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燃料不要の量子エンジン試運転に沖縄科学技術大学院大学が成功

◉量子エンジン。なにやら、SFに出てきそうな名前ですね。量子コンピューターはかなり有名ですが、量子エンジンはあまり聞きませんね。もちろん自分が勉強不足なだけで、検索してみるとけっこう前から研究されていたようです。燃料がいらないとか言われると、「それって永久機関みたいな何かか?」などと思ってしまいますね。アントニオ猪木さんの命日も近いですし。

【燃料がいらない!?日本を含む研究チームが史上初の「量子エンジン」試運転に成功!】ナゾロジー

EMドライブと違って、こっちは本物です。
沖縄科学技術大学院大学(OIST)などで行われた研究により、量子状態の変化によって仕事量をうみだす量子エンジンの史上初の実証が行われました。

量子エンジンは通常のエンジンとは異なり、燃料や酸素といった外部の供給を必要とせず、密閉されたピストン内部の量子状態の変化だけで仕事量を持続的に出力することが可能です。

通常のエンジンがガソリンの爆発という古典的な物理現象に依存するならば、量子エンジンは量子状態の変化という量子力学的な物理現象からエネルギーを抽出していると言えるでしょう。

量子コンピューターは演算能力において魔法のような能力を発揮しましたが、量子エンジンではいったいどんな仕組みでエネルギーを出力しているのでしょうか?

研究内容の詳細は2023年9月27日に『Nature』にて「BEC-BCSクロスオーバーによる量子エンジン(A quantum engine in the BEC–BCS crossover)」のタイトルで掲載されました。

https://nazology.net/archives/136377

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、「石垣島、玉取崎展望台で撮影した写真です」とのこと。沖縄の空に映える赤、ですね。

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■沖縄科学技術大学院大学■

沖縄科学技術大学院大学───Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University、略してOIST。沖縄に国際的な大学院大学を設置する構想は2001年には出ていて、2011年(平成23年)11月1日学校法人設立。研究成果は目覚ましく、自分もX(旧Twitter)やこのnoteでも、触れることがあるのですが。日本の大学が、旧弊に縛られて流動性を失う中、ノーベル賞級の研究者や講師陣を揃え、科学技術の研究に邁進するという感じで。研究ユニットは王道の物理学や化学や医学はもちろん、バイオテクノロジーなど多岐にわたり、その中には以下の養殖技術なんてのも含まれていて、興味深いです。

新たな量子エンジンも一般のエンジンと同じく「低圧と高圧のサイクルを繰り返す仕組み」を備えています。
しかし、圧力の生成には燃料も酸素も必要とせず、代わりにピストン内部の「量子の状態」を変化させることで、低圧と高圧のサイクルを実現しています。

……正直、こうやって開設されても自分には理解できない世界ですが、かいつまんで言えば「量子の世界からエネルギーを抽出している」とのこと。他の記事をあさると、理化学研究所を中心とする国際研究チームがすでに研究していて、2020年にはスピン量子ビットで量子熱機関を模擬的に再現することに成功したとのこと。ますますわからない用語が登場しますが、量子エンジン自体は、日本が世界でトップクラスの研究のようですね。

■アインシュタインの量子力学■

検索をしてみたらマイナビニュースのこちらの記事がヒットしました。こちらも詳しく解説されてますが、やはり自分にはハードルが高いですね。ただ 国際研究チームによる、かなり大規模な研究のようで、査読ありの科学誌としては世界最高峰のネイチャーに発表されたというのは、科学的にはかなり高い評価を得られる内容ということで。沖縄科学技術大学院大学は、確実に世界的な研究機関に育ちつつありますね。

【OISTが製作した「量子エンジン」の仕組みとは? - 動力源は素粒子の変化】マイナビニュース

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は9月28日、量子力学の原理を利用した極小のエンジン「量子エンジン」を設計・製作したことを発表した。

同成果は、OIST 量子システム研究ユニットのキールティ・メノン大学院生、同 エロイサ・クエスタス博士、同 トーマス・フォガティー博士、同 トーマス・ブッシュ教授、独 カイザースラウテルン・ランダウ大学、独・シュトゥットガルト大学の研究者も参加した国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」に掲載された。

https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230929-2781691/

アインシュタインが量子力学の扉を開いてから100年ちょっと、今後の展開が楽しみですね。量子力学は、ニュートン力学などの古典論では説明困難な現象について、説明を可能にした、20世紀生まれの学問。アインシュタインが相対性理論を発表した時は それが何の役に立つかは 全くわからなかったのですが。それを応用して原子爆弾や原子力発電、レーザーや半導体、GPSも相対性理論があって初めて、まともに使えるわけで。

量子コンピューターはだいぶ聞くようになりましたが、量子テレポーテーション、量子エンジンと、ここら辺の基地が実用化されることによって、なんだかよくわからないけれど 科学ってすごいという意識が、形成されると良いのですが。自分たちの世代は、科学は人類を滅ぼしかねないといった言説が、かなり根強く語られてしまった面がありますから。そういう側面は否定しませんが、科学を善用するのも悪用するのも人間であって、化学 そのものはニュートラルです。

■大学・大学院再編の時代へ■

ここからは日本の大学に対する苦言というか、思っていることを。日本の場合──特に官僚たちは、東京大学を頂点としたピラミッド型の構造にしたがるわけですが。現実的には 京都大学の方が圧倒的にノーベル賞学者を多数輩出しているように、研究者というのは大学入試時点での結果通り、成果を出すものでもありませんから。欧米の大学の研究 環境などの良さは疑いないわけで、しがらみがないところから新たな大学院大学を設立していくのは、良いことだと思うんですよね。

【OISTが燃料不要な「量子エンジン」の設計・製作に成功 エネルギー新時代の幕開けか】Newsweek

動力源の概念を抜本的に変える可能性

もっとも、今後、自動車などに使える実用的な量子エンジンを作るためには、いくつかのステップを乗り越えなければなりません。たとえば、量子エンジンはフェルミオンとボソンのエネルギー差を用いるため、極低温状態を保たなければなりません。冷却のためには、かなりのエネルギーが必要となります。それでも、実用化されれば、動力源の概念を抜本的に変えてエネルギー革命を起こす可能性があります。

研究チームは、今後、基礎的な研究を進めて性能を高めたり、バッテリーやセンサーなど、他の機器への応用の可能性について調査したりする予定だといいます。

https://www.newsweekjapan.jp/akane/2023/10/oist.php

大学というのは本来は、研究する場所であったはずなのですが。日本ではすっかり世俗化してしまい、就職のためのステップになってしまった面がありますから。結果的に、駅弁大学と揶揄されるほど多数の大学が生まれましたが。就職して安定した人生を歩もうという人間は、研究者とはまた違いますから。であるならば、大学はもう就職する人間を育てる場として割り切り、本当の意味での研究機関としては、沖縄科学技術大学院大学をモデルに、新設していけば。

それこそ次は北海道に、その次は島根県など過疎化に悩む地域に、科学技術大学院大学を設立していければ。最終的には全国に 7ヶ所とか、旧帝大を代替するような形で、科学研究の中心的な機関に据えられれば。個人的には日本の大学は増えすぎたと思いますので、それよりは高専の数を倍増させた方が良いでしょうし。文系でも、語学高専のような専門家を育てる組織が欲しいですね。マイスタースクール制度などは中途半端。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ


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喜多野土竜
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