九電が洋上送電船を検討
◉送電線ではなく送電船。蓄電池を満載した船を使って、電気を輸送するという発想です。電線はどうやってもエネルギーのロスがありますから、場所によってはこういう形での電力供給もありでしょうね。特に日本のような島国で、島嶼部が多い国だと特に。
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■有人離島の多い日本■
日本は6000以上もある離島のうち、有人島が400以上あります。北海道・本州・四国・九州・沖縄本島を除いて、最大の面積の有人島が佐渡ヶ島で、854.14平方キロメートル。ちなみに琵琶湖の面積が、670.33キロメートルですから、やっぱり大きいですね。人口だけならば兵庫県の淡路島が13万6000人ほどで最大です。2位が天草下島で8万7000人ほど。3万4000人ほどの天草上島を併せて12万1000人ほど。人口3位にも佐渡ヶ島が入ってきて、人口は5万8000人ちょっと。
逆に言えば、多くの離島は数十人から数千人レベルが多く、そういうところで本土から送電線を敷設できないのなら、こういう電力輸送船の需要もあるでしょうね。船って浮力を利用するので、大きな荷物を運ぶにはとても効率がよく、現在でも大規模輸送の中心的存在ですから。個人的には蓄電池よりも、エタノールやアンモニアなど、液体の燃料を運んだ方が良さげですが。ただこれも島の地形によっては、大型の船舶が横付けできないところも多いでしょうから。蓄電池なら艀でも運べますし。
■電気運搬船の可能性■
電気運搬船に関してはもうひとつ、こちらの記事もありました。こちらは先の記事にも登場したパワーエックスと、横浜市が電気運搬船の活用で協定を結んだ、という内容です。島嶼部の多い九州と、江戸時代のペリーの黒船来航と開港以来、日本の海運や流通の中心地である横浜市をまず押さえるとは、なかなか精力的ですね。こちらの記事の方が、電気運搬船についての具体的な情報が、多めにありました。
2万4000世帯はすごいですね。先にあげたように淡路島や佐渡島のような大きな島は、実はそこまで多くはありませんからね。地図で見るとかなり大きな屋久島でも1万3000人ほど、沖縄の西表島でも2200人ほどですから。屋久島も西表島も、北方領土を除けば トップ10に入ってくるぐらい、大きな島ですから。逆に言えば 400以上ある有人離島のうち、これぐらいの電力があれば数百人規模の離島ならば、1週間ぐらいは楽に持ってしまうでしょうね。
■洋上発電船の可能性■
このような電気運搬船に加えて、小型の発電用船舶とかあれば、面白いのですが。東日本大震災の時、アメリカの原子力空母が東北に行き、その名の通り搭載された原子炉を利用して臨時の発電所となりました。原子力空母の別の意味での使い方に驚きましたが。日本の出雲型護衛艦も、実は大量の燃料を搭載して、遠隔地に補給することができるんですよね。軍隊というのは何も、戦争目的だけではなく、そういう使い方も可能なわけです。
より安全性が高いとされる第四世代の原子炉ですが、高温ガス炉は小型モジュール炉(Small Modular Reactors: SMR)とも呼ばれるように、従来型の第三世代原子炉よりも、小さいことが特徴です。日本は、原子力船むつの放射線漏れでマスコミが大騒ぎして、原子力船の研究開発が、大幅に遅れてしまいましたが。あれも当時は、放射能漏れとマスコミは言ってましたが、実際には放射線漏れであって、大騒ぎするほどのものではなかったようです。
軽空母にしろ潜水艦にしろ、原子力船舶があれば、いざという時に簡易発電所として、利用できるわけですしね。高温ガス炉が日本でも実用化されて、運転実績が積み重なっていけば、原子力貨物船のような形で日頃は 運用しておいて、いざというときは簡易発電所になる。あるいは建設用地がない僻地や島嶼部に、原子力発電所船を洋上に停泊させて、洋上発電所として使う道なども、広がりそうですけれどね。たかが電気などではなく、電気がなくなれば人間が死にます。いろんな給電方法は、地道に研究しておくべきでしょうね。
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