見出し画像

エネルギー問題:SMRに水素にエンジン

◉次世代軽水炉と小型モジュール炉の三菱重工の取り組みを紹介する、日経新聞の記事がコンパクトで、わかりやすいので紹介します。先の衆議院選挙でも、エネルギー問題はさほど政策として有権者には重視されませんでしたが、日本がなぜ必敗と事前シュミレーションでも解っていた日米開戦に踏み切ったのか、歴史に学び理解するのならば、けして軽視すべきではないんですよね。エネルギー問題は、経済とも密接に結びついていますから。

【COP26で再注目の次世代原発 三菱重工技術者の胸の内】日経新聞

英国北部グラスゴーで開催中の国連の第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)。各国が地球温暖化対策を打ち出す中、再生可能エネルギーの導入拡大が遅れる日本は目標達成に黄色信号がともる。そこで、議論が活発になっているのが原子力発電所、中でも安全性を高めた次世代炉だ。2011年の福島第1原発事故後、日本では脱原発の世論が強まったが、それでもなお原発の可能性を信じ研究開発に打ち込む若手技術者がいる。彼らは今何を思うのか。国内最大手、三菱重工業の原発の旗艦拠点、神戸造船所(神戸市)を訪ねた。
神戸造船所の発足は1905年。72年に原発機器の専門工場を新設し、研究開発の拠点も構える。原発部隊約4000人のうち、大半がこの神戸に籍を置く。同社はこれまで24基の原発プラントを世に送り出してきた。

ヘッダーの写真はnoteのフォトギャラリーより、研究用原子炉・中性子実験ホールだそうです。

◉…▲▼▲▽△▽▲▼▲▽△▽▲▼▲…◉

■SMRと若き技術者■

SMR、小型モジュール原子炉(Small Modular Reactor)の略称ですが、これは高温ガス炉など第四世代原子炉の構造を表すものです。原子炉の各ユニットを昨日ごとにまとめて、工場で規格品的に造って、現地で組み立てるタイプの原子炉一般のことを言います。もっとも、現状では商用炉になりそうなのが超高温ガス炉しかなく、SMR=超高温ガス炉の意味で使われることが多いですが。若い技術者が、軽水炉の改良と次世代炉の開発に当たる、なんか頼もしいですね。

【日本の若者ら「石炭火力早期廃止」訴え COP26合わせ】テレ朝ニュース

 イギリスで開催されている気候変動に関する国際会議「COP26」に合わせ、日本の若者らが政府に石炭火力の早期廃止などを訴えました。
 東京・新宿駅前には「気候危機」や「脱石炭」と書かれたプラカードを持つ人など50人ほどが集まり、気候変動の影響が強まる途上国への連帯を呼び掛けるスピーチなどが行われました。

そうかと思えば、こんな若者たちもいる。今どき、手書きダンボールのプラカードって、60年安保や70年安保の時代から、止まっていますねぇ。若者が声を上げた~と言いながら、その背後で操っている老人たちの姿が、しっかり透けて見えるんですが……。で、こういう活動を赤い教師が内申書で褒めてちぎり、赤い教授がいる大学にAO入試で潜り込む。SEALDsのおかげで、そういう構造がすっかり見えてしまいました。バカバカしい限りですね。

■フランスも原発建築再開■

欧州の原発大国フランスは、ドイツのような偽善的なことは言わず、原発の建設再開に舵を切りました。現状では、第三世代原子炉はノウハウは溜まっていますしね。二酸化炭素を減らすなら、原子力発電所は有力な選択肢。先進国の傲慢で、途上国の火力発電所を使うな・オマエら貧乏なまま経済発展するなとは、言えません。むしろ、日本の複合火力発電のほうが二酸化炭素を減らせるので、そっちを推進したほうが良いし、なによりも中国とアメリカが問題ですから。

【フランス、原発建設再開へ マクロン氏「脱炭素へ必要」】日経新聞

【パリ=白石透冴】フランスのマクロン大統領は9日のテレビ演説で、国内での原子力発電所の建設を再開すると発表した。従来は原発への依存度を下げる立場を取ってきたが、2050年に温暖化ガス排出量の実質ゼロを達成するために必要だと説明した。
ロイター通信によると、建設するのは小型原発ではなく通常の原発。加圧水型原子炉を最大6基、建設する計画を数週間以内に発表するという。

