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自民幹事長が小型炉建て替えを提唱

◉自由民主党の甘利明幹事長が、耐用年数を超える原子炉を、安全性が高く工期も短い小型モジュール炉に建て替えるべきと提唱されたようですん。その前に、有能ではない方の菅総理大臣によって止められてしまった各地の原子炉を、順次再稼働することが先ですが。でも、アメリカが小型モジュール炉の商用炉の稼働を2029年とし、中国の商用実験炉が最近臨界に達した今、5年先10年先を見据えた先手を打つのは政治家として当然ですね。

【自民・甘利幹事長「原発、小型炉で建て替えを」】日経新聞

自民党の甘利明幹事長は12日、党本部で日本経済新聞のインタビューに答えた。運転開始から原則40年の耐用年数が近づく原子力発電所について、開発中の小型モジュール炉(SMR)を実用化して建て替えるべきだと提唱した。

SMRは既存の原発に比べて工期が短く、安全性が高いとされる。甘利氏は「温暖化対策のために原発に一定割合頼るとしたら、より技術の進んだもので置き換える発想がなければいけない」と主張した。...

ヘッダーのイラストはnoteのフォトギャラリーより、玄海原発だそうです。

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■エネルギー政策は国の食糧問題■

自民党総裁選挙のプラス面として、政策本位の議論が候補者間でなされたことですね。特に、エネルギー政策は国の礎。なぜ日本が事前のシミュレーションで必敗と解りきっていた日米開戦に踏み切ったかといえば、エネルギー問題ですからね。田中角栄がロッキード事件で失脚したのも、エネルギー政策でアメリカに睨まれたという陰謀論があります。その真偽はともかく、それぐらい重要。原発にしても、地球温暖化を云々するなら、避けては通れない問題です。

残念ながら、立憲民主党や共産党からは、建設的な意見は聞こえてきませんが。選挙も始まり、公約として出してくるでしょうけれど。どうぜ、漸次廃炉→再生可能エネルギーで代替という、お花畑の意見しか出ないでしょうね。欧州は無責任な脱原発・再生可能エネルギーシフトで、結果的に天然ガスの需要が高まってしまい価格高騰、それでロシアにエネルギーの急所を握られてしまうのですから、本当に危険な話です。高温多湿で日照時間が世界平均より短く、台風の多い日本には再生可能エネルギーの多くは不向き。

■小型モジュール炉への誤解■

小型モジュール炉(Small Modular Reactor=SMR)は、原子炉の形式というか工法を含む呼び名で、ツーバイフォー工法などと同じですね。正確には、第四世代路の中のいくつかが、出力は弱いけれどメルトダウンしづらい構造で、その代わりに小型化が可能ということ。ただ小型化するだけではなく、各部分をある程度まとめて規格化(モジュール化)して、現地では組み立てるだけに近い感じの工法で、建設期間も短く建設費用も安くできる感じです。

そもそも、安全性を高めるべく研究されている、第四世代炉は多数あります。Wikipedia先生を見ても、これぐらいあります。この中で、実用化が可能なのは超高温原子炉の中の、ヘリウムを一次冷却材として使う方式が高温ガス炉として知られており、これが小型モジュール路と呼ばれるもののひとつ。他に溶融塩原子炉方式の超高温炉も研究されていますから、高温ガス炉というのも1種類ではないのですが。現状で実用化可能なのはヘリウム高温ガス炉。

熱中性子炉
・超高温原子炉(Very-High-Temperature Reactor、VHTR)
・超臨界圧軽水冷却炉(Supercritical-water-cooled reactor、SCWR)
・溶融塩原子炉(Molten-salt reactor、MSR)
高速炉
・ガス冷却高速炉(Gas-cooled fast reactor、GFR)
・ナトリウム冷却高速炉(Sodium-cooled fast reactor、SFR)

■第三世代炉の環境的な条件■

原子力発電も、問題を貴重な戦訓に、少しずつ変わっていきます。第三世代の原子炉は、冷却に水を使うため、地震に強い古くて硬い岩盤が地表近くに露出している地域で、なおかつ河川や海が近いことが条件になります。この固くて古い岩盤、具体的には第三期より古いことが望ましいそうで。福井・福島・泊・伊方・島根・玄海・川内……原発の近くが恐竜化石や貝化石の産地なのは、ちゃんと理由があります。それが固まっている理由も。

よく、「原発が安全なら東京に建てろ!」と粋がる人がいますが。沖積平野の関東平野は、岩盤まで3000メートルも土砂が堆積しています。大量のパイルを打ち込めば建設できるそうですが、費用対効果で現実的ではないですね。また、原発を貧しい地域に押し付けてる云々という意見も、一面的。岩盤が地表近くに露出してる地域は表土が薄く農業にも向かず、海辺なら断崖絶壁が多く漁港としてもダメなので、貧しくならざるを得ない環境が、そもそもあるんですから。

■第四世代原子炉の可能性■

でも、一次冷却材にヘリウムを使う高温ガス炉なら、熱暴走しづらい・メルトダウンしづらい・水素爆発しにくいと、安全性が高いんですね。だから、固くて古い岩盤は必要ない。ついでに冷却水も必要ない。極端な話、砂漠にも建てられます。ただし、大型化が難しく、第3世代原子炉の30%ぐらいの出力しか出ない。でもこれも考え方次第で、一箇所が止まって大停電の、リスクを減らせるわけです。最終的には、県庁所在地に全部原発をおいて、地産地消の効率化だって図れますしね。

民主党政権時代、齋藤議員が「2位じゃだめなんですか?」と言いましたが。2位は立派な数字ですが、それはちょっと気を抜くと3位や5位、場合によっては10位以下に落ちてしまうもの。技術は常に進歩し、変化するわけで。それは、官僚も同じで、今の技術が10年後も変わらないことを前提に、計画を建てる。これは不確定要素を計算に入れるわけには行かないので、仕方がない側面もあるのですが。結果、米不足のときに立てた計画が、米余りの時代にスタートするはめに。

アメリカが2029年に高温ガス炉を稼働させるなら、日本も可能。なにしろ、大洗町のHTTR(高温工学試験研究炉)は10年前には中国より高温を実現していたのですから。原発再稼働、そして国富の流出を減らし、経済的な再建。高温ガス炉は製鉄や水素生成、石炭液化などなど、いろんな可能性を持っていますので。ここにもうちょって、エネルギーを注入して頑張ってほしいですね。自然環境保護にも、益するでしょう。どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