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商業捕鯨再開から5年

◉もう、そんなに経つんですねぇ……。安倍政権で、国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を決めた時、左派や反捕鯨派は、「日本が世界から孤立する~!」とか「松岡洋右外務大臣による国際連盟脱退に匹敵する暴挙だ~!」とか、大騒ぎしたものですが。けっきょく、そんな事実はなく。日本は南氷洋での捕鯨を諦め、捕鯨の伝統がある地域を中心とした沿岸捕鯨に限定した商業捕鯨で、特に国際的に孤立することもなく。これはアメリカのイヌイットが伝統文化保存を盾に、絶滅が危惧されるホッキョククジラを獲っているのと同じ理屈です。逆に、IWCは大口の拠出金を出していた日本を失い、青息吐息になり。むしろ日本は、最善手を打った感じですね。

【商業捕鯨再開から5年、クジラを巡る新たな動き 73年ぶりの新捕鯨母船も【大漁!水産部長の魚トピックス】】時事通信社

 食卓でのなじみが薄れつつあるクジラ。日本は2019年に商業捕鯨を再開し、ここへきてクジラを巡る新たな動きが出てきた。水産庁が捕獲枠を新設する方針を示し、大幅に増産の見通しとなったほか、73年ぶりに建造された国産の新たな大型捕鯨母船が操業した。(時事通信水産部長 川本大吾)

https://www.jiji.com/jc/v8?id=20240623fishtopics

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、ファンシーな鯨のイラストです。

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■国際政治の駆け引き■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。まぁ、会員限定記事なので、全文は読めませんが。共同通信ほどではないですが、大手新聞社を早期退職した人間の再就職先になって左傾化が進む時事通信の記事ですから、なにか揚げ足取りのような問題点を上げて、相対化する気かもしれませんけども。この国の政治家には珍しく、国際政治を理解していた安倍晋三元総理は、IWCの限界を見切り、脱退することで地元山口や若山太地町、千葉など、沿岸捕鯨が盛んだった地域の補元を守ることで、折り合いをつけた部分が。

南氷洋のミンククジラは魅力ですが、そこにはオーストラリアの思惑とか、いろいろ絡みますから。一個引いて、一個前に出た形。国際政治では、本音と建て前があって、相手の本音を見抜き、でも建て前を尊重して相手の顔を潰さないようにするのが、大事であって。威勢の良い主戦論者は右にも左にもいますが、そんな村社会の論理で突っ走っても、しょうがないわけで。韓国の朴槿恵政権とのとの慰安婦合意にしても、当初は自分も悪手だと思ったのですが、あれこそ最善手であり、安倍元総理の外交ブレーンの優秀さに、舌を巻いたモノです。IWC脱退も、同じでした。

■捕鯨は日本の文化か■

自分は、捕鯨は日本の食文化だと思いますし、それは『美味しんぼ』の雁屋哲先生が、グリーンピースの人間と週刊ポスト誌上でしたか、討論して相手側をこてんぱんに論破した内容で、充分でしょう。捕鯨は日本の一部地域の文化に過ぎないと、知識の浅さを露呈するグリーンピースの人間に対して、クジラが取れない山間部でも、いかにクジラを使った料理が存在するかを具体的に説明する雁屋先生に、最後はグリーンピースの人間、逆ギレして差別車呼ばわりしていました。食い物が絡むと、雁屋哲先生は愛国者になりますからね。見事な論破でした。

例えば、葬式で使う白黒の縞模様の幕を〝鯨幕〟と呼ぶように、日本の文化と捕鯨は、かなり深いところでつながっています。ヒゲクジラ類、特にセミクジラやナガスクジラの喉の縞状の畝を、白黒のストライプに例えたわけで。他にも、江戸時代の消化の大晦日では、塩漬けされたクジラ肉を使ったくじら汁が、使用人に振る舞われたりと、無知で不勉強なグリーンピース・ジャパンが主張するような、沿岸の一部地域の文化などでは断じてありません。

■生活密着の捕鯨文化■

例えば、中国ではAirportのことを、機場と表記します。日本だと空港ですね。なぜか? 大陸国家の中国では、内陸の人間は海を見たことがないので、船が出入りする港をしらない人間が多いんですね。だから、航空機の港という意味の空港が、ピンとこない。だから、機場の表記になる。日本は、よほどの山中以外、数日も歩けば海岸に出る島国ですから。だいたいの地域は、海に隣接するので、空港の言葉でピンとくる。文化とは、そういうものです。

また、食文化以外にも、クジラから採れる鯨油が、江戸時代は農業にも大いに役立ています。稲の害虫であるウンカを駆除するときに、鯨油を使って水田に皮膜を作り、稲を揺さぶってウンカを落とすと、鯨油でウンカの気門(呼吸するための体側の穴)が塞がって、簡単に駆除できるんですね。なので、各藩ではこの鯨油を安くで農民に売って、ウンカの駆除に役立てています。鯨肉窃盗事件を犯したグリーンピースの人間は、こんな事も知らないでしょうけれど。

反捕鯨という、偽装したエスノセントリズムに負けることなく、妙手を今後も打っていって、最終的にはIWCから頭を下げてくるのが、理想ですかね。そしたら歓待し、良い関係を築く。


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