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小型モジュール炉の可能性

◉小型モジュール炉───Small Modular Reactorで略してSMRとも呼ばれますが。誤解されてる方も多いでしょうが、そういう名称の原子炉は1種類ではなく。世界中で第四世代原子炉として研究されており、いくつかの種類があります。現在のところは高温ガス炉だけが、商用炉として稼働可能なため、SMR=高温ガス炉として報道されることもありますが。現在の第三世代原子炉の、3割ほどの出力量ですが。メルトダウンしづらい構造で、安全性が高いのが特徴です。

【地産地消できる「小型モジュール炉」の「これだけの可能性」】ニッポン放送

数量政策学者の高橋洋一が1月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。西村経産大臣の訪米について解説した。

西村経産大臣が訪米 ~次世代原子炉の開発や建設、日米連携で一致
アメリカを訪れている西村経済産業大臣はグランホルムエネルギー長官と会談し、エネルギー安全保障の強化や脱炭素化の推進に向けて、次世代原子炉の開発や建設で連携していくことで一致した。日米両政府は従来よりも小さく建設コストが低いとされる小型モジュール炉など、次世代原子炉の開発や建設で連携していくとともに、第三国への輸出などにも共同で取り組んでいくとした。

https://news.1242.com/article/411084

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、柏崎刈羽原子力発電所だそうです。

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■原発と岩盤と冷却水■

何度も書いていますが、この記事で初めて知る人も多いでしょうから繰り返し。現在の日本の原子炉は、地震などに耐えるために固くて古い岩盤の上に建設されています。できれば第三紀よりも古い岩盤が理想です。古い時代に形成された岩盤は、それだけ固くて安定していますからね。北海道の泊原発や、福島や福井、中国四国だと島根原発や愛媛の伊方原発、九州だと玄海原発川内原発などの近くが、恐竜の化石や貝の化石で有名な地域なのは偶然ではありません。

これに加えて、原発を冷却する水が必要です。大きな河川か海が近い必要があります。この二つの条件を満たす場所は日本全国でも限られています。またそんなに硬い岩盤が地表近くに表出しているような地域は、農業にも漁業にも向かない、痩せた土地で断崖絶壁な場所が多いです。貧しい地域に原発を押し付けているとか、原発がそんなに安全なら東京に建築してみろという意見は、無知から来る的外れな批判でしかありません。

■地産地消にSMR■

ところが、SMRはこの二つに縛られません。極端な話、砂漠のど真ん中でも山の上でも、建築が可能です。前述した通り出力は低いですが、むしろ原子力発電所が1か所止まっただけで、大規模停電になるリスクを考えると。小規模な発電所を各地に分散させる方がかえって安全です。それこそ各都道府県に一基ずつ、第四世代原子炉を建築して地産地消する方が、効率の面でも安全保障の面でも有効でしょう。

中国では昨年10月に、高温ガス炉の商用実証炉が臨界に達しました。アメリカやイギリスでは、2029年の商業用高温ガス炉の稼働を目指しています。日本もこの流れに乗り遅れないことが大事です。本来ならば、茨城県大洗の高温工学試験炉(HTTR)が、世界トップクラスの高温を叩き出していたのですが……。無能な方の菅元総理大臣のせいで、10年間もストップしてしまい、その間に中国に追い抜かれてしまいました。

■その他のエネルギー■

高温ガス炉はその名の通り、超高温が出るためこれを製鉄に利用することも可能です。またその高温を利用して、石炭の液化や水素生成など、他の火力発電の燃料を作るのにも有効だったりします。現在でも水力発電が有効な発電方法であるように、いろんな発電方法をミックスしてリスクをヘッジすることは大事です。日経新聞の有料記事ですが、コチラもリンクしておきますかね。核融合発電・全固体電池・人工光合成と、目の付け所が良いので。

【核融合発電・全固体電池・人工光合成 注目の脱炭素技術】日経新聞

2050年のカーボンニュートラルを見据え、脱炭素を目指す国際的な潮流は23年も続く見込みだ。様々な分野で革新をもたらすと期待される新技術の開発が進む。大きな注目を集める核融合発電、全固体電池、人工光合成の動向を展望する。

核融合発電開発加速、実用化前倒しも
究極のエネルギー技術といわれる核融合発電が実現に向けて大きく歩み出した。22年12月、米エネルギー省は燃料にレーザーを照射する方式で、米国...

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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2290P0S2A221C2000000/

発電するだけではなく、電力をどう溜め込んでいくかも大事。そういう意味では電池はこれからますます需要が高まる重要な科学技術。もっともそのような個体電池だけではなく、高温ガス炉で発電した電力で水素を生成して、それを燃料という形で貯めておくのもある種の電力の備蓄です。個人的には人工光合成にも期待しています。日本は意外と日照量が少なくて、あまり期待できないのですが。世界第6位の排他的経済水域を持つ海洋国家ですから。洋上人工光合成にも期待です。

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