田中角栄 総理大臣と国交回復しますが、林彪事件の4年後の1975年に死去。

プーチン大統領の末路も何やら、暗雲が立ち込めていきそうな感じです。少なくともワグネルは、素直にロシア連邦軍に編入されるとは、思えません。このまま粛清されるならと、ワグネル幹部による再度の反乱もあるかもしれません。窮鼠猫を噛む可能性は、十分にありそう。それ以前に、ロシア帝国が滅びた過程と、似たような状況になりそうな。

ロマノフ朝の帝政ロシアは、世界の趨勢に逆らって立憲君主制に移行せず、ロシア第一革命で一応は立憲君主制移行しても形ばかりで強権的な政治を続行し、ついにはロマノフ朝が滅びた状況と似た状況になりそうな。皇帝の権威が落ちると、意固地になって 対外的な戦争などに参加した末期の歴代皇帝と、プーチン大統領がちょっと重なるんですよね。いっそのことロシア連邦が解体され、ロマノフ家の立憲君主制 が復活したりして。

■お花畑平和論の終焉■

戦争になったら降伏すればいい・逃げればいいと言っていた、昭和のお花畑平和論がまたひとつ、プーチン大統領によって打ち砕かれた。元の仲間でも、冷酷に暗殺する可能性が高い国相手に、降伏しても無意味だと。いろいろと問題はあったけれど、アメリカ軍による占領統治が、かなり寛容であったため、日本人は勘違いしてしまったんですが。それだって、満州帰りやシベリア抑留帰りの人がいて、共産主義国の実態は語っていたんですが、マスコミが握り潰してきただけで。ナザレンコ氏の指摘が正鵠かと。

しっかし、ウクライナ侵攻とプーチン大統領の言動にによって、いろんなものが打ち砕かれましたね。思いつくだけ列挙してみると、こんな感じでしょうか?
 ・日本を侵略する国はない
 ・憲法9条があるから平和
 ・日米安保があるから危険
 ・非武装中立が平和への道
 ・外交で戦争を回避できる

ここらへんの幻想が見事に打ち砕かれましたね。昔は、平和都市宣言とか無防備都市宣言とか、バカみたいなスローガンがまかり通って、まともな現実論が無視され、それどころか攻撃されていたのですから。ほんと、バカバカしいですね。民主党政権とプーチン大統領は、革新幻想を打ち砕いた功労者です。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ


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