日本の場合は、大地震とそれに伴う津波によって、電源喪失という事態に陥り事故に繋がりましたが。地震自体は震度5~7のレベルの大きな地震を、川内も柏崎刈羽も福島も女川も何度か経験していますが、地震そのものでは原発は危機的状況には陥っていませんからね。現状では、フランスは日本のそういう事例も取り込んで、新規原発建築に動いてるでしょうし。日本の用の反原発と脱炭素が同じ人物から主張される状況が、特殊ですから。

■水素シフトの可能性と問題点■

その意味では、水素に期待する向きも多いです。確かに、水素はありふれた物質ですし、クリーンはクリーン。問題はそう単純ではないのですが、それでもTOYOTAとかかなり力を入れています。欧州はディーゼル車で厳しい規制をかけておいて、実際は数値をごまかす会社が続出し、真面目に取り組んだ日本のメーカーが馬鹿を見たように、政治的駆け引きでエコロジーを利用している側面が。イザとなれば北海油田があるイギリスと、日本ではリスクが違います。

【水素資源獲得、世界競争へ 2030年に需要2倍超】日経新聞

2021年10月、神戸港の一角に真新しい船舶の姿があった。川崎重工業が建造した液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」だ。全長116メートルの船体に1250立方メートルの液化水素タンクを搭載している。停泊しているこの場所は、液化水素の受け入れ基地となる。

これは以前にも触れましたが、こういう形での天然ガスと水素取り出し、そして二酸化炭素はドライアイス化して貯蔵は妙手。いろいろと問題はあっても、可能性としての水素は自分も否定しません。石油だって、炭化水素ですしね。問題は水素を生産し、安全に貯蔵し、燃焼し、どういうサイクルを構成するかが問題。供給に関しては、まずはこういう形での安定的な供給が大事でしょう。オーストラリアとは、TPPの絡みで輸入を拡大し、中国傾斜を牽制する意味もありますし。

■水素エンジンに賭ける日本企業■

ただ、他国に振り回されないためには、逆に日本が脱炭素エンジンを提案し、振り回しちゃうというのは手です。攻撃は最大の防御なり。TOYOTAは特に、早い段階で研究をスタートしていますし。こういう面で、世界をリードできるだけの技術力を、まだまだ日本は持っていますし。トヨタ自動車・マツダ・スバル・ヤマハ発動機・川崎重工と、ホンダと三菱以外の大きなメーカーが参加ってのは大きいですね。オールインするのは危険ですが。

【トヨタやマツダなど5社、脱炭素エンジン活用で連携 選択肢を模索】ロイター

[美作市(岡山県) 13日 ロイター] - トヨタ自動車、マツダ、SUBARU(スバル)、ヤマハ発動機、川崎重工業の5社は13日、脱炭素化に向け、内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる取り組みを進めると発表した。トヨタが自動車レースを通じて目指しているエンジンの脱炭素化への取り組みに4社が参加する。

世界で電気自動車(EV)が存在感を強める中、5社はEVや電動バイクなどの電動車だけでなく、カーボンニュートラルを実現できる燃料を使ってエンジンを活用する選択肢も探る。日本企業が得意とするエンジン関連産業の取引先などを守る狙いもある。エンジンはEVの電池で必要な高コストの希少金属が少量で済むほか、関連産業では雇用も多く生んでいる。

選択肢は、エタノールか水素。TOYOTAの、光合成で蟻酸を作って、そこから水素を取り出すという燃料生成と消費のサイクルも、個人的は期待しています。日本は国土面積も狭く、日照量も世界平均より低いです。ですが、排他的経済水域の広さは世界でも大きな方。この人工光合成が洋上光合成蟻酸生産とかに結びつけば、日本最大のエネルギー問題が、解決される可能性だってありますしね。新型軽水炉や高温ガス炉と併せて、期待したいです。

どっとはらい( ´ ▽ ` )ノ

売文業者に投げ銭をしてみたい方は、ぜひどうぞ( ´ ▽ ` )ノ