東京ヴェルディJ1昇格雑感
◉東京ヴェルディが、16年ぶりnJ1復帰ですか。サッカーにはさして造詣が深くもない自分ですが、Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)が開幕した1993年、ちょうど就職した年でもありましたから、あの熱狂を覚えているので。それまで、一般人には見向きもされなかったサッカーが、一気にプロ野球に匹敵するプロスポーツのコンテンツに育った瞬間でした。ヴェルディは前身の日本サッカーリーグ(JSL)時代から、読売サッカークラブの名で知られた名門チームで、それが16年もJ2に落ちていたのも、感慨深いですね。
ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、サッカーボールの写真、雰囲気があっていいですねぇ。
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■読売グループとの決別■
これもナベツネ的というか、読売グループ的なスポーツ文化軽視に対する、Jリーグ側からの、ひとつの回答でしょうね。プロチームである移譲、健全な経営は必須。でも、それを銭儲けの手段と考えるのか、スポーツ文化の一翼を担うと考えるのか、そこで大きく違うんですよね。野球人気に変わる、商売の種ぐらいに、読売グループは考えていたわけで。だから「読売ヴェルディ川崎」の企業名を入れた呼称にこだわったわけで。当時は、ラモス瑠偉選手などに、企業名を入れることを代弁させたりとか、必死でした。
熱狂的なJリーグブームが過ぎ去り、1999年には横浜フリューゲルスと横浜マリノスとが合併しと逆風が吹くと、2001年には川崎から東京にフランチャイズを変える権威主義ぶり。地元のファンなんて、どうでもいいんですね。そして、読売ジャイアンツほどは連盟に圧力をあけられないと判ると、経営も消極的になり。2006年にはJ2に転落。2008年には日本テレビが経営から撤退。けっきょく、16年かかってのJ1復帰だったんですが。読売的なスポーツ文化から脱却するのに、それだけかかったということでしょう。
■地域密着とスポーツ文化■
読売グループは野球においては、別所引き抜き事件や湯口事件、空白の一日事件など、圧倒的な人気チームを抱えることを笠に着て、まさにやりたい放題だったわけで。Jリーグの初代チェアマンであった川淵三郎氏はハッキリと、プロ野球を反面教師にしたと、明言されていました。結果、地域密着と企業職の排除を掲げて、JリーグがJ120チーム、J2も20チーム、J3も20チームの、合計60チームの大所帯に。プロチームがない県は、福井・滋賀・三重・和歌山・奈良・高知・島根のわずか7県に。
高校野球が熱を産むのは、県別対抗戦の部分があり、それが郷土愛というナショナリズムを刺激するわけで。でもJリーグ側はチームを増やすことで全国制覇までもうあと少しのレベル。滋賀・三重・和歌山・奈良は関西文化圏で、福井県も北陸ですが京都と滋賀に接しています。広い意味で近隣にはプロサッカーチームはありますし。高知県と島根県という、人口減少に苦しむ地域が、実質プロチームがない状況。しかしJFLにはヴィアティン三重・鈴鹿ポイントゲッターズ・高知ユナイテッドSCなどもあり。全県制覇も可能でしょう。
■良き手本としてのJリーグ■
自分は野球好きですが、サッカーのこういう組織づくりや理念は、とても真っ当で健全、スポーツ文化に貢献しているなと思います。業績不振になったらまっさきにスポーツ部門を切るような会社には、スポーツ文化というものが解っていないわけで。サッカー界は、日本サッカー連盟がプロからアマチュアまで、明確なピラミッド型の組織を作り上げたわけで。コミッショナーの上に読売ジャイアンツが、その上に読売グループが、さらにその上にナベツネがいるような、日本プロ野球の歪な構造には、うんざりしてる身としては、羨ましいです。
しかも、ちゃんとアマチュアも含めた一体化した組織で。プロ野球・社会人野球・大学野球・高校野球・リトルリーグが、それぞれ縄張り争いでいがみ合い、そのくせカネでは強固に結びついている野球界とは、違うなぁと。もちろん、サッカーファンとしては内部から見たら、イロイロと不平不満や改善点はあるでしょうけれども。でも、お荷物と呼ばれていたパ・リーグが、地域密着を打ち出して人気チームを増やせたのも、Jリーグという良きお手本があったから。このまま、健全に発展してほしいですね。
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