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割り箸が成長産業

◉興味深い……というか、昔の記憶を刺激される記事が掲載されていたので、ご紹介。自分が高校から予備校ぐらいの頃でしょうか、環境保護の面から割りばしに対する批判がにわかに巻き起こり、予備校の講師でもマイ箸とか持参するのを自慢している人がいました。雁屋哲先生の『美味しんぼ』でも、ネタにされていた記憶があります。割り箸は、間伐材や端材を用いた、むしろ無駄のない木材の利用だったにも関わらず。

【割り箸が熱い!今世界と国内で起きていること】Yahoo!ニュース

 今、割り箸が世界中で静かな盛り上がりを見せている。
 と言っても、身近なところでは気付かないだろう。むしろ割り箸を見ることは少なくなり、プラスチック箸が増えている。何が起きているのだろうか。
 実は世界中の市場およびビジネス動向を調査する大手マーケティング会社IMARCグループが、2022年の世界の割り箸の市場規模は181億ドル(約2兆4000億円)に達すると発表したのだ。そして23年から28年までに5.30%の成長率が見込まれ、268億5000万ドル(約3兆000億円)に達するだろうと予測を出している。

https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20230313-00340999

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、割り箸の写真です。

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■マイ箸論争の思い出■

けっきょく割り箸の利用は、左派のキャンペーンの割に変動はなく。むしろ海外さんの安い割り箸が入ってきたのが、国内産業にダメージを与えたようですが。美味しんぼでは、マイ箸を持参する女性に、割り箸と森林破壊は直接関係がないと正論をぶつける老人が登場し、非常に良い人格的に問題がある人物として描かれていました。そしてこの老人が病気になった時、マイ箸持参の女性の心根の優しさに、感じいるという内容。

いや……あの、ヒトラーが口にしようが麻原彰晃が口にしようが、底辺✕高さ÷2は三角形の面積を求める式です。属人的に過ぎませんか? 初めて読んだときは、こんな情緒論にすり替えないといけないほど、割り箸批判が見当外れで非科学的で独りよがりな、でも日本のリベラルにありがちな典型的パターンなんだなと、呆れました。でもあれから30年、日本のリベラルは自浄作用もなく、相変わらずですけどね。

三島由紀夫がこのような情緒論を、「おかわいさうに」の論だと切って捨ててから半世紀ほど。学生運動の闘士でもあった雁屋哲先生としては、作中で三島由紀夫の批判も繰り広げていましたが。どちらが正しかったかは、歴史が証明してくれてるような気がしますけれどね。だからこそ、美味しんぼの新作がもう10年以上もかけてないのかもしれません。あの福島編は本当に酷い内容でした。

■穢れの思想と割り箸■

割り箸というのは、記号性を持った存在です。終わっていない割り箸はまだ未使用であるということが、とても明確な存在です。だから、そこには一種の処女性があるわけです。これはどういうことかと言うと、一度トイレの便器に落ちたけれどきちんと洗浄され消毒された使用済みの箸があっても、私たちは雑菌があるかどうかではなく、西尾の割り箸の方に清潔感を感じるでしょう。

これは日本人の持つ〝穢れ〟の思想とも、関わってくることですが。禊という行為、ある種の清潔感と表裏一体であるように。割り箸というのはたとえ表面にどれほど雑菌が付いているかはわからなくても、きちんと消毒されてあってもウンコを掴んだ箸よりも、心の上では清浄なのです。ラーメン発見伝の芹沢氏の言葉ではないですが、私たちはしょせん、情報を消費している存在なのです。

お箸と言っても中国の箸は、全体の太さがほぼ均一だったりして、なかなかユニークだなと思ったりします。韓国だと金属製の箸を使ったりもしますね。同じ東アジアの文化圏であっても、そこは色んな歴史と伝統と環境によって、変化するのでしょうね。そういえば日本の陶磁器は、手に持ってその肌触りを楽しむ面もあるという指摘を聞きました。ティーカップのような取っ手が発達しなかったわけでしょう。上下優劣でのお話ではなく、日本の文化はそういう部分があるということで。

■竹箸をもっと使おう■

割り箸というのは、けっこう好きな存在です。自分のような一人暮らしだと洗い物がもうめんどくさくてしょうがないので。使い捨ての割り箸でコンビニ弁当を食べて、ゴミ出しするのが手間がなくて便利は便利です。個人的には木製の割り箸よりも、竹製の割り箸の方が好きだったりします。木製の割り箸は材質が良くないと、割と香りが気になったりします。

その点で竹の香りは子供の頃から親しんでいるせいもあって、好きなんですよね。火山灰が積もってできた鹿児島のシラス土壌では、大雨が降ると土砂崩れが起きやすく、そのような軟弱な地盤には孟宗竹や真竹などが盛んに植林され、おなじみの風景だったりします。そのような竹が多い環境ですから当然、竹細工なども盛んです。竹炭とかも小規模ながらも生産されていますしね。

成長が比較的早く、香りも良い竹製の割り箸の方が、国内産業的にも、竹林の保全の面でも、貢献すると思うんですけどね。まあこれもすぐ商売の論理に押し流されて、東南アジア産の安い竹箸が使用されるのでしょうけれど。もちろん箸自体は、漆塗りの高級な箸の芸術的な素晴らしさは、言うまでもありませんけれど。自分のようなズボラな人間には手入れが大変ですし、やはり竹製の割り箸が性に合ってる気がしますね。

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