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タスマニアデビル繁殖でペンギン壊滅

◉伝染病で絶滅が危惧されるタスマニアデビルを保護するために別の島に移住させたら、数は回復したけれど小型ペンギンが捕食されて壊滅的なダメージを負った、という笑えない話が……。

【タスマニアデビル繁殖させた島でペンギン壊滅、保護活動の代償 オーストラリア】CNN

(CNN) 絶滅が危惧されているオーストラリア固有の肉食有袋類タスマニアデビルを救うため、同国タスマニア島沖の島に移して繁殖させた結果、この島に生息していた小型ペンギンが壊滅状態に陥っている。現地の鳥類保護団体が明らかにした。
タスマニアデビルの保護プロジェクトはオーストラリア政府とタスマニア州政府が共同で展開。2012年、タスマニア島沖のマリア島に野生のタスマニアデビル多数を放して繁殖させた。
しかし鳥類保護団体のバードライフ・タスマニアによれば、それ以降、かつてマリア島に3000羽生息していた小型ペンギンが、島から完全に姿を消したことが、政府の最近の調査で分かった。

欧米の自然保護運動って、こういう浅見短慮な部分を感じます。オーストラリア政府とタスマニア州政府が共同で展開した事例でさえこうですから、民間の活動とか「おかわいそうに」の情緒論が科学を押しつぶす確率が高くなって当然かと。

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■有袋類のハイエナ■

タスマニアデビル、有袋類の肉食獣です。もともとはオーストラリア本土にもいたのですが、アボリジニーが持ち込んだイヌとの競争に敗れて、大陸では絶滅。今ではオーストラリアの北部のタスマニア島にしかいない、固有種となっています。別名フクログマ、あるいはフクロアナグマ。ただ、生態的な地位は真獣類のハイエナみたいな感じですかね。狩りもするけど、腐肉も食うタイプの。

ハイエナも、噛む力(咬合力)が強くて、象の骨さえ噛み砕くと言われますが。タスマニアデビルも噛む力が強く、体重はオスでも10-12キロと中型犬の柴犬ぐらいの大きさで小柄なのに、噛む力はハイイロオオカミ並みという説もあるようで。実際、身体に比較して頭が大きいですね。死肉食の動物は骨を噛み砕いて骨髄を食べる性質があるのですが。そういう意味で、ハイエナ的。

■身勝手な駆除と保護■

ハイエナも、魔女の笑い声と評される不気味な笑い声のような鳴き声を発しますが。タスマニアデビルもかなり特徴的な、不気味な鳴き声のようで。タスマニアデビルという名前も、コレが由来のようで。このため、より大型の肉食獣であったフクロオオカミと同じく、賞金付きで駆除の対象になり、激減。フクロオオカミが絶滅した1933年、ようやく保護の動きが出て1941年に保護の動きが出たようですが。

こういう身勝手な人間の行いは、捕鯨でも同じですね。そして、保護がいきすぎてヒステリックになってしまうのも、世の常。28頭から100頭ほどにタスマニアデビルが増えたら、3000羽もいた小型ペンギンが壊滅状態って、本当に悪い状態。もともとタスマニアデビルがいない島に移植すれば、そうなりますよね。入れ食い状態。一匹の猫に絶滅させられた海鳥だって、過去にはいましたし。

■四害駆除運動との類似性■

小型ペンギンとされますが、記事ではミズナギドリとされますから、たぶん飛べないタイプではないでしょうけれど。いずれにしろ、減ったから増やせば良い、というのは実はそう単純な話でもないんですよね。日本の湖沼でも、ブルーギルが増えて小魚が減ったので、ブルーギルを全部駆除したら、元に戻ったかといえば、そうではなく。なぜかある種の水草が大量繁茂してしまったとか。

生態系って、そういう微妙なバランスと相互作用で、保たれてるわけです。反捕鯨でも、そこが解らず保護して増やせば良いというのは、あまりに単純な思考。それは、毛沢東が雀による米の被害を重視して、四害駆除運動としてネズミ・ハエ・蚊・雀を撲滅しろとアホな運動を起こし、米以上に害虫も食う雀の激減で、飛蝗(ワタリバッタ)も発生して、かえって飢饉になった実例とも通底します。

■日本でもマングースの失敗■

毛沢東の場合は、しょせん科学に無知な独裁者の浅見短慮でしたが。オーストラリア政府とタスマニア州政府が共同で展開した事例ってのが、なにやらハブの被害を減らそうとフイリマングースを奄美群島に放ったら、昼行性のフイリマングースと夜行性のハブの生態の違いもあり、しかもマングースは積極的に毒蛇を襲う性質はなく、よほど追い詰められた状況でないと戦いませんからね。

それどころか、天然記念物のアマミノクロウサギを襲ってしまい、大失敗に終わったわけで。コレもまた、科学者が関わってこのざまですから。自然保護とか、素人がお気軽に関わることに、自分は疑問です。ただまぁ、欧米の自然保護運動とか、ビジネスになっている感があって、さらに疑問です。反捕鯨運動とか特に、非科学的で感情的、さらに背後にエスノセントリズムが絡みますからね。

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