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水素航空機向け液化水素ポンプと液化水素

◉あまり需要はありませんが、エネルギーネタ。水素関連ネタをふたつほど。将来的にはともかく、自動車などの内燃機関で脱炭素を本気で言うなら、EV者ではなく水素燃料と水素エンジンしかないのかなぁ……という感じですね。TOYOTAはそこに向けて、着々と手を打っていますが。水素と、水素キャリアとしてのエタノールやアンモニアや蟻酸といった物質と合わせて、応用も効きやすいですし。しかし、水素航空機って、あまり話題になっていなかったというか、マスコミも報じていませんでしたね。

【日機装が世界初、水素航空機向け液化水素ポンプの実液試験に成功】ニュースイッチ

 日機装は水素航空機向けの液化水素ポンプの実液試験に成功した。水素航空機を研究開発する川崎重工業から委託されたもので、モーター一体型ポンプがマイナス253度Cの液化水素で満たされた極低温の状態で、小型電動モーターによる高速回転で液化水素を送り出すことに成功した。

 同試験の成功は世界初という。2025年度の液化水素ポンプの納入を目指す。

https://newswitch.jp/p/38785

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、水素自動車の写真だそうです。

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■水素航空機の研究■

日機装の液化水素ポンプは、液体水素を燃料タンクからエンジンポンプへ昇圧して送り出す、ブースターの役割を持つんだそうで。水素は軽い元素なので、それまでのジェット燃料とは、また違う技術的な問題があるようですね。JAXA(宇宙航空研究開発機構)とかも、ロケットの技術を活かして、水素航空機の実現を目指しているようで。こちらは宇宙輸送機はもちろんですが、将来的には宇宙を往復する観光用の水素航空機まで含む、計画のようですね。イーロン・マスク氏も、将来はここを狙っています。

【航空機・将来宇宙輸送機への水素燃料の適用技術の研究】JAXA公式サイト

カーボンニュートラル社会の実現を目指して、航空機と将来宇宙輸送機に水素燃料を適用するための技術開発を行っています。これまでのH-IIAロケットやH3ロケットの開発で培われた液体水素燃料の供給技術、安全管理技術を航空機に適用することで、二酸化炭素を一切排出しない水素航空機の実現を目指しています。また、従来のロケットよりも推進剤の消費量を低減できる水素燃料の空気吸込式エンジンの研究開発に取り組んでいます。将来は、空気吸込式エンジンを搭載した有翼宇宙輸送機を開発することで、地球上の高速二地点間輸送や高頻度の宇宙輸送を実現することを目指しています。

https://www.kenkai.jaxa.jp/research/hydrogenfuel/hydrogenfuel.html

ロケットは、過塩素酸アンモニウムコンポジット推進薬(APCP)を使用する固体燃料のタイプと、液体水素と液体酸素を用いた液体燃料ロケットに分かれます。東大の研究室が母体となった内之浦宇宙空間観測所のイプシロンロケットは、固体燃料タイプです。科学技術庁と三菱が中心になった種子島宇宙センターのロケットは、液体燃料ロケットが主です。液体水素を使うと、大出力が得られるんですが、コントロールが難しいという面があり、ここは小回りがきくことが求められる水素航空機には、絶対に必要な技術なのでしょう。

■関西の水素燃料事情■

もうひとつ、関西の液体水素の話題を紹介。関西には岩谷産業株式会社など、水素関連の企業が、意外と多いようで。水素に関しては、ガソリンスタンド並みの供給体制が作れるか、という部分はあります。ここらへんは、いち早く自動改札が普及した関西の合理主義が、良い方向に動けば。動画を見ると、MKタクシーはEV車に切り替える方向のようですが、バスやトラック、タクシーといった公共性がある運輸交通手段は、積極的に水素エンジン車を取り入れれば、普及も加速しますし。

【マイナス253度で夢の燃料、液化水素に商機 関西が先導】日経新聞

石炭や石油など化石燃料を代替し、脱炭素社会の実現へ注目されているのが水素だ。気体から液体に変わる温度が「マイナス253度」で、これよりも低い温度は存在しないとされる絶対零度(マイナス273度)に迫る。関西には水素に関する優れた技術を持つ企業が集積している。前回の大阪万博が開催された1970年に「原子力の火」がともったが、2025年の大阪・関西万博を機に「水素の火」がともっていくか注目される。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF0510Q0V01C23A0000000/

自動運転に関しては、あんがい関西が先に普及しそうな気がします。バス路線の廃止問題の対応策として、自動運転バスの可能性は検討すべきでしょう。本当の過疎の市町村と違って、関西圏なら廃止されたバス路線でも、それなりの利用者がいますから、補助金抜きでも利益が出ますから。それで自動運転路線が確立できれば、面白いです。これは、自動運転レーンの拡張工事なども伴うので、関西の土木建築業も活性化するでしょうし。ここらへんは、関西の先進性に期待です。

■高温ガス炉との歩調■

さて、これらの水素事業は、メルトダウンしづらい構造の第四世代原子炉である、高温ガス炉の開発とセットです。その名の通り、高温が出るため、製鉄にも使えるレベル。この高温を利用して、石炭の液化の研究もありますし、水素生成の研究もあります。そういう意味では、第四世代原子炉は水素とも相性が良いんですよね。それこそ、夜間電力は水素生成に使う、といった形で、貯めておけない電気を別の燃料に変換することで、貯めることが可能ですし。

それは、水素エンジン車や水素航空機の燃料にも、水素火力発電所にも使えるでしょうし。出力は第3世代原子炉の3分の1ほどと弱いですが、硬い岩盤や冷却用の水という立地条件を選びませんし、小型でコンパクトですから、47都道府県に複数設置すれば、水素の供給源としても充分に使えるでしょう。欧州がいつ、EV車でギブアップするかはわかりませんが、日本としてはEV車も排除せず、でも本命は水素エンジンということで、動けばいいかなと思います。

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